仙石原温泉 仙郷楼(神奈川)

小田原駅から桃源台行きの箱根登山バスで約50分。仙郷楼前というバス停がある。ただ、土日の渋滞すごい。箱根口インター辺りから湯場滝通りまでが大渋滞で、すでに20分遅れ。30分押しで1時間半のバス旅。すごいくねくね山道だし座れないとつらすぎる。

仙郷楼前のバス停を降りたところにある“仙石元湯場”といわれる仙郷楼。

江戸時代に箱根裏関所の番頭だった初代当主が、大涌谷で温泉開発し、明治3年に大涌谷から北へ700m付近の山中で石村旅館を創業。

大正2年に現在の仙石原の敷地に移転し「仙郷楼」と名を変えてから110年以上の老舗旅館。

寝巻き用にと夕食後に持ってきてくれた浴衣が、同じデザインなんだけど、はだけないように結び紐付いてるやつで、感動だった。普通の浴衣もこの仕様にしたらいいのに。

大浴場は内風呂と露天風呂が離れた場所にある。まず男女別の内風呂である大浴場「湯天の蔵」。翌朝の9時半まで一晩中いつでも利用できる。

向かいには、家族風呂。有料なのかな。

広々した脱衣所は、真新しい鍵付きロッカーが中央に2列。洗面台には化粧水などのアメニティが置いてある。

シャワーは8個くらいだったかな。深めの仕切りがある洗い場。元は年季が入ってそうだけど、綺麗な新しい木材も多く、リニューアルされたのかなという感じがする浴室。床は塩化物泉とかにありそうな、赤茶けた色に染まってるように見える。

窓際にある内風呂はかなり大きめ。いつでも入れるからか、露天風呂と分けられてるからか、全然混んでないので、泳がないけど泳げるほどゆったり。あ、泳ぐほどの深さではない、少し浅め。

日によるのだろうけど、濁りはあまりなく湯底までしっかり見える。

湯口近くでは、泡のような塊になった湯の花が湯面に浮いてる。

翌朝は湯に入ると底に溜まった湯の花がさわさわと舞ってた。

仙石原には自家源泉を持つ宿もあるけど、こちらは大涌谷温泉を引き湯してる。大涌谷温泉といっても、実は高温の蒸気の造成泉。大涌谷に噴出する多くの火山性ガスで作る造成泉に、大涌谷の自噴泉を3割加えた混合泉。

明治末期の技術改善で熱い湯が2km以上遠方に届くようになったので、この宿もこの地に移転したのだそう。今は仙石原、強羅の400軒もの宿や保養所に大涌谷温泉が引き湯されてる。強羅の白濁湯って大涌谷温泉だったの⁈と驚いた。いろんな宿があるのだろうけど。

60.6度の源泉を、大涌谷から土地の高低差を活かし、自然の力だけで引き湯してる。

湯口は51度弱で、湯を絞って注がれている。湯船は41度ちょい。広い湯船にかなり絞ってるから。

白濁していて硫化水素臭が強いと書いてあったけど、この日は硫黄の匂いはほぼ感じられなかった。

殺菌効果の高いpH 2.1の強酸性。泉質は酸性-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉。ちくちくはするけど、なめらかに肌になじむ。

加水も消毒もないかけ流しだけど、湯尻からは溢れ出てるようには見えず。湯口側の縁が少し低くなってるのか、そこから溢れてた。気付けなかったけど、サイフォン式だったのかもしれない。

露天風呂「はぐれ雲」は、大浴場のある廊下をさらに奥に進み、

一瞬、外に出てまた次の棟に入ったその先に。向かいには有料(45分2,200円)の貸切露天風呂も2つある。

大浴場は24時間だけど、露天風呂の利用時間は夜24時までで、朝は5時半から。

夕方は大浴場より露天風呂が混んでたけど、夕食前に出直してきたら独泉だった。混んでたときは、狭い脱衣所がキチキチわちゃわちゃ。

棚には鍵付きと、ただの棚、籠があるところも。

しっかりした屋根付きの露天風呂。シャワーも2つ付いてる。大浴場に寄らずにここに入る人もいるわけで、シャンプーなども置いてある。

透明度は高いけど、内風呂より湯の花が多い。

夕方覗いたとき、8、9人くらい湯船に入ってたけど、42.5度と熱いので段差に座るしかなく窮屈そうだった。

気温の高い日は湧水で加水するみたいで、湯船の中にある2つのパイプの片方が源泉で58度弱、もう片方が水のようで23.5度程だった。

湯口の下や段差にはさらさらの湯の花がたっぷり溜まってる。

かけ流しのはずなのだけど、岩を超えて湯が溢れ出てるわけではなく、サイフォン式だったのかも。

箱根全山の温泉湧出量は全国第5位。箱根というと、なぜか白濁の硫黄泉のイメージがあるけど。仙石原に来てみて、大涌谷の造成泉だと知り驚いた。

「箱根十七湯」は、江戸時代からの7つの温泉に、明治以降に開かれた10の温泉地を加えたもの。様々な源泉があるのが特徴でもあるけど、主な泉質が硫黄泉なのは、最も高所の湯ノ花沢温泉と芦之湯温泉だけらしい。

露天風呂付きの「藤」という部屋。洗面所から正面の湯船の方にも出られるし、

シャワールームにも出られる造り。

木の窓を開けたら眺めも緑も綺麗そうだし、露天風呂状態になるのだけど、大雨の日だったので、開けることなく過ごしてしまった。晴れた翌朝くらい開けたら良かった。

部屋のお風呂もかけ流し。縁から溢れ出てなかったので、もやもやしてたけど、やっぱりサイフォン式だったらしい。

ここから出てたのかなぁ。

透明感があり、湯底に溜まった湯の花が見える。

湯船に入ると舞い上がり、身体に積もる。

湯口からは54度の源泉が注がれていて、チェックイン時の湯船は45度だったけど、

カランがあるので、水で埋めて適温にして入れる。

湯口に付くオレンジ色の湯の花は塩化物泉みたい。確かに、湯から出たら肌がねっとり。

ちりちり感を感じる前、pH 2.1の強酸性だと認識してなくて、顔を洗ってしまった。でもそんなにしみない。造成泉だからなのかな。舐めてみたらやわらかな酸味。

 

仙石原温泉 仙郷楼
★★★
酸性-カルシウム硫酸塩・塩化物泉
60.6度
pH 2.1
内風呂(男1女1) 露天風呂(男1女1)
加水加温循環消毒なし※露天風呂は加水あり
2025.6 宿泊

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