福島駅からタクシーで30分ほどの高湯温泉。吾妻山に差し掛かると3月でもまだまだ雪が残ってる。
福島駅は東京から新幹線で1時間半ちょい。気軽に来られるのに、本格的な湯治ができる温泉地。
高湯温泉で初めての玉子湯。
人気宿なのでずっと気になってはいたけど、高湯温泉 ひげの家(福島)-温泉手帖♨︎ のごはんが美味しくてなかなか他の宿に行く気になれずにいた。
いくつものお風呂があり、そのほとんどが1階にある。唯一、フロント階の4階にあるのが大風呂「滝の湯」。いわゆる大浴場。
翌朝の10時まで一晩中入ることができ、1時間清掃後、日帰り入浴が始まる11時からまた入れる。
手前に男湯、奥が女湯。入れ替えはない。
洗面台が3つあり、ドライヤーも3つ、化粧水なども置いてある。軽く仕切られた奥に脱衣籠の棚と、鍵付きロッカーも。
タイミングがいいのか、全ての浴室で独泉だったので、この脱衣所もゆったり広々。
でも最後の仕上げに翌朝11時に来たら、日帰り入浴らしい大人数が一緒になり、脱衣所もすみませんすみませんって感じに。
朝ごはんの後、ずっと独泉だったときに撮ったもの。前日に全ての浴室に入った後だったので、あまりの広さに驚いた。ここだけ、ほんとに大浴場。
大きな湯船が奥の窓際にあり、
洗い場のスペースもものすごく広い。シャワーは9個。
細長い湯船は薄い水色に見える透明感のあるお湯で、底の木目もしっかり見えるほど澄んでる。
隅の方には白い湯の花が溜まっていて、触れるとふわりと舞い上がる。
この透明感と湯の花、白骨温泉 泡の湯(長野)-温泉手帖♨︎ の源泉内風呂の感じに似てるような。泉質は酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩泉。泡の湯はpH 6.4の中性で、炭酸水素塩泉なので同じ硫黄泉でも全然違うのだけど、見た目が似てる。
かなりの湯量が注がれていて、湯船は42.5度と熱め。11時過ぎに入ったときはもっと熱く感じた。
湯尻の排湯口からさらさらとかけ流し。
湯が注がれるところはぱちぱちと泡が弾けてる。源泉は、高湯16番 仙気の湯と高湯26番 滝の湯の混合泉。分析書の混合泉の遊離二酸化炭素はたったの35mg。2本とも個別には500mg以上含まれてるのに、引き湯してるうちに抜けてしまうのかな。でもぱちぱちしてる。
香ばしい焦げたゴムみたいな鉱物臭がし、ふわつる感もあるけど、手のひらが肌にきゅうっと吸いつく。
湯船は大きなひとつの湯船を男湯と女湯に仕切ってるみたい。もうひとつの小浴場とお湯は同じ。
大浴場以外は全て1階にある。小浴場の内風呂「仙気の湯」。こちらも4階の滝の湯と同じく翌朝10時まで一晩中入れる。
正面が男湯で、女湯は右手に。こちらも男女入れ替えはなし。
脱衣所と浴室の間にひとスペースあり、その上が抜けているのか、男湯の脱衣所の声がすぐそばで聞こえる。すぐ隣にいるのかとびくりとするほど。
こちらは小浴場で、シャワーは2つだけ。
湯船も5人サイズくらいかな。
立派な木の縁。奥の排湯口からかけ流されてるけど、湯につかると縁全体から溢れる。
4階の大浴場よりも、男湯と女湯ひとつの湯船感が強め。そちら側には座ってはだめなくらい。
滝の湯の湯口と同様、ここ仙気の湯の湯口も白い湯の花が溜まることなく、46度ほどの透明な源泉が注がれてる。
湯船は42.5度。全てのお風呂に掲示してある分析書は、高湯16番 仙気の湯と高湯26番 滝の湯の混合泉のもの。源泉温度は48.6度とある。
2つの源泉の湧出量は毎分840ℓなので、そのうち396ℓを玉子湯が引湯して混合してるってことなのかな。
高湯16番 仙気の湯は、ひげの家の貸切風呂と同じ。高湯26番 滝の湯は、露天風呂と客室露天風呂と同じ。でも、こんな透明度高くないし、湯口には真っ白な湯の花が大量に溜まってるので、同じ源泉なのか不思議な感じ。
玉子湯には敷地内に2本の源泉があるのでそれもブレンドされてるのかとも思ったけど、大浴場と小浴場は分析書通り、仙気の湯と滝の湯の混合泉なのだそう。引湯する間に白い湯の花を道中に置いてきちゃうのかな。
この小浴場と4階の大浴場以外は、1階の庭園玄関から屋外へ出たところにある。利用時間は朝6時から夜22時まで。朝は10時から1時間清掃時間。
出入り口でスリッパから外履きに替え、外に出ると目の前が湯小屋「玉子湯」。
左に小径を進むと、右手に貸切露天風呂と男女別の露天風呂があり、
一番奥に足湯。
足湯に投入されてるクリーム色の湯の花たっぷりの源泉。これは玉子湯の自家源泉。
自家源泉の一本は、出入り口の湯小屋の右隣に湧いてる。
高湯温泉は現在9本の源泉を使っていて、それぞれ単独や複数で、6軒の宿と1軒の共同浴場で利用してる。湧出量は合わせて毎分2,589ℓとかなり豊富な湯量。
玉子湯には2本の源泉があり、その2本は玉子湯だけが使ってる。これは高湯5番 玉子湯外湯源泉。源泉温度44.4度で湧出量は87.7ℓ。もう1本は高湯10番 玉子湯内湯源泉で、45.9度の毎分248ℓ。どちらもpH 2.8。
浴室にこの2本の分析書はないのだけど、野天岩風呂「天渓の湯」に使われてるのだそう。
立派な茅葺きの湯小屋が脱衣所。翌朝に男女入れ替えがあり、日替わりで入る2つの露天風呂。
左の足湯側にある露天風呂から。
岩に囲まれた大きな湯船がひとつ。ミルキーブルーの濁り湯。
湯口が2つあり、
岩から出てる方は46度超えで、岩を緑や黄色に染めてる。
湯船は真ん中あたりで42度弱。
奥の湯口は41.2度とぬるく、湯口には白い湯の花がべったり付いてる。
玉子湯だけが利用している玉子湯源泉が2本。敷地内に湧いてるこの源泉も、あえて遠回りさせながら樋で引くことで湯揉みし、やわらかな湯にしてる、と読んだことある。
41.2度のこの真っ白な湯の花たっぷりのが玉子湯なのかな、と思いながら入ったけど、実はどちらも玉子湯源泉なのだそう。
泡を伴ってる。遊離二酸化炭素が多く含まれてるのかな。気になるけど分析書はない。肌触りはつるつるできゅっきゅときしむ感じもある。
ブルーに見える透明な湯に白い湯の花が大量に舞ってる、と表現するのがいいのかな。湯尻の排湯口にも湯の花が溜まってる。
翌朝は右側の貸切風呂に隣接してる方が女湯。
こちら側の脱衣所は、出入り口付近だと、暖簾が風で揺れたりすると、外から丸見えなので、奥の方が安全。
こんもり雪で見えないけど、渓流沿いの露天風呂。片面には巨石が聳えてる。
2つの湯船があり、どちらも綺麗な透明感のある水色。手前の方が大きく見えちゃうけど、実際は奥の方が大きい。
奥の長方形の広い湯船は光の当たり具合や角度によって濁り湯に見えるけど、透明度は高い。段差の足場もくっきり見えてる。
比べると、脱衣所側の小さい方が白が強くミルキー。
湯口からは驚くほど透明な源泉が注がれていて、その流れる岩の道は緑色に染まってる。
こんな緑色ってなかなかない。酸性泉だから?白い硫黄泉っぽい湯の花は全く付いてない。これどの源泉なんだろと不思議に思ってたけど、玉子湯源泉なのだそう。
もう一方の正方形の湯船の湯口は真っ白なのに、同じ源泉とのこと。
大量の白い湯の花が舞ってる。
大きい湯船は42度超え、小さい湯船はぎりぎり40度。白い湯口からは41.2度ほどの源泉が注がれてる。
2つの湯船は完全に別物なんだけど、側面の穴を通して大きい湯船から42度超えの湯が流れ込むようになってる。
排湯の筒は中まで真っ白コーティング。
ぬる湯で乳白色の濁り湯最高。男女入れ替えで逃してたらショックな湯船。ちょっと浅いので肩が冷たくなるけど、ひとりで自由なのでどんな格好でも。
外の小径から見ると、ここ。この右の岩が男女別露天風呂の岩。
露天風呂と玉子湯との間にもうひとつ茅葺き屋根。
これが貸切露天風呂「瀬音」。
45分2,200円なのだけど、プランに含まれてたので無料で。フロントでカードキーを受け取ってから向かう。
脱衣所だけが屋内というか、茅葺き屋根の小屋で、
湯船は手前側だけ屋根の下に入ってる。
青みがかった乳白色の濁り湯が綺麗でテンション上がる。
いつもみたいに1人で貸切行ってたら、もったいなさ過ぎる広さと景色。大浴場の滝の湯より広いのでは。
肌にねっとり滲み入る濃度の濃い硫黄泉。ものすごく濃い玉子臭が心地いい。
滝の湯源泉は共同浴場のあったか湯でも味わえる。あったか湯もひげの家も、湯口は真っ白コーティングで、硫黄の匂いがこれでもかとする。
白い大小の湯の花が大量に舞ってて、浮いていて、
排湯口もべっとりとコーティングされてる。
同じくコーティングされた湯口からは45度の源泉が注がれ、湯船は41度だった。大浴場と同じ混合泉らしいけど。
41度だと、雪の中の露天風呂だと寒いかと思いきや、暖まりが強くてずっとは入っていられず、冷たい外気で身体を冷ましながら出たり入ったり。
あまりの開放感と硫黄まみれの心地よさ。お湯に浸かりながら喋ることって普段あまりないのだけど、ちょっとテンション高めに会話。してたら、もっとテンション高い人たちが岩の向こうに。
雪で境がよく分からなかったけど、岩の向こうは男女別の露天風呂だった。
最後に玉子湯の湯小屋へ。
次から次へとこの湯小屋の写真を撮る人たちが現れるけど、実際にお湯に浸かりに入ってく人はほとんど見なかったし、何度行っても独泉。一度だけ夜ごはんの後、湯治客っぽい方と脱衣場で入れ違いになっただけ。
明治元年創業当時からの原型を維持してきた150年以上の歴史がある湯小屋。
湯船のそばに脱衣場がある昔ながらの浴室。趣があって最高。
湯船の周りが洗い場スペースで、かけ湯をしてから入る。
室内から見ると屋根の造りが素晴らしく、天井が屋根のように組まれていて、
さらにその上にスペースを経て本格的な茅葺き屋根がある。思えば、茅葺き屋根の湯小屋初めてじゃないかな。
湯船は仙気の湯と同じくらいのサイズ。
やはり男湯と女湯は繋がってる。向こう側に気配なし。
湯口にはほとんど湯の花は溜まってなくて、透明な源泉が流れてる。湯口が46.5度で、湯船は42度。なめらかな優しいレモン水で、あまり硫黄臭はしない。
深緑や黄緑がかった金平糖みたいな析出物が木の湯口の外側にびっちりくっついてる。透明感のある湯に白い大小の湯の花。大きめのものは湯葉みたいな質のもの。
きゅうきゅうと肌がきしむような浴感で、湯から出るとちりちりする。いかにも酸性泉。
いつも気になるけど、縁から溢れさせるかけ流しと、この湯船の中の筒から排湯させる方式、どう違うんだろ。筒式、東北の湯治場に多い気がするけど。酸性とか泉質にも関係してるのかな。縁とか湯船の外側を傷めないため?いや、よく分からん。
分からないといえば、結局どの湯口がどの源泉なのか微妙だったけど、風情ある湯小屋の光景や白濁の露天風呂など、人気の意味が分かる宿だった。
高湯温泉 玉子湯
★★★★★
[高湯5番 玉子湯外湯]
酸性・含硫黄-カルシウム・ナトリウム–硫酸塩泉?
44.4度
pH 2.8
87.7ℓ/分(自然湧出)
[高湯10番 玉子湯内湯]
酸性・含硫黄–カルシウム・アルミニウム–硫酸塩泉
45.9度
pH 2.8
248ℓ/分(自然湧出)
[高湯26番 滝の湯]
酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム–硫酸塩泉
49.4度
pH 2.7
738ℓ/分(自然湧出)
[高湯17番 仙気の湯]
酸性・含硫黄–カルシウム・アルミニウム–硫酸塩泉
46.6度
pH 2.6
170ℓ/分(自然湧出)
内風呂(男3女3)露天風呂(男1女1)貸切露天風呂1
加温加水循環消毒なし
2025.3 宿泊
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