箱根の南麓に位置する代表的な温泉地、塔ノ沢温泉は箱根七湯のひとつに数えられる湯場。箱根湯本駅から1kmほどでタクシーだと2、3分、歩いて15分ほど。
玉の緒橋を渡った角に佇む環翠楼は、江戸初期の慶長19年(1614)に湯治場として開湯した400年を超える歴史のある温泉宿。
国内外の多くの文化人や政治家が定宿とし、皇女和宮様、天璋院、夏目漱石とあげるとキリがない。当時は“元湯鈴木”という宿で、“環翠楼”という新たな屋号を贈ったのは伊藤博文。
大正時代に建てられた建物は、国内でも数少ない木造による高層建築で、国の登録有形文化財。
館内も大正レトロで可愛い。
大浴場の大正風呂は、玄関階(2階)から階段で降りた1階にあり、24時間一晩中入ることができる。早朝5時に男女入れ替え。
脱衣所にもステンドグラス。
パウダールームの上は壁が抜けていて、廊下や男湯と繋がってる。
浴室は全体的に白く宮殿みたいな内装。一部の石壁を除いて。
広々した空間に形の違う湯船が2つ。
奥の石の壁のところが洗い場で、仕切りがありシャワーが4つ。
振り返った出入り口の角にも、もう一つ。
天井には天窓。
大正時代に輸入されたというタイルに目を見張る。湯船は円型のものと扇型。
円形の湯船の底には、花柄にタイルが敷き詰められている。
腿の真ん中あたりまでの結構な深さ。
縁からはざばざばと湯が溢れてる。この日の湯温は41.7度。ちょっと熱いけど、いわゆる適温。
白い大理石の湯口からは44.5度弱の源泉がそのまま注がれていて、白い析出物もある。
温度の違う3本の自家源泉を所有していて、湯守ならぬ湯番が、気温や湯温に応じて源泉をブレンドしてる。
混合泉の湯温は46.8度で、pH 8.9のアルカリ性単純温泉。箱根というと硫黄泉のイメージがあるけど、下の方は意外にも優しいお湯。
明るく広いスペースにこじんまりした湯船。タイルの上には溢れた湯が流れていく。適温にもこだわった源泉かけ流しが有難い。
扇形の方は浅め。
遠慮がちなタイルの柄。
湯口の温度は44.3度とほとんど変わらない。湯船は41.5度ちょい。ほんの気持ちだけぬるめに調整されてるのかな。
無味無臭だけど、ほんのり岩が砕けたような匂いがする。白い湯の花が少し舞ってる。
こちらもしっかりかけ流し。
この大浴場かなり気に入ったので、男女入れ替えなくていいのにと思いながら、翌朝はもう一方の隣の浴室へ渋々向かう。
同じようなのに全然違う浴室。宮殿みたいな白いアーチの天井はそのままだけど、壁2面が岩で洞窟にいるような異空間。
湯船は、正面に正三角形に近い扇形、
手前側にもう一つ円形のもの。
これはなんだろう。なんか、深追いしたくない感じの岩場。
脱衣所から入って正面には洞穴があり、隣のシャワーも洞穴の中にある。
絶対このシャワールーム使いたくない。
洞穴の中には“温洞”と彫られた石。打たせ湯のような天然のシャワーは、冷たくはないけど温かくはない。
手で受けると泡がつき、ぬるりとした湯感触。
仕切りのある洗い場にはシャワーが4つ。
怪しい岩場に囲まれた湯船は、女湯よりも大きく、ゆったり入れる。
源泉に一番近く新鮮なお湯が注がれていて、湯の花も舞ってる。
確かに湯口にはオレンジ色に近いベージュの湯の花がこびり付いてる。
触るとぬるりとするほどしっかり。
周りにはしっかり白い析出物も出来てる。
源泉そのままがかけ流されていて、湯口で45.8度。湯船は40.2度という、めちゃくちゃ気持ちのいい適温だった。
夏の暑い時期は湯を冷ますためにぐるぐる廻してから湯口に到達させるのだそう。
円形の湯船はやや熱めといっても、41度と適温。
湯口で46.3度だった。
天窓がこれ。外から見るとどうなってんだろう。大正時代からこれなのかな。可愛すぎる。
露天風呂は1階から外に出て、急な階段を上がっていく。
大正時代の高楼建築が垣間見える。
細い道を少し歩くと
早川沿いに建つ湯小屋が現れる。
手前が女湯「静寛の湯」で、奥が男湯の「翠雲の湯」。
脱衣所は右手に洗面台があり、左手の棚に脱衣籠。
浴室とは格子戸で仕切られてる。
露天といってもしっかり屋根があり、川に面した一面だけが開いてるので、安心感のある造り。
御影石の湯船の周りには、檜板が敷き詰められてる。新しく、老舗旅館っぽい感じはない。
洗い場は2つあるけど、排水は川に直接流れるので、石鹸は使えない。
3、4人サイズの大きさで手前側に段差があり、半身浴もできる。
樹々の向こうに早川が見える。謎の観葉植物。絶対ない方がいいと思うけど。
床はぬるりとし、ほんの少し泡付きがある。循環なのかなと思うような、ふわつるの肌触り。
湯口からは42度ちょっとの加温した源泉が注がれてる。
湯船の中に穴があり、ここからは42.5度超えの加温源泉が出てる。
湯船の温度は41.7度。この露天風呂は加温、消毒あり。
檜の簀子の下、縁から溢れたお湯がかけ流されていたと思う。
湯から上がると全身から汗が吹き出し、汗だく。
2つの露天風呂は、夜10時から翌朝4時までは無料の貸切風呂になる。空いていれば、貸し切り中の木札を下げ、中から鍵をかけて30分程度を目安に利用できる。
この時間にくれば、男湯の湯船にも入れるのだけど、素敵な内風呂があるから、わざわざ来ない。
3階の奥にある貸し切り専用風呂の「末広の湯」も同じ利用法で、時間は翌朝の9時半まで一晩中いつでも。
隣には有料の岩盤浴もある。
木札を使用中に裏返して入る。
大浴場なみの広さ。
洗面台に脱衣籠。清潔で広々。
リニューアルされたばかりのゆったり快適な浴室。2面が窓なので、眺望はなくても、開放感がある。
シャワーが2つ。
寝湯できるようになってるけど、おへそから上は背中だけしか浸からず、油断すると滑り台のようにずるりと落ちてく。
湯口から出る源泉は、45度から48度くらいをいったりきたり。加温のかけ流しなのかな。
湯船の中は41.7度に保たれてれた。少し泡付きがあり、ふわりとした肌触り。
縁から溢れるかけ流しが気持ちいい。
離れも含めた全25室のうち、8室が温泉付き。早川側の中庭に面した『あじさい』は内風呂付き。ここから直接遊歩道に出られる。というか、目の前が遊歩道。
小さな浴室だけど、シャワーはついてる。
一人サイズの木桶の湯船。
縁からざばざばかけ流し。
湯口からは加温源泉が出ていて、42度前後。時間帯によって差があった。チェックイン直後は41.8度だったけど、夜は42.4度。
この穴からも湯が投入されているみたいで、湯口から出る源泉と同じ温度が出てる。
湯船はだいたい41度。ちょっと足が冷えたから暖めようと気軽に入れる。
湯上がりの肌はつるすべ。めっちゃ汗の出るお湯。
部屋風呂は遊歩道のそばなので、眺望はなし。別になくていい。
気軽に来られて、熱過ぎないお湯に一晩中入れる。仲居さんも臨機応変に対応してくださり、有り難かった。また来たいな。
塔ノ沢温泉 元湯 環翠楼
★★★★
アルカリ性単純温泉
46.8度
pH 8.9
60ℓ/分
大浴場2 露天風呂2 貸切風呂1
加水加温循環消毒なし(大浴場)
2021.11.2 宿泊
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