開湯600年、花巻温泉郷の鉛温泉。一軒宿の藤三旅館に再訪。前回から8年近く経ってた。
藤三旅館は1841年(天保12)創業、180年を超える歴史のある温泉宿。
本館の建物は総けやき造りで部屋数は32室。帳場正面の階段や赤絨毯がレトロでわくわくする。
4つの浴室があるのだけど、いわゆる男女別の大浴場は「桂の湯」。翌朝9時半まで一晩中入ることができる。9時半から11時の清掃後はまた入れる。
鉛温泉 藤三旅館 別邸 十三月(岩手)-温泉手帖♨︎ 側の奥に「白猿の湯」と向かい合う浴室で、唯一の男女別で入れ替えのない大浴場。
暖簾の向かいの簾がある窓の真下が白猿の湯。廊下から覗けないようになってる。
浴室はどこも撮影禁止だけど、許可を得て独泉時に撮らせてもらった。
スリッパを脱ぐと洗面台が並んでいて、化粧水なども揃ってる。タオルは部屋から持っていく。日帰り入浴も多いので、鍵付きロッカーもある。
脱衣棚の一つ一つが大きめなのは、スキー客とかいるからなのかな。鉛温泉スキー場は歩いて行ける距離。
脱衣場の奥の出入り口からは露天風呂に直接出られる。棚の向かいの出入り口は内風呂のある浴室。
湯気でもやっとしてる。右手に4つ並ぶシャワーからは源泉が出る。5本の源泉をブレンドしたり冷ましたりしながら、いろんな所で利用してる。湧出量は毎分600ℓらしい。
亀のような湯船。
この湯口の中は45.5度で、湯船は42度ちょっと。湯口の湯が流れ出てる部分は茶褐色に染まり、触るとぬるっと茶色の湯の花がくっついてる。
この湯口の下部には側面に穴が開いていて、そこから48度超えの源泉が投入されてる。
縁全面から溢れるお湯。
溢れたお湯で暖かいところ通って、ガラス戸から外へ出ると露天風呂。
こちらも足元が暖かいほど、縁から溢れてる。
あぁ、見覚えのある光景。川に沿うように細長いJ型の湯船。マーブル柄なんだよね。
左手の段差部分が大きめで、浅いエリアがある。
湯尻の縁を越えて川の方へざざざばかけ流し。
川側の縁まで寄れば渓流が望める。男湯はもう一段下の川間近に2つ目の湯船があるとか。
内風呂の湯口と窓越しに接する隅に、大きな岩の湯口。蹲みたいな浅めの底から源泉が投入されてる。
中の湯口で48.5度弱。
白いふわふわの湯の花が壁面や底に固まって揺れてる。端っこの方には薄茶色の泡の塊みたいな湯の花が溜まってる。さ、触りたい。
湯船は41.7度と冬の露天風呂にはちょうどいい湯温。
こちら翌々朝の姿。あまりの興奮で声が漏れそうになった。白い湯の花が全体にまぶれついてる。白い犬の毛みたいにふさふさ。いや、白猿か。た、たまらない。これが単純温泉だなんて。
向かいの白猿の湯は混浴。女性専用時間が1日3回あり、朝6時から7時、11時から13時、夜20時から22時。
桂の湯の向かいの出入り口を開けると、眼下にこんな独特の浴室が現れる。
階下に脱衣場。見上げると、出入り口がこんな感じ。
斜向かいにも同じような出入り口があり、こちらは湯治棟からの出入り口。
同じように階段を降りたところに脱衣場。浴室の中に脱衣場があるのは昔ながらの造り。
どちらも衝立が一枚あるだけなので、混浴時の着替えはハードルが高い。
高い高い天井はさらに高くなっていて、湯気抜きの窓か、明かり取りの窓か、吹き抜けになってる。3階建てに相当する高さで、階段は20段もある。
脱衣場うんぬんというより、透明なお湯で、湯船がど真ん中という方がハードルが高いかな。
両方の脱衣場の先に鏡とカラン。これも昔ながら。このカランお湯が出るのか水か分からない。
こちらの端っこにある円形の湯船は、通称「小猿の湯」。白猿の湯とは別の源泉で、他の湯船には使われていないぬるい源泉なんだとか。夏には良さそう。
中央にある小判型の湯船が、日本一深い自噴岩風呂。
縁の周りの溢れ出てさらさらと流れているお湯から、湯量の多さが伺える。
排湯溝に流れる源泉は小川のような音を響かせてる。
深夜に覗くと、お爺さんやお婆さんが入ってたりしたけど、よっぽど足腰よくないと心配な湯船。手すりはないし、入りやすい階段があるわけでもなく、立居浴専用の深い湯船。ほんとみんな元気なんだなぁと思う。
桂の湯に向かって左手が唯一入りやすい部分。ここに少し広めの平な足場がある。
天然の一枚岩をくりぬいた湯船は、1番深いところで140cm。肩がしっかり、首まで浸かる。
石に乗ると細かい泡がたくさん上がってくるし、ここから湧いてると感じる湯の流れもある。でも、足元湧出の白猿の湯だけでなく、湯温調整のため桂の湯と下の湯源泉も注いでいるのだそう。湯温はちょうど43度だった。
入ったのと逆サイドは、狭いけど段差になってるので、こちらからも上がれた。
この「白猿の湯」と「桂の湯」は向かい合って東の端に位置していて、西の端にあるのが「白糸の湯」と「銀の湯」。
帳場を左に、右手にラウンジを見て、廊下を奥まで進むと、突き当たりに入り口がある。
白糸の湯は時間で男女入れ替え制。15時から17時、朝の7時から10時が女性で、それ以外の時間が男性。朝の女性時間の前後1時間は利用不可。
鍵付きロッカーもたくさんある。脱衣籠のある棚も一つ分がゆったり大きめ。洗面台の鏡が3つ違う形。化粧水などのアメニティも揃ってる。
12月にリニューアルしたばかりの白糸の湯には、サウナがある。サウナの利用時間は21時までで、朝は7時から。
ガラス窓の向こうに豊沢川が見える内風呂。
湯気でもわりとしてるけど、かなり天井が高い広い浴室。壁際にシャワーが3つ。
内風呂の奥にはおそらくサウナ用の水風呂。入らないけど、深さが白猿と同じ1.25mなのだそう。
水風呂の向かいにサウナ。男女入れ替え直後だからか、綺麗にタオルが敷いてあり清潔感がある。
出来たばかりの綺麗なフィンランド式ロウリュサウナ。
屋外に冷まし用の椅子まで2、3個置いてある。
サウナブームだねぇと見るだけ。
岩肌をつたって豊沢川に注ぐ白糸の滝を臨む。窓を全開にできる展望半露天風呂なのだけど、真冬なので。
内風呂は熱くてじんじんするほどだったけど、湯口が衝撃で。
こちらのツタンカーメンみたいな湯口。おでこのところの丸い管から勢いよく源泉が注がれ、
周りには一瞬泡かなと思うような、白いマシュマロの表面に焦げ目を付けたような湯の花のかたまり。
きゃー、手にとっちゃった。じゅわっと泡のようなかたまり。きゃー、たまらん。ほんのり硫化水素臭を感じる。
湯口は48度弱で、結構な湯量が注がれ、湯船は44度とかなり熱かった。
桂の湯と下の湯の混合泉。2つの湯口が見えるけど1つしか出てないので、もしかしたらこの時は桂の湯だけ注がれてれたのかな。
前回、桂の湯は59度だったから、熱い桂の湯にぬるい下の湯を加えて湯温を下げて調節してるのかと思ったけど、そうでもないみたいみたいで、5源泉が複雑に利用されてるらしい。pH 8.2のアルカリ性単純温泉。
ざばざば外へかけ流されてる。
白糸の湯の隣にある銀の湯は時間帯で貸切風呂。先着順で、10時から15時は日帰り専用(50分3,300円)、15時から21時は宿泊者専用(50分1,100円)の有料貸切。
それ以外の21時から6時までが女性専用時間、6時から10時までが男性専用時間。
夜中から早朝までって結構使いづらいけど、前回ぬるめで心地よかった記憶があり、頑張って4時半頃入りに行った。
あぁ、こんなのだったー。左手にシャワーが2つ。
湯船からはさらさらと湯が溢れ出てる。
きゃー。またツタンカーメンきたー。
しかもまた泡吹いてるみたいに、白いあわあわの湯の花くっついてるし。
嬉しくてものすごく興奮して近寄るのだけど、湯船は44.5度と激熱で、もちろん湯口も熱い。
2本の湯口から猛烈な勢いで投入される源泉。湯温が微妙に違い、右が48度、左が42.5度ちょいだった。右が桂の湯なのかなぁって思っちゃうけど、どうなのかな。
パイプにたらりとこびり付いてる湯の花が、左の方が多いけど、これだけの勢いなのでただのタイミングで、溜まれば剥がれちゃうのかもしれない。
笑っちゃいそうなほどの勢いで注がれ、とにかく熱い熱い。縁からざばざば溢れていく。
鉛温泉 藤三旅館
★★★★
アルカリ性単純温泉
48.2度
pH 8.2
内湯(男1女1混浴1)露天風呂(男1女1)
加水加温循環消毒なし
2024.2 宿泊
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日本一深い自噴天然岩風呂がある藤三旅館は、花巻南温泉郷「鉛温泉」唯一の一軒宿。新花巻駅より車で35分、花巻駅だと25分。1日3便の無料シャトルバスがある。
約600年前に開湯した歴史ある温泉で、「新日本百名湯」「日本温泉遺産」にも選ばれている。桂の木のたもとから湧出している温泉に白猿が浸っていたところを発見したという由来が、「白猿の湯」ならびに源泉「桂の湯」の名前に残っている。
藤三旅館は1841年(天保12年)開業。昔ながらの湯治部もある。全4浴場6種の浴槽はすべて100%源泉かけ流し。
自噴天然岩風呂「白猿の湯」は建屋の地下に位置し、立ちながら入浴する足元湧出の湯船。(風呂の写真は宿 HPより)
天然の岩をくりぬいて作ったお風呂の底からは、透きとおった源泉100%のお湯がこんこんと湧き出している。
お風呂の深さは約1.25mあり、立って入る珍しい温泉。立位浴と呼ばれ、全身にまんべんなく湯圧がかかり循環器系を整えるほか、血行促進にも効果がある。
湯船から見上げる3階の高い吹き抜けに、足元湧出の有難さを感じる。
「白猿の湯」は混浴で脱衣所も浴室内にある。朝、午後、夜の女性専用時間が貴重。(6:00~7:00、14:00~15:00、19:30~21:00)
男女別の「桂の湯」には内湯と露天風呂があり、浴槽のすぐ隣を流れる豊沢川の迫力ある眺めが楽しめる。
この他2つの内湯も、全て源泉が異なり温泉の成分も異なっている。 夜中じゅう入れるので、時間割を見ながら他の湯へ。
「白糸の湯」は白糸の滝を目の前にした展望半露天風呂。窓を全開にすれば、豊沢川の流れと白糸の滝を間近に見ることができる。
「銀の湯」が1番よかった。 アルカリ性でつるつる。夜中に貸し切りで。あれ?今の時間割だと夜中は男性専用だ。時間変わったのかな?2016年の春に訪れた時は、夜中が女性時間だったんだと思う。夜中に長い時間入った。
つるつるとろとろで、浸かっていることが気持ちよくてたまらない、嬉野温泉のお湯みたいな出たくないお湯。
気持ちよかった「銀の湯」の源泉は桂の湯。43度よりはるかにぬるかったと思う。
花巻駅の東側、遠野まで足を伸ばして。
鉛温泉 藤三旅館
★★★★
アルカリ性単純泉
59.1度
pH 8.5
内湯(男1女1混浴1)露天風呂(男1女1)
加水加温循環消毒なし
2016.4.30 宿泊
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