肘折温泉 丸屋旅館(山形)

山形県のほぼ中央に位置する小さな村、豪雪地帯で有名な大蔵村の肘折温泉郷。山形新幹線つばさの終点、新庄駅までは東京から3時間半。新庄から車で40分弱の温泉地。

月山の麓の銅山川沿い、山奥の湯治場風情の温泉街には20軒の宿が並ぶ。平安時代の開湯で1200年を超える温泉地。

肘を折った老僧がこの上の湯に浸かったところ傷が癒えたという開湯伝説がある、共同浴場「上の湯」。

宿泊者は100円で入れる券がもらえる。

上の湯と薬師神社の向かいにある木造3階建ての宿、丸屋旅館。157年前の明治元年創業。歴史ある建物を活かしていて、明治に建てられたままの玄関。80年前に2階を、30年前に3階を増築したのだそう。

全7室の宿で、日帰り入浴も受け付けていないので、混まずに温泉に入れる。

1階に大浴場と貸切風呂があり、どれも翌朝10時まで利用できる。23時に消灯するのだけど、自分で点けて入っていい。

大浴場は「ひのきの湯」と「檜葉の湯」で、18時半に男女入れ替え。

ひのきの湯は内風呂のみ、檜葉の湯には露天風呂もある。まずはひのきの湯。

こじんまりした脱衣所にはベンチと籠が3つ。棚がなく、籠だけってめずらしい。洗面台が1つあるけど、アメニティなどは置いてない。

籠が3つの割に、ゆったりした広さの浴室。縁のそばに付いてる濃いベージュの析出見たら、遠い山奥の温泉地までやって来たことも労われる感じがする。

右側が洗い場で、シャワーが3つ。

きちんと整えられた浴室。

最上石と金山杉の湯、最上の材料で大蔵村の職人が造ったものと書かれてたけど、2018年にリニューアルし檜が使われてる。

笹濁りのお湯で満たされた大きな湯船。半分くらいは寝湯か半身浴のスペースとして、浅くなってる。

組合の2、3、5源泉で、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。鉄分も含まれていて、湯口はオレンジ寄りの茶色。湯口の温度は47.5度。

この混合泉の源泉温度は、2号が86.4度(pH 7.4)、3と5号が79.1度(pH 6.9)、貯湯槽が65.9度。

加水で湯温調節はされているのだけど、この日の湯船は44度弱で熱すぎてた。

2箇所から湯をかけ流し、新鮮な湯が投入されてるのだけど。

独泉なのに残念だけど熱くて入れず、速攻で貸切風呂へ向かう。

玄関脇にある貸切風呂「幸鶴の湯」は予約制ではなく、空いていればいつでも利用できる。

脱衣所から2段下がったところにある。脱衣所と浴室の間はガラス窓。

シャワーがひとつ。シャンプーなども置いてある。

大浴場なみの大きさの湯船で、ひとりで入るのが申し訳なく感じる。それほど濁りはない。

こちらもしっかりかけ流し。

湯船に入ると縁全面から湯が溢れ出る。混合泉のこの宿の引き湯(使用量)は毎分50ℓらしい。

ポストみたいな湯口は40.5から48度。加水しながら源泉が注がれてるみたい。湯船は41度と入れる温度で良かった。つるつるできゅっきゅときしむ肌触り。

入れ替え後の「檜葉の湯」は青森ヒバを使用したお風呂。

こちらの脱衣所も棚はなし。どの脱衣所にもアメニティは一切なく、ティッシュもない。ドライヤーがひとつだけ。ティッシュはほしいけど、潔くていいと思う。

檜葉の湯には、内風呂と露天風呂がある。

たまにある、内風呂の中か縁の上を通って外に出るタイプ。

右手前が洗い場で、ちょっと狭めのスペースにシャワーが3つ。

L字型の湯船。小さい部分が浅い寝湯になってる。

外への出入り口の辺りに排湯口があり、こってりねっとりぶつぶつの析出を形成しつつある。

内風呂はやはり熱めで43度。朝の湯口は48度だった。これまた立派な臼のような大きな石の湯口。これも最上石なのかな。

内風呂は加水してるけど、露天風呂は加水なし。内風呂がこれだけ熱いのだから、加水しない露天風呂はさぞ熱いんだろうと思い込んでたら。

八角形の小さな可愛らしい湯船。1人先客いたら遠慮するけど、2人は余裕で入れるサイズ。透明度が高く、ほとんど濁ってない。

屋外だけど、湯船の上は対策されてる。豪雪地帯だけど、冬も入れるのかしら。

湯船はなんと38.5度のぬる湯。予想外の加水なしのぬる湯。ここからかけ流されててベージュの道が出来てる。すぐ隣の辺から湯が注がれていて、

間近に寄るとかなり熱い。湯船に入る手前で56.5度。目の前に見えてる壁の穴が湯口かと思いきや。

湯口はあっち。はるか向こうだった。65.9度の熱い肘折源泉を長い道のり流して冷ましながら注いでる。

前回は熱い湯を回避する手段として、ぬるめの自家源泉を持つ肘折温泉 湯宿 元河原湯(山形)-温泉手帖♨︎ にしたんだった。今回はお風呂付きの部屋に。

「月山」という部屋に、かけ流しの檜葉箱湯がついてる。

シャワーもあり。

大きさも充分なんだけど、深さがしっかりある立派な湯船。お湯たっぷりで贅沢な入り心地。

排湯の切り込み部分がオレンジ色に染まり、鱗状に育つのかな、すごい子になりそうな予感。

湯口で54.5度ちょい、湯船は42度だった。湯口の横にカランもあるので、適度に埋めながら。ぬるくして入っても、ぽかぽかが続き、汗が大量に出る。塩化物泉の保温効果だけじゃなく、高温だし引き湯だけど、遊離二酸化炭素が357mg含まれてるのもあるかな。

すごい素敵なポスターを見かけて、肘折温泉で何が起きてるの⁈と思ってたけど、数年前と変わらない湯治場風情の温泉地だった。また来年も山菜の時季に来たい。

 

肘折温泉 丸屋旅館
★★★
ナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉
65.9度
pH 6.6
50ℓ/分(使用量)
内風呂2 露天風呂1 貸切風呂1
加水あり 加温循環消毒なし
2025.5 宿泊

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