海を間近に据えながらも山に位置する川棚温泉。室町時代から800年もの歴史のある温泉地で、現在6軒の宿と1軒の温泉銭湯がある下関の奥座敷。
山陰本線の川棚温泉駅からタクシーで5分、新幹線の新下関駅からは30分。
飛行機だと、山口宇部空港からレンタカーで1時間弱、北九州空港からだと1時間ちょい、福岡空港からは1時間45分ほどかかる。
創業昭和4年、80年続く老舗の旅館 小天狗がつくった新館の屋号は「さんろじ」。
山の小路を歩くように、時間を忘れ、浮世を忘れ、こころの散歩を楽しめるようにと。
離れの全8室が小路の先に点在している。メゾネットと平屋の2タイプがあり、それぞれの部屋に源泉かけ流しの露天風呂が付いている。
この宿は、室町時代から湧き続けているという「小天狗泉」と呼ばれる自家源泉を所有していて、さんろじの客室風呂も本館の小天狗の大浴場も源泉かけ流し。
選んだ部屋は平屋のツイン、八之庄。
湯船がふたつあり、ひとつが寝湯だったので、この部屋を。
ぬる湯を求める我が家としては、部屋にせっかく付いてる温泉が熱かったら、目も当てられないので、ぬるかろう寝湯に保険をかけて。
『涌いてあふれる中にねている』
寝湯は予想通り、38度ないぬる湯。
ただ、ふくらはぎくらいの深さで、つまり座るとへそ上くらいしか深さがない。多分男の人だともっと浅い。
枕石もこの高さ。頭置いたら、ほとんど身体が出てるという。
私は足側の縁に頭おけば、なんとか寝湯できるけど、旦那さんは身体に合わず。
源泉が注がれている方は41度前後。一般的には適温。我が家的には、秋冬に来たい湯温。
お湯は無色透明で、甘みがあり超ほんのりの塩気。目に滲みたりしない程度の塩化物泉。
泡付きがあり、ふわりとした肌触り。じっとり肌に馴染む。
泉質は含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。源泉温度は43.6度。加温も加水もしない湯使い。
ラジウム含有量が全国で6位なんだそう。こんな適温の源泉かけ流しのラジウム泉なんてすごいのに、あんまりラジウム泉をウリにしてる感じではなかった。
大きい方の湯船から溢れた湯が縁から寝湯に流れ込み、そこからかけ流されていく。
露天風呂以外にちゃんとした浴室もあり、普通の湯船とシャワーがある。
さんろじの宿泊者は、本館の旅館 小天狗の大浴場にも入れる。
夜は23時まで、朝は6時から8時まで。男女別の大浴場で、それぞれ内湯と露天風呂がある。夜の21時に男女入れ替え。
日帰り入浴は昼の12時から20時まで。
薄暗い脱衣所の引き戸を開けると、急に明るい浴室が広がる。
薄いパステルブルーのタイルの丸い湯船、露天風呂へ続くガラス戸から入る自然光で、なんだかスパみたいな明るさ。
シャワーは四隅にあるという、初めてな配置。
湯口の周りもタイルで覆われていて、レトロかわいい。
内湯の湯温は42度前後でちょっと熱め。
湯口から直接湯を掬い顔を洗うと、少し硫黄の香りがする。
露天風呂はたった一歩だけ外に出たところに。
こちらはぬるめで、41度割れ。湯口から離れたところだと、長湯もできる適温。
泡付きがよく、ふわりとした肌触り。白い細かい湯の花がたくさん浮いてる。
翌朝、もう一方の大浴場へ。こちらは明るい脱衣所。
真ん中に内風呂があり、ガラス戸の向こうに露天風呂が見えてる同じような造り。でもこちらの方が好き。
両側にふたつずつシャワー。
41度ちょっとの湯温で、泡付きあり。ぬるぬる感はなく、泡を払うときにふわりとし、その後はしっとりした湯感触。
片方の縁から湯が溢れてかけ流されてる。独泉で気持ちいい。朝一のひとり風呂を堪能。
露天風呂は湯底に水色のタイルが貼られた、長細い湯船。
結構浅めで、胸までしかない。ぬるめなので、肩まで浸かろうとすると、身体を倒して(エアー寝湯みたいに)かなりのスペースが必要。数人で入ると、肩が寒くても座ってるしかない。
湯口のそばにいると肌が泡あわになる。硫黄の香りはあまり感じられず、土っぽい香り。塩素臭はほとんどない。
39.5度前後でちょうど気持ちいい。
ラジウム泉は呼吸器や消化器から痛風までなんでも効く。長く入ってたくさん吸い込みたい温泉だから、ぬる湯万歳。
血流改善効果があるので保温効果も高い。ぬる湯でも、湯上がりはさすがに汗が出るし、肌も少しねっとりする。
川棚温泉 小天狗さんろじ
★★★★
含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
43.6度
pH 8.1
260ℓ/分
客室露天風呂8
旅館小天狗 大浴場(内風呂2、露天風呂2)
加水加温循環なし 消毒あり
2020.6.6 宿泊
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