野沢温泉 河一屋旅館(長野)

日本で唯一、村の名前に“温泉”がついている野沢温泉村。なんかそれだけで胸がいっぱいになる。

東京駅から北陸新幹線で100分ほどの飯山駅。そこからタクシーで30分弱北上した長野県北部の豪雪地帯にある野沢温泉。

奈良時代に行基によって発見されたといわれる温泉地。

江戸時代に飯山藩主の松平氏が惣湯(大湯)に別荘を建て、一般の人々にも湯治を許可し、多くの人々が湯治に訪れるようになったのだそう。

今も大湯を初め、13もの外湯が点在してる。

温泉街を中心に200軒以上もの宿泊施設が密集してるそうだけど、野沢温泉旅館組合加盟の旅館・ホテルは20数軒。

選んだお宿は熊の手洗湯温泉街にある河一屋旅館。帰りのタクシーの運転手さんが、「研修もしっかりしててすごくいいお宿」と絶賛してたけど、ほんとにいいお宿だった。いくつかの候補で悩んで決めたのだけど、次回の野沢温泉もまたここにしてしまいそう。

男女とも色浴衣を選べる。水色の温泉タオルは、名誉村民の岡本太郎氏によるもの。

フロントや客室は西館で、大浴場は東館の1階にある。途中、麦茶とレモン水がある休み処や駄菓子売り場を通り、温泉棟へ。

大浴場は翌朝は9時30分まで一晩中利用できる。

こちらでスリッパを脱いで入ると、ウォーターサーバーがあるちょっとしたスペース。手前が女湯、奥が男湯で、男女入れ替えはない。

シンプルな脱衣所で、洗面台にはアメニティはなかったような。でもスリッパ置き場のとこに、歯ブラシとかあった。

内風呂と露天風呂があり、それぞれ源泉が異なるのが、この宿の特徴。

洗い場は浴室右手にシャワーが4つ。

内風呂の湯船は2つに分かれていて、奥の湯口がある湯船から、もうひとつの手前側へ仕切りの上と下から湯が流れ込むようになってる。

湯口側の小さめの方は41.5度で、大きい方は41.2度と少しだけ低い。塊になってる薄茶色の湯の花がふわふわしてる。

初めての野沢温泉。熱い熱いと思ってたから遠ざけてきたけど、夏来ても冬来ても熱いお湯なのだから、いつでもよくない?と急に謎の思考転換で、真夏にやって来てしまった。

内風呂の源泉は、村内に30余りある源泉のひとつ「麻釜」と同じ源泉を引湯してる。野沢温泉のシンボルでもある麻釜は、90度近い源泉が毎分約500ℓも湧出する村指定の天然記念物。大釜・丸釜・ゆで釜・竹のし釜・下釜という5つの大きな湯だまりからなる。

丸釜、茹釜、竹伸し釜、下釜、御嶽の湯の混合泉で、泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉。pH 8.8のアルカリ性で源泉温度は77度。湯上がりの肌はねっとりじっとり。

内風呂は循環だと案内されてるので、あまり期待せず。急勾配の滑り台のような湯口から流れ込んでいるのはおそらく循環湯。漂う硫化水素臭で、消毒臭は感じとれない。

でも、この右の湯桶は?白い湯葉みたいな紙くずみたいな湯の花がわさわさ。50度くらいの源泉が少しずつ注がれてる。麻釜源泉なのかな。もしかして真湯源泉?

あ、湯口触ってしまったけど、こんな繊維状の湯の花がべっとり溜まり、

周りにも白い析出がびっちり。

湯尻からは湯がかけ流されてもいるし、ただの循環だと思って来たら、ちゃんと源泉投入し、一部かけ流しだったという。

これはもはや、一部循環とか、源泉も投入してるとか、かけ流し併用とか、そんな説明の方が親切だよ。

翌朝は、湯葉系の大きな湯の花が漂ってた。循環だからなのもあるかもだけど、ふわぬるのぬるぬる肌触り。

露天風呂は、ドアを開けたら一歩目から湯船のやつ。

それほど大きくなく3、4人サイズくらい。

出入り口の段差や湯口付近の熱さを考えると、3人だといっぱいいっぱいかも。

露天風呂の源泉は、天下の名湯と名高い真湯源泉。pH 8.5のアルカリ性単純硫黄泉。

硫黄の香りがしっかり漂い、湯に入ると白い大きめの湯の花がわさわさ舞う。湯温が44度近くと熱すぎて、しゃがむことができないのだけど、深めだった気がする。

角に石を積み上げた隙間に3つのパイプがあり、その中の1つから源泉が出てる。54.5度超えの熱さ。

源泉が伝う石には、滝行にあがらうように湯の花がまぶれついてる。

人が入ると岩の間の排湯溝からも溢れ出るみたいだけど、この離れたところからサイフォン式で出てるみたい。

多分、湯底にあるこの穴じゃないかと。熱すぎてあまり長くいられない。

一晩中入れる大浴場で2種類の源泉に入れることと、もうひとつこの宿の決め手になったのは、一年半くらい前に出来た真湯源泉かけ流しの温泉風呂付きの部屋。

ゆったり洗面所で脱衣スペースも充分。タオルも複数枚あった気がする。化粧水なども備え付いてる。

木の湯船は細く小さく見えるけど、細長くひとりだと十分ゆったりサイズ。縁から溢れ出るかけ流しではないので、おそらくサイフォン式。

この側面の穴から出てるのかな。透明感があるけど、ほんのりグレーがかったお湯。

木の湯口は灰色に染まっていて、50.5度の源泉が絞り気味に注がれてる。隣に加水用のカランがあり、好みの湯温に調整できる。チェックイン時は38度ちょいの嬉しい適温だった。

灰色の湯の花がたくさん。東北とか山奥とか秘湯とかで嗅ぐ酔いそうなほどの硫黄の匂いがたまらない。ふわとろの湯感触でぬるつるの肌触り。

時間が経てば経つほど、湯口に湯の花が溜まってく。

湯の花がさわさわと身体に積もるほど。

翌朝は、前日にはあまりなかった白い湯の花もたくさん。白、黒、灰色の見事な三色。

ガラス窓を開けると、もうひとスペースあって、奥の壁が抜けてる。

とても入り心地のいい浴室だった。

大浴場の露天風呂は同じ真湯源泉だけど、熱すぎて味わえないので、部屋で適温で入れるのは貴重。この部屋風呂があるかないかで、満足度が全く違う。

 

野沢温泉 河一屋旅館
★★★
[真湯混合泉]
アルカリ性単純硫黄泉
48.0度
pH 8.5
[麻釜混合泉]
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉
77.0度
pH 8.8
内風呂(男1女1)露天風呂(男1女1)
加温加水循環消毒なし ※内風呂は加温なし 加水循環消毒あり
2025.7 宿泊

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