鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや(宮城)

鳴子温泉に再訪。東京駅から古川まではやまびこで2時間15分ほど。陸羽東線に乗り換えて45分ちょい。鳴子温泉駅から歩いてすぐのゆさや旅館へ。

前回の鳴子温泉 旅館すがわら(宮城)-温泉手帖♨︎ も江戸時代創業の老舗旅館だったけど、

ゆさやは寛永9年創業で、鳴子温泉最古の宿。創業390年超え、現在亭主が17代目で、鳴子温泉発祥の「滝の湯」の湯守。昭和11年に改築した木造2階建ての建物は国の登録有形文化財で、滝の湯と隣接してる。

江戸時代にススキ野原の中に滝の湯だけがあった頃、宿があればいいのにとの声に応えるために湯治人宿「遊佐屋(ゆざや)」を作ったのが始まり。

ぱっと見気付かないあたりに名入りの浴衣。着てから気付いた。すがわらも名入り浴衣だった。

ゆさやは、大浴場の「うなぎ湯」、貸切露天風呂の「茜の湯」、共同浴場「滝の湯」の3種類の温泉に入ることができる。

宿泊者は、隣の共同浴場の滝の湯を何度でも無料で利用できる。ありがたや。帳場に置いてある入浴券をもらって行く。入浴時間は7時30分から21時までで、本来の料金は大人300円。

鳴子温泉神社の御神湯として千年の歴史を持つ古湯で、滝の湯保存会が運営してる。

下駄箱に下駄を入れ、正面の番台に券を渡すと、30分を目安に出るように言われる。浴室は総ヒバ造り、湯船は男女別に大小2つずつある。撮影禁止なので、宿や保存会のHP画像で。

脱衣所側に大きな熱湯、奥に小さなぬる湯。上部にある3本の太い木の湯口から滝のように湯が注がれていて、1本が手前の湯船に。

大きい方は正方形で10人は入れるサイズ。こちらは透明感があるけど、奥の小さい方は乳白色の濁り湯だった。

小さい湯船は細長い4、5人サイズだけど、真ん中辺りは頭上の2本の木からばちばちと音を立てて湯が注がれてるので、両端の2人以外は湯をかぶりながら入るしかない。女湯はこの画像とは違い、真ん中に2箇所注がれてる。

この日は大きい方は43度、小さい方が40.7度だったので、小さい湯船に気持ちよく入れた。大きい方に入ってる地元のおばあちゃんが「今夜はぬるいね、お天気のせいだね」と教えてくれた。HPにも44〜46度と、小さい方も40〜42度と書いてある。ぬるい日でよかった。

源泉温度が43.9度で、加温なしのかけ流し。使用温度が47度の意味が分からないのだけど、源泉は温泉神社硫黄泉、からすの湯、下地獄の混合泉で、酸性・含硫黄・鉄(II)-ナトリウム・アルミニウム硫酸塩泉。

小さい湯船はかなり深い。事前に亭主から教わって来たから大丈夫だったけど、縁に一度腰掛けて足を下ろしてから入らないと危ないほど。

クリーミーな乳白色の中に白い細かな湯の花が見える。ばちばちと湯が上から注がれ(打たせ湯方式)、茶色の縁からざばざばと溢れ出てく。端っこにいても飛沫を浴びる。ほんのり酸味があり、ちょっとだけ目にしみる。粉っぽい硫黄の香り。pH 2.9の酸性で、弱アルカリ性のゆさやの大浴場や露天風呂とは異なる泉質。

意外なほどふわつるの肌触りだけど、手と肌が馴染んでくるときゅうっと軋むように吸い付く。

あまりの気持ちよさに2度入りに行った。朝も行きたかったな。

ゆさやの中の大浴場は玄関のすぐそば。浴室の大きさが全然違う2箇所を男女入れ替えで利用。突き当たりに見えてるのが広い浴室、

細い廊下の先にあるのが小さい浴室。夜21時と朝の8時に入れ替えだけど、宿泊状況によっては前後するとのこと。この日は女性客が多かったからか、21時過ぎても広い方が女湯のままだった。

脱衣所で一度すれ違ったくらいで、毎回独泉だった。混んでないしゆったり。洗面台にはドライヤーが1個。化粧水などのアメニティも備え付いてる。

高い天井の広い浴室に湯船が2つ。違う色に見えるけど同じ泉質。

洗い場は右手にシャワーが4つ。注意書きにもあるように、お湯が出るまでかなり時間がかかる。途中で冷たくなったりも。

まずは手前の小さい方、五角形の湯船から。

2人入れなくはないけど、先客がいたら入らないサイズ。

縁の周りに石が積んであり、一段高くなってる。なんか、見た目がたまらなくいい。

縁から溢れたお湯がちょろちょろと流れ出し、岩場を白く染めてる。

深緑色の湯面には白い湯の花が浮いていて誰も入らなかったらすぐ湯膜になりそう。

上だけ熱いのでよく混ぜてから入るように言われたので、湯搔き棒でしっかり混ぜると、

繊維状の大きめの湯の花が底から舞い上がる。泉質は含硫黄-ナトリウム硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉。硫黄臭というより油臭がする。

岩から突き出した細長い木の湯口。岩は黄色や緑に色付きかなり腐食してる。

湯口の長い木の板には、流れに沿って繊維状の湯の花が長く育ってる。湯面には結晶みたいな白っぽい湯の花が浮かんでるのにこちらは灰色。湯底に溜まってたのと同じ。

熱いもんだと思って湯揉みして入ったら、40度のありがたぬる湯。湯口の温度は63度もあるけど、ぐっと絞って注がれてる。

源泉温度は68.9度。うなぎ湯源泉だけでなく、6本の山道新源泉との混合泉。

“うなぎ湯は定期的に間欠します。その際は山道混合泉を使用するので、ぬるぬる感が低下します。”という貼り紙があった。解釈しづらいのだけど、うなぎ湯の湯量が少ない日は混合泉の割合が高くなるということなのかな。

pH 7.9で、重曹成分もそれほど多くないのにとろりとした湯感触でぬるぬるの肌触り。

大きい方の湯船は、10人は入れる広々サイズ。浴室の空間が広いので、相対的に大きく見えづらいけど、とても大きい。

正方形のタイル張りで、縁に沿って段差が一段ある。

湯尻からかけ流される源泉で、インク絵みたいな柄に黒く染まってる。

こちらは43.5度超えの熱さで、入れない。

立派な湯搔き棒があるけど、こんな大きな湯船をひとりで湯揉みしたところで、入れる温度にはならない。

耐えながら測った湯口は73度。絞って注がれてはいるけど。

地下65mから90.2度で湧出しているうなぎ湯源泉。高温なので、湯の入れ替え時だけ水を加えて適温に調整し、その後は源泉のみ湯量で温度調整してる。源泉率約90%とのことなので、ほぼ源泉だけど。ここでいう源泉とは山道新源泉も混合されてるかと。

うなぎ湯は文政年間の『大八州遊記』やその後の『撫子日記』に紹介され、江戸時代中期には世に知られる名湯だったそう。

翌朝、小さい方の浴室へ。スリッパは廊下に脱いでから入るみたい。

ドアを開けたら目の前が脱衣所。

脱衣所も小さめ。浴室は広い方と比べると小さいけど、これしか見なければ別にこれでも不満はないサイズ。シャワーは2つ。

細長六角形の湯船は4人サイズくらい。深緑色のお湯で底が見えにくいほど濁ってる。

明け方に大きい方の浴室に入ったうちの人が、小さいのはぬるかったけど、大きい湯船はさらにぬるくて、夏のプールみたいだったと言ってた。あの熱くて入れなかった湯船が。だから、ぬるくなってるんだ!と軽い足取りで向かったのだけど。

こちらの浴室の湯船は、どんなに湯搔きしても45度。熱過ぎて湯口を測る余裕なし。一瞬しかつかれなかったけど、ぬるぬるはぬるぬる。

湯口の岩には硫黄泉らしい灰色の湯の花が太い繊維のようにこびり付いてる。湯搔きしたので、湯船の中にも黒や灰色の湯の花がわさわさ舞ってた。

朝8時過ぎて、大きい方の浴室に行ったら、大小の湯船2つとも39.5度割れのちょうど良いぬる湯だった。熱い源泉だから調節難しいんだろうな。

もう一つの茜の湯は、貸切の露天風呂。チェックイン時に時間を予約する。宿の道路を挟んだ向かいの道を上っていったところにある。

時間前に帳場から電話があり、帳場に降りて説明を受けてから向かう。何の説明だったかな。電気はつけっぱなしで、とかだったような。

露天風呂といっても、ちゃんと小屋があって、立派な脱衣所。ここから覗く露天風呂がすでに美しい。

飲酒・喫煙禁止の貼紙。絶対ありえんでしょと思うけど、なんだかされそうな雰囲気があるからこわい。

脱衣籠もベンチもあり、小さな洗面台もあった。

あぁ、いい季節。脱衣所にヘビや蜂、虻に気をつけろと書いてあったけど、ぎりぎり虫も多くない、熱すぎない、新緑の光景。

8人くらい入れる大きなサイズ。縁だけ木造りで、中はタイル張り。

さらさらと縁から溢れかけ流されてる。

一旦湯桶に溜められた湯が、長い湯樋を伝って湯船に降りてくる。

湯桶の中で50度、湯口の先で48度、湯船は41度だった。

この源泉は、大浴場のうなぎ湯に足されてた6本の山道新源泉の混合泉。

泉質は含硫黄-ナトリウム硫酸塩・塩化物・炭酸水素塩泉で、うなぎ湯とほとんど変わらない。大浴場は、うなぎ湯に茜の湯を足してたものなのか。

大量の黒い湯の花が漂ってる。

桶に近づくと硫化水素臭がする。湯上がりの肌はするっするの硫黄泉。

3種類のお湯を堪能。大浴場の湯温が熱い方に傾くとつらいけど、ぬるい日だとラッキーかな。

滝の湯がすごく良かったけど、これも熱い日(普段?)だったらゆっくり入れなかったかもしれない。

 

鳴子温泉 元祖うなぎ湯の宿 ゆさや
★★★★
[うなぎ湯混合泉]
含硫黄-ナトリウム硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
68.9度
pH 7.9
[茜の湯混合泉]
含硫黄-ナトリウム硫酸塩・塩化物・炭酸水素塩泉
88.0度
pH 8.3
[滝の湯混合泉]
酸性・含硫黄・鉄(II)-ナトリウム・アルミニウム硫酸塩泉
43.9度
pH 2.9
内風呂2 露天風呂1
加温加水循環消毒なし ※うなぎ湯のみ加水あり
2025.5 宿泊

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