鹿児島県最北の温泉、栗野岳温泉。鹿児島空港から車で30分ちょっと。霧島連山西側の栗野岳中腹、標高700mに位置する一軒宿の南洲館。明治に創業し現在4代目。秘湯を守る会の宿。
この温泉の歴史は古く、元禄から宝永時代(1700年頃)に開かれたと伝えられ、南洲館の屋号は西郷隆盛が明治の始めにここに逗留したことに由来している。
湯治に来ていた西郷さんは、象皮病の療養のために硫黄泉を求めて訪れ、1ヶ月間温泉三昧だったそう。羨ましい。
明礬を採掘する山として江戸時代中期に開かれ、明治期に明礬山としての必要性が低下すると、湯治場として利用されるようになった。奥の建物は明治期のもので、今は手前のこちらの建物が宿泊棟。
別名「岳の湯」と呼ばれる火山性の温泉で、裏山からもくもくと湯煙があがっている。敷地内を10分ほど登ると、火山性硫化水素ガスが噴出し、煮えたぎる泥の池が点在する八幡地獄がある。
八幡地獄は裏の石段を上がってくとあるよ、くらいの軽い感じに聞いて、宿のクロックスで出かけたら、しょっぱなから木の根っこの階段だった。(あとは平坦な道)
地獄に行くまでの道々、足元でぐつぐつ湯が湧いてる。
水溜りみたいなぐつぐつがたくさん。
八幡地獄という大小様々の噴気孔。2ヘクタールの広さは登別と変わらない大きさだそう。
雨で下がぬかるんでて靴下どろどろ。でも見に行ってよかった。温泉への期待が高まる。
八幡地獄入口にあるのが温泉蒸気を利用した「蒸し湯」。
入り口から伝わり出てる青色の成分‥。すんごい強そう。効きそう。
木造平屋の湯小屋。靴を脱いで上がると脱衣所で、その先に浴室。上がり湯用の湯船があるみたいなんだけど、今は湯はないからと説明受けた。この部屋のことだな。
で、カーテンの向こうが蒸し風呂。
温泉の蒸気を利用した天然のサウナ。カーテン開けただけで、すごいアンモニア臭と強い湿気。
奥にベンチ。新しい木なのかな、とても清潔な感じ。
浴衣着たままのぞいただけなんだけど、あまりに強そうで無理だと思い、すぐに出た。1人で長時間入らないように、1回目は5〜10分、2回目が3〜5分を目安にと書いてある。
一瞬だったけど、浴衣がじっとり。
南洲館には3種の異なる源泉があり、2日かけて50度ほどに下げ、それぞれ特長のある蒸し湯や泥湯に使われているのだとか。蒸し湯、桜湯、竹の湯という個性的な3つの湯。
蒸し湯のそばにある「桜湯」の湯小屋は明治のもの。番頭さんはいないけど、レトロな雰囲気。
床などの板はとても綺麗で清潔。
日帰りの方たちも結構いたけど、ほとんどが男性だった。
桜湯はpH2.8の硫黄泉。強酸性のため加水している。
天井が充分に高く、硫黄の香りはそれほどきつくない。
湯船からは3方へ湯が溢れかけ流されていて、縁にも湯の花が積もってる。
細かい白い湯の花が大量に舞い、青みがかった乳白色の濁り湯に見える。
湯温は43.3度。熱い。きりっとする。
ただ、それより何よりも、石造りの湯船のごつごつが痛くて、そっと歩いても痛いし、短い時間でも座っていられない。お尻が痛くて。
この段差の部分も痛いので、半身浴も無理。ここに沈殿した湯の花がたっぷり溜まっていて、足を入れるともわっと舞う。
少し酸っぱい硫黄泉。
桜湯と蒸し湯は夜の9時までで、もう一つの竹の湯は夜10時まで。朝は7時前から。内風呂はチェックアウトの10時まで一晩中入れる。
さて、最後の「竹の湯」。宿泊棟の奥の方に離れて建っている。
こちらも木造りが素敵な清潔な脱衣所。
泉質は酸性・含鉄(Ⅱ・Ⅲ)-アンモニア-硫酸塩泉で、pH2.2の強い酸性のため加水している。
鹿児島県本土では最も酸性度が高い。脱衣所には、肌の弱い方、病中病後の方、体調のすぐれない方は入浴を控えて下さいと、大きく書かれてる。
大迫力の浴室。灰色の湯に打たせ湯のような湯口。雰囲気あり過ぎる。硫化水素臭も強い。
湯温は41.5度ちょいで、かなり気持ちいい。湯感触はきしむというより、きゅうーっと肌に染み込む感じで、ふんわりなめらかな肌触り。あとでじっくり見てみたらメタケイ酸が379mgも入ってる。すごっ。天然の保湿成分。美肌のメタケイ酸。
石造りの湯船で、縁のあたりは墨色に。なんで竹の湯なんだろ、墨の湯の方がしっくりくるな。あぁ、湯口が竹なのかな。
湯泥ができるほど凝縮された強烈な湯。1人で長時間入浴しないように注意書きがある。
冬場はお湯の量が少なくなり、泥が多くなり、酸性が強くなるそう。
湯上がりの肌はするんするん。指紋が無くなったみたいに指先がするするになる。
石造りの湯船なんだけど、湯底は木みたいで、木と木の間に泥がごっそり溜まってる。
排出口は右奥で、すごい勢いでかけ流されていく。
強烈な酸味。水で薄めてるにもかかわらずすごい酸っぱい。
夜に行ったらめちゃくちゃ熱かった。45度超えてたのでは‥足しかつけられなかった。かなりの雨が降っていて、濡れながら行ったので残念。
翌朝ご主人に「熱かったでしょー、悪いねー」と言われた。(こちらから何も言ってないのに)
竹の湯の横に(温泉の)川があるんだけど、雨で滑るから葉っぱが詰まってるのを取り除きに行けない、みたいな話をされた。話の途中で常連さんがチェックアウト。詳細を聞けなくて、ハテナ?で終わってしまった。
90度もある源泉、冷ましたり、加水したりする過程で、昨夜の大雨が影響したんだろうなぁと勝手に解釈。
宿泊棟の新館に、宿泊者専用の檜風呂がある。
小さな脱衣所。湯船も小さいので、誰もいない時を見計らって。一日4組しかとらないのでほとんどかち合わない。
リンスインシャンプーなので、シャンプーは持参した方がよし。
湯船の中にある湯口から熱い源泉が出ていて、水を足して入るようになってるのだけど、これまた鬼のように熱くて。
右手前の蛇口から水を出して、その蛇口のそばに水を受けるように縮こまって座るんだけど、奥からやってくる熱い源泉に勝てない。悲しい。
肌に吸い付くような肌触りだった。ざりざりの湯の花が湯底に溜まってる。
温泉の蒸気で蒸し上げる名物の鶏の丸蒸しを予約。有難い温泉の恵み。こんなに立派な丸蒸しがついて、ひとり12000円って安すぎる。
2階の10畳の部屋は、秘湯とは思えないほど綺麗で広くて快適。トイレも付いてる。
枕は硬いやつだったので、私は要持参だ。旦那さんは硬いの好きなので、満足そうだった。
帰りに鹿児島市内に足を伸ばして、県立吉野公園の河津桜。
栗野岳温泉 南洲館
★★★★
[桜湯]
酸性単純硫黄泉
61.2度
pH 2.8
[竹の湯]
酸性・含鉄(Ⅱ・Ⅲ)-アンモニア-硫酸塩泉
90度
pH 2.2
蒸し湯、桜湯、竹の湯、内湯(すべて男女別)
加水あり 加温循環消毒なし
2020.2.15 宿泊
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