月岡温泉 湯あそび宿 曙（新潟）

大正4年に開湯した月岡温泉。石油を採掘している時に偶然温泉が湧き出た温泉地。足湯や飲食店、お土産屋の並ぶ温泉街には、25軒ほどの旅館がある。

最寄駅の豊栄駅は、新潟駅から白新線で20分。駅からはタクシーで15分ほど。時間があえば、月岡温泉シャトルバス（300円）もあるけど、今回は長蛇の列だったので密を避けて。

“もっと美人になれる温泉”と大々的に宣伝してるので前から気にはなってたけど、調べても調べても、源泉かけ流しが見つからず先送りしてきた。

泊まったのは湯あそび宿 曙、全25室の宿。

1階奥に位置する大浴場。男湯の「夢楽」と女湯の「遊楽」。

15時にチェックインした時、タオル片手にロビーに向かう人たちが数グループいたので、日帰り入浴の利用者かな。

宿泊者の利用時間は15時からチェックアウトの10時まで。男女入れ替えはなく、一晩中入ることができる。

脱衣所まで匂う硫黄臭に、ドアの白い析出物に少し期待が高まる。

お！と声が出てしまうほどの、グリーン。鮮やかなエメラルドグリーンの硫黄泉。想像以上に透明感のある綺麗なグリーンに心の準備ができてなかった感じ。

なかなか希少なグリーンの湯。

熊の湯温泉（長野）- 温泉手帖♨︎や、国見温泉 石塚旅館（岩手）- 温泉手帖♨︎、紫尾温泉 しび荘（鹿児島）- 温泉手帖♨︎ の自家源泉の湯船、奥塩原元湯温泉 大出館（栃木）- 温泉手帖♨︎の露天風呂。グリーンだと分かって臨んでも、お！と思う。

硫黄泉というと白濁のイメージがあるけど、中性からアルカリ性の硫黄泉で硫化水素イオンの含有量が多くなってくると澄んだエメラルドグリーンになる。

洗い場は壁際にシャワーが8つ並んでる。

湯口は一旦湯桶に溜まったものが注がれてる。湯桶の中は45度。湯船は42.5度。ちょっと熱め。源泉温度は50度ほどだけど、配湯の過程で冷めるのか、どの宿も加温してる。ので、加温源泉が注がれてる。

湯口のまわりは白い析出物に黄緑色が付いたような、硫黄泉の湯の花が溜まってる。塩気のしっかり効いた濃い出汁味。きつめの硫黄の香りに、苦そうな、鼻につんとくる石油のような匂いがする。

湯面にはきらきらと油が浮いてる。さすが油田発掘から湧いた温泉。湯感触はぬめりがすごい。油汚れが落ち切らないみたいな。

湯船の側面や底は黒く染まってる。

黒い湯の花がちらほら。

泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。月岡温泉5号井と6号井の混合泉。ほとんどの宿にこの混合泉が配湯されてる。

硫化水素イオンは6号井で79mg。硫化水素イオン含有量は全国1位で、総硫黄量は全国2位の硫黄泉。万座温泉に次ぐのかな。

pH 7.6と8.0の弱アルカリ性。硫黄泉ではそれほど多くないアルカリ性で、ぬるつるの肌触り。

肌に優しく美肌に効果がある弱アルカリ性で、皮膚炎や成人病に効能がある硫黄泉が“もっと美人になれる温泉”の中身。

塩化物泉で硫酸塩泉なので、保温、保湿効果も期待できる。湯上がりの肌は保湿剤を塗りまくったみたいなしっとりもっちりねっとり。

これが排湯口なのかはっきり分からないけど、湯使いはかけ流しと循環濾過の併用みたい。下から湯が出てるところもある。

天井には湯気抜きの高い窓。遊離硫化水素は6号井で22mgほど。遊離硫化水素が多い硫化水素型だと、福島の高湯温泉などは100mg超え。

ガラス張りの向こうには露天風呂が見えてる。出てみると、

正面に戸建てのサウナ「春屋」。 窓から外が見える明るい室内。利用時間は15時から21時までで、朝は6時から9時まで。

露天風呂の横には屋根付きの休憩所がある。

光の加減なのか、内風呂ほど明るいエメラルドグリーンには見えない。深い緑色の透明な湯。

湯口は44.5度と内風呂と変わらないのに、湯船が43.5度と激アツだった。

湯船の中の様子は分からないけど、注がれてる分、しっかりかけ流されてる。

2020年に新設された月岡温泉初の露天風呂付き客室が3部屋。泊まったのは「竹径」。

和室のガラス戸から縁側の延長に行くみたいな露天風呂。

竹毬を眺める庭に、安田御影石造りの湯船。

深い緑色の透明な湯。一見小さめだけど、なんとか2人は入れるサイズ。

湯口は鬼瓦？鬼の口の中は44度で、湯船は41.5度と、大浴場よりぬるくて助かった。

時間が経つにつれ、白い紐状の湯の花がどんどん増えていったので、循環してないかけ流しなのかなとも思えた。聞いてみたら大浴場と同じ、加温循環濾過消毒ありとのこと。そっか。

湯の色は乳白色に変わる日もあるそう。遊離硫化水素も含んでるからか。

温泉街の源泉の杜に飲泉処がある。

きちんとカバーされたところに、小さなコップまで置いてある。ありがたや。

すんごい苦いけど、香ばしい硫黄の香りも感じられる。

引き湯されてる混合泉のうちの1本、6号井の単独泉。慢性胆嚢症、慢性便秘、糖尿病などに効能あり。飲泉できる源泉がちゃんとあるっていい。