土湯温泉 土湯別邸 里の湯(福島)

千年前、大穴貴命が陸奥の国に下る際、荒川のほとりを鉾で突いたら温泉が湧き出したという伝説に由来し、“突き湯”と呼ばれていた温泉が、いつしか“土湯”に転じたとされる土湯温泉。

開湯は1400年以上前ともいわれてる。歴史の長い湯治場。

f:id:ayumu27:20220528182608j:image

福島駅から車で南西に30分ほど。宿に予約すれば、片道5,000円の定額タクシーも頼める。

土湯温泉郷には、吾妻・安達太良連峰の峠付近の温泉(鷲倉温泉、赤湯温泉、野地温泉、新野地温泉、幕川温泉)も含むと、17軒の宿がある。

f:id:ayumu27:20220528182540j:image

温泉街から離れた土湯温泉の入り口にある土湯別邸 里の湯。渓谷の急斜面にある僅かな平地に建つ隠れ宿。

f:id:ayumu27:20220528182526j:image

磐梯朝日国立公園内にあり、眼下には荒川の渓谷。

昭和59年創業で、建物も築35年超えてるみたいだけど、2020年のリニューアルオープンで全9室のまるで新しいお宿かのよう。

f:id:ayumu27:20220529185427j:image

大浴場はなく、予約制の貸切風呂が3つ。3回入ることができ、貸切時間は1回目が40分、あとの2回は30分。

f:id:ayumu27:20220529185424j:image

予約時間にお風呂の準備ができると、フロントから電話がくる。部屋の鍵と貸切風呂の木札を交換。

階段を降りながら廊下を進んでいくと、まず「深碧」の出入り口が正面に現れる。ここから外履きで歩いていく貸切風呂。

f:id:ayumu27:20220528182457j:image

その左手奥に、浴場の行灯があり、

f:id:ayumu27:20220528182518j:image

手前に「青藍」、奥に「櫨染」がある。かつては大浴場だった名残りなのかな。

利用時間は14時から23時までと、朝は5時半から10時まで。

フロントで受け取った木札を入り口にかけ、中から鍵をかけて利用する。

f:id:ayumu27:20220528182605j:image

洒落たドレッサーのある青藍。

f:id:ayumu27:20220528182629j:image

各お風呂にフェイスタオルもバスタオルも備えついていて、洗面台にはアメニティもドライヤーも揃ってる。

f:id:ayumu27:20220528182648j:image

青藍は内風呂と露天風呂の2つの湯船がある。

f:id:ayumu27:20220528182652j:image

シャワーは2つで、窓際に古代檜の湯船。

f:id:ayumu27:20220528182625j:image

湯口からは47度くらいのお湯が出ていて、湯船は41度ちょいだったけど、

f:id:ayumu27:20220528182558j:image

循環とかけ流しの併用。加水も加温もあり。

f:id:ayumu27:20220528182635j:image

でも、排湯が間に合わず、ごごぉっと音を立てるくらい、かけ流されてるから、そんなに嫌でもない。あれ?これが排湯かどうかは分からないや。

f:id:ayumu27:20220528182514j:image

三⽅がガラス張りになってるので、樹々が迫って見え、眺め応えがある。

f:id:ayumu27:20220528182511j:image

塩素臭は気にならない。循環特有の泡付きが少し。

f:id:ayumu27:20220528182536j:image

網戸の向こうにちょっと通路があり、その先に露天⾵呂。屋根もあり、安心して入れる。

f:id:ayumu27:20220528182555j:image

さらに樹々が間近で、林の中にいるみたい。

f:id:ayumu27:20220528182659j:image

こちらの湯船も古代檜。2人ならちょうどいいサイズ。

f:id:ayumu27:20220528182602j:image

縁から湯が溢れ出ていく。この湯船はかけ流し。

f:id:ayumu27:20220528182615j:image

湯口は58度。源泉は土湯温泉2、15、16、17号泉の4本の混合泉で、4本中3本は自然湧出。源泉地は、温泉街から2km離れた山深い荒川の源流沿い。

混合泉の源泉温度は62.2度で、約2kmパイプで引き湯してる。

f:id:ayumu27:20220528182504j:image

湯船は41度。無色透明でふわりとした湯感触のまろやかなお湯。塩素消毒してるけど、消毒臭はほとんど分からない。

湿った土のような匂いがし、薄茶色のふわふわした湯の花が舞ってる。

f:id:ayumu27:20220528182645j:image

土湯温泉は、“噴気造成泉”という造湯の仕組みで、地中から噴出する130度〜150度の蒸気と温泉に、湧き水を加えて65度の温泉水を作ってる。

源泉造湯量は毎分1,420ℓもの量で、温泉協同組合が管理し、各宿や施設に配湯。土湯別邸には毎分50ℓの配湯がある。

f:id:ayumu27:20220528182532j:image

4本のうち3本は硫黄泉なのに、単純温泉ってことは、加える湧き水の量によるものなのかな。

f:id:ayumu27:20220528182551j:image

新緑が好きだけど、紅葉もすごそう。

すぐ隣にある「櫨染(はじぞめ)」。普通の大浴場の脱衣所。とても清潔で綺麗。

湯船だけでなく、床や壁にも檜が使われてる。

さらりとした檜造り。

洗い場には4つのシャワー。しっかりした洗い場があるのは、ここと隣の青藍で、深碧は露天風呂だけ。

この湯船に使われている檜は、海抜2,500m以上の深⼭幽⾕の地に樹齢千年を数え、地殻変動地震、落雷等によって⽣⽊のまま倒⽊、そのまま200年近く時を経た古代檜。

ひとりで入るのは申し訳ない大きさ。

手前のいかにもな湯口は使われていなくて、奥の木の株みたいなところから湯が注がれていて、

湯口で44度。循環で、湯船は41.5度。

意図してるのかどうかは分からないけど、縁の隅からほんの少し湯が流れ出てる。

3つ目の貸切風呂は緑に囲まれた「深碧(しんぺき)」。

ここだけは、建物から出て外履きに履き替えて歩いて行くからか、夜の利用時間が22時半までと30分だけ短い。朝は5時半から10時までで同じ。

結構な階段。行きはいいけど、お風呂上がりの帰りは汗だくなパターン。

でも階段には屋根があるし、屋外なのに清潔。緑の森に入っていくみたいで、爽快な通路。

真ん中に御手洗を挟んで、2つの出入り口。ここも以前は男女別か、2つの貸切風呂だったのかな。

いまは中も1つ。

奥側は洗面台や冷蔵庫など。

温めたバスタオルまで置いてある。至れり尽くせり。

3つの中で断トツ人気の貸切風呂。ゆっくりチェックインだったので、初日の明るい時間はいっぱいで、翌朝の早朝に。

湯船にほんの少しかかるくらいの屋根がついてる。広い湯船。縁から湯が溢れ出てる。

この檜のベンチが優れもの。ベンチってありそうでなかった。そして座り心地がいい。

ベンチに腰掛けながらの半身浴。しかもこの杉木立。虫もほとんどいない。極楽。

湯口から注がれてる源泉は56度弱で、湯船は41.3度。ぬる湯好きとしては熱めだけど、一般的に適温。

深碧には、⼤⼩2つの露天⾵呂がある。もうひとつは、奥の渓流沿いに。

小と言っても、十分な大きさの八角形の木の湯船。

森の中にぽつんと露天風呂。やっぱりこれに入りたいって思うよね。人気なのもうなづけるロケーション。

縁から湯が流れ出てる。ここもかけ流し。

かなり絞った湯量で、湯口は55度割れだけど、湯船が小さいので42.5度と熱い。

我が家には熱いけど、湯量だけで微妙な湯温調節してて、すごい細やか。

青藍の露天風呂に舞ってた薄茶色の湯の花と同じ湯の花がたくさん。

保湿成分のメタケイ酸が128mg含まれてる。やっぱり源泉かけ流しでこその美肌成分。肌に染み込め染み込め。

各部屋に源泉をひいた古代檜風呂がついてる。だから、大浴場なくても大丈夫。

自分で湯を張る。

源泉カランから熱い源泉が出るので、溜まったお湯は56度。加水せずに入ろうと思ったら、着いた早々に湯を張り、かなり放置しておく必要あり。

すごい勢いで湯を出せるから、あっという間に溜まる。その分熱々だけど。

湯が冷めたら、ちょっと足せばすぐに適温にできる。

ただ、この湯船、体の大きい人には小さめ。無理やりはまり込んで、身体が長方形の湯船の形になってしまうやつみたい。

誰にも会わず、別邸みたいに過ごせる宿だった。カモシカがいるみたいで、ぜひとも見たくて夕方と朝とパトロール(散歩)したけど、会えなかった。

 

土湯温泉 土湯別邸 里の湯
★★★
アルカリ性単純温泉
pH 7.49
62.2度
1420ℓ/分(源泉造湯量)のうち50ℓ配湯
貸切風呂3
加水加温循環なし 消毒あり
2022.5.28 宿泊

コメント

error: Content is protected !!