平安時代の弘仁7年(816年)に弘法大師 空海により開創されてから、真言密教を守り伝えておよそ1200年。修禅の道場として開いた日本仏教における聖地の一つ高野山。
全国の温泉地で語り継がれる弘法大師の開湯伝説。杖を一振りしたら湯が湧き出た、荒れ果てた温泉地を整えた、など。その温泉の神様のような弘法大師が今もなお居るという高野山へ。
和歌山県北部、周囲を1,000m級の山々に囲まれた標高約800mの平坦地にある高野山は、なんば駅から特急こうやで1時間20分。極楽橋駅で下車後、高野山ケーブルカーで5分。大阪から想像以上に近くてびっくりした。
緑に囲まれた極楽橋駅。ケーブルカー駅には屋根のある通路を歩いてすぐに接続できる。
ケーブルカーを降りた途端にひんやりとした空気に変わった。
高野山には金剛峯寺を中心に117の塔頭寺院が現存している。その中の一つ福智院は800余年前に覚印阿闍梨により開かれ、ご本尊は愛染明王という福徳円満良縁成就のご利益のある仏様。
この地は古くから大勢の方がお参りに来て、山内の塔頭寺院が営む宿坊に泊まるのが通例だそう。現在でも52の宿坊があり、年間を通じて多くの参詣者を受け入れている。ほとんどが欧州の人で日本人は2、3割ほど。
鎌倉時代建立の福智院は、山内唯一の天然温泉を整えた宿坊。
60室を超える客室数があり最大250名が宿泊できる、高野山で最大の宿坊。宿泊者はほとんどが外国人。しかも多分満室。
浴場は3つあり、男性用の「桃源の湯」、女性用の「天女の湯」、男女別の「炭酸泉の湯」。
院内は広く、客室や浴場に行くには廊下や階段や池を経て迷い迷いやっと辿り着く。3つある庭は名園らしい。
欧州人の子どもたちが縁側で携帯ゲームしたり、池を眺めながらアイス食べたりしてる不思議な光景。
男湯「桃源の湯」には露天風呂と内湯があり、露天の3つの湯船は高野槙造り。羨ましい。15時から朝の9時まで入れるけど、露天風呂だけは21時まで。女湯の「天女の湯」も入浴時間は同じ。
女湯「天女の湯」。一晩中入れる割にはいつ行っても数人いて、日本人独特のこの時間は混んでるとか、誰も入っていない時間帯みたいなのが全く通じなかった。
内湯は湯船の縁だけ高野槙。香豊かな湯船、とまでは思わなかったけど、消毒臭があまり気にならないお湯だった。
42度ちょいの湯温だけど、妙に熱く感じる。なめらかでつるつる浴感。無色透明無臭。循環消毒ありなので飲めない。
髪の毛など浮いているのが多め。ここは文化の違いで仕方ないのかと。
露天風呂は岩風呂。そんなに大きくないので、3人も入れば窮屈なぐらい。
湯温は42度弱。外気が涼しいので、熱すぎない温度。
湯口とは別にジェットバスみたいな吹き出しがあり。
外国の方が喜ぶのかしら。
元は内湯の湯をこちらに流し込んでたような湯口が壁側に。今は塞がってる。
露天風呂からサウナに入れる。
利用時間は15時から20時まで。
夕食が18時からで写経が20時から。それぞれ違う時間制限がある露天風呂やサウナ、もう一つの浴場。ややこしくて、効率よく入れなかった。
結局みんな、一晩中入れる「天女の湯」の内湯を利用することになるのでは。
脱衣所の奥のパウダールームと、露天風呂との間に天女がいた。
湯温が28度の単純温泉。加温し、循環消毒している。300mの距離を容器輸送している。
天女の湯の出入口にある湯上り処。螺鈿細工のお宝が飾ってある。外国の方たち、ここでワイワイ賑わってた。
もう一つの浴場は玄関近くにある「炭酸泉の湯」。(4月から11月のみ)
玄関まで戻って、帳場を行き過ぎたところに。男女別で入れ替えもなし。
清潔な脱衣所。
少し暗めで、湯船が一つだけのこじんまりとしたシンプルな浴室。
壁の湯温計が38.2度!ぬる湯だ。
人工の炭酸泉。血行や新陳代謝がよくなる。人工でもそうなのね。すごい泡付きらしい。
15時から23時まで。翌朝は入れないとは。時間なくて入れなかった。天女の湯じゃなくて、こっちに入るべきだった。悔やまれる。
他に貸切の家族風呂もあるそう。(要予約、有料)
まるで旅館なんだけど、何が違うかというと、写経や朝の勤行に洋服で行かなきゃいけないので、浴衣で寛ぎ続けることができない。結局、食事も洋服で。
温泉に入ろうと思っても、洋服で行き、また洋服を着て戻ってこなきゃいけないので、温泉に行くのが億劫に。温泉に入るタイミングが難しくなる。
部屋でも結局洋服のまま。
炭酸泉の湯に入っておけばよかったな。はなから循環消毒だと軽んじて、時間をきっちり認識してハシゴする気力がなかった結果。残念。
でも、写経や朝の勤行はすごく良かった。
高野山温泉 福智院
★
単純温泉
28.7度
pH 7.5
65ℓ/分
男女別 内湯、露天風呂、炭酸泉風呂
加水なし 加温循環消毒あり
2019.8.17 宿泊
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