湯平温泉 右丸旅館(大分)

由布院温泉から20分ちょっと南下した湯平温泉。大分空港から高速使うと1時間ちょい。由布院と同じ、由布市湯布院町なんだけど、なぜかあまり目に留まることなく今日まできた。

由布市内の5地域の温泉、由布院温泉、湯平温泉、塚原温泉、庄内温泉、挾間温泉を湯布院温泉郷と呼ぶのだそう。湯平温泉は由布院よりも歴史が古く、開湯は800年も前の鎌倉時代。

現在のような温泉街が出来上がったのは江戸後期で、花合野川に沿って作られた石畳は、300年も前に作られたもの。

こんなに風情ある素敵な温泉街、他にないかも。人がいないのもまたよくて。でも戦前は、別府温泉に次いで九州第2位の入湯客を誇る温泉地で、その頃は西の横綱に番付されてたほど。

情緒ある石畳の坂道は500mに渡って続き、両脇には温泉やお宿、土産物屋などが軒を連ねてるけど、閉まっているところも多い。現在では20軒ほどの宿があるみたい。

石畳の坂道の突き当たりに建つ右丸旅館。

右手の橋を渡った先にも、左手の細い石畳の先にもまだ温泉街は続く。

右丸旅館は明治創業の老舗宿で、自家源泉を持ってる。

いわゆる大浴場ではなく、4つの貸切風呂があり、いずれも予約なしで空いていたら自由に利用できる。

まず2階に上がった左手に「家族風呂」。

細長い脱衣所は、椅子と脱衣籠のみ。

想像以上にゆったりした浴室に、シャワーが2つ。

扇形のこじんまりした湯船に、黄土色の湯。

縁の石は茶褐色に染まってる。新しい源泉が投入され、ここからかけ流されてるタイミングがあるのかどうかは分からないけど、今この瞬間にはお湯に動きはないように見える。

湯使いは循環。どのパイプがどんな役割なのかは分からない。湯温は43度。混ぜたらもう少し低いのかもしれないけど。

自家源泉は、65.3度のナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、pH 6.6の中性。鉄分を含むので、酸化して黄土色に。

江戸時代の初期から胃腸病に効くことで有名だった湯平温泉。日本三大胃腸病の名湯のひとつ。飲泉どころか、かけ流しじゃないのは残念。

壁の上に隙間があり、隣にもお風呂がある雰囲気。おそらく「大浴場」。

2階からあと数段上がったところに、大浴場の木札。

ほんとに大浴場のような脱衣所。洗面台が2つあり、ここにだけドライヤーもある。

ひとりで入るなんて申し訳ない、ほんとに大浴場。

シャワーは壁際に2つ。

ものすごい広々した浴室。ガラス窓なので、雨だけど明るい。

隣の家族風呂と同じ黄土色の湯。同じく3つのパイプがあるけど、1つは湯の上にあり、湯が投入されてる。湯温は42度。この湯船も適温に保つために循環してる。

窓を開けたら、花合野川が真横にあり湯平の町並みが見えるみたい。

この大浴場と隣の家族風呂は一晩中入ることができる。

階段をさらに上がってまた上がった最上階へ。

とにかく複雑な造りで、斜面に増築に増築を繰り返していったような建物なので、気を抜くと迷子になる。

この最上階の廊下の突き当たりに「石風呂」と「展望露天風呂」の出入り口がある。ここの利用時間は夜22時までで、朝は6時半から。

外履きに履き替えて、角を曲がると、2つの扉。どちらも、空いていれば中から鍵をかけて入る方式。

まずは露天風呂から。

小さなスペースだけど、脱衣場がちゃんとある。

シャワーもひとつ。露天だけど、シャンプーとかも揃ってる。

湯の色が、2階の家族風呂や大浴場と違う、緑がかった薄濁り。

庭園みたくなっていて、湯船の上にはしっかり屋根がついてる。

露天風呂の湯温は42.5度超え。混ぜればもう少し低かったかもしれないけど、ちょっと浸かるには熱すぎる。

適温を保つために循環してるけど、左側にある湯口からは、59度と熱い透明な源泉が注がれてる。新鮮な源泉も投入されてるから、湯がべとっとした酸化した黄土色じゃないのかな。

湯が落ちる岩は、こってりオレンジ色。

お隣の石風呂は、木造りの脱衣場がいい感じ。

大浴場みたいな広さと造り。

浴室の扉を開けると、オレンジに染まった床にテンションがあがる。

普通の洗い場。シャワーが2つ。

大きく重厚な湯船は、縁も周りもオレンジ色。

床に析出物が出来てる。ここらへんから湯がかけ流されていたことがあるのかしら。

縁の切れ目はこちらにあり、かなりの湯量がざばざばさらさらとかけ流されてる。

湯が流れる部分が、墨色のような濃い焦茶色に染まってる。

かけ流しに出会えて嬉しい。オレンジ色の湯の花が溜まってる。

奥のパイプからは42度ちょいの湯が出ていて、湯船の温度も同じくらい。循環なんだけど、勢いよく出ていてお湯に動きがあり、なぜか少し気持ちがいい。

もう一つ、切れ目のところにも湯口があり、そちらからは55.5度の湯が出てた。こちらは源泉そのものかな。新しい源泉を投入しつつの循環なので、湯色も薄濁りで新鮮さがある。

コロナ前は、大浴場として利用されてたのかしら。ここも1人で入るにはもったいない立派な浴室。

この階に、4つの貸切風呂とは別の、もう一つ家族風呂がある。真新しい玄関、新館にあたるのかな。

この最上階の家族風呂は、宿泊人数などによって、使える日があったりなかったり。

木造りの心地いい脱衣所。超こじんまりした宿だと、こういう大浴場もありそうな、脱衣所と浴室。

シャワーがひとつに、正面に窓に囲まれた大きめの湯船。

実はここ、源泉かけ流し。ちょろちょろと湯量を絞って注がれる56度超えの熱い源泉。湯船は44度以上。上の方だけ特に熱く、かき混ぜたらもう少し低いのかもしれない。

湯量が絞られてるので、シャワーなどで加水してしまうと、湯温が上がるのに相当な時間がかかる。基本的に熱いまま入るものなのだそう。

勝手に加水して入らなくてよかった。初めての宿ってルールが分からないので、熱すぎだから入らなかった。

12室のうち、展望内風呂付きの離れが2つ、露天風呂付きの和室が2つ、それから今回泊まった内風呂付き和洋室が1つ。離れは、湯のコンディション次第で循環もありうるみたいだけど、あとの3室のお風呂は源泉かけ流し。

シャワーもあり洗い場も十分な広さ。窓があるので外気が気持ちいい。川沿いだし山間だし、夏とは思えない涼しさだった。

湯船から溢れ出るお湯が流れる道が、茶褐色に染まってる。

着いた直後はまだ湯が溜まりきってなくて、溢れてなかったけど、きちんとかけ流し。

一見狭く見える湯船だけど、深さもしっかりあり、1人でゆったりサイズ。

右手前の角に、小さな扇形の足場がある。そこに足をのせて対角線状に浸かると、身体の収まりもよく、快適。

カランもついていて加水できるので、好みの湯温で入ることができる。できれば水で埋めたくないけど、着いた時は46度近くで、やむ得ず。

湯口から少しずつ少しずつ静かに注がれてる源泉は56度。湯面を熱い湯が滑っていく。

つるりとした肌触りで、湯上がりはねっとり感が強い。塩化物泉のコーティングに、鉄分の保温効果、保湿成分のメタケイ酸も66mg含んでる。メタホウ酸を20mg含むので、消毒の効果もある。

ほぼ透明に見えるけど、白いコップに入れてみると、ほんのり黄色がかった透明。湯に浸かっているとなんとなく金気臭を感じるけど、コップの中を一生懸命嗅いでみてもほとんど分からないくらい。

お宿には、由布市 市有1号泉も配湯されているけど、自家源泉のみでまかなえてるので使用してないのだそう。

さまざまな要因によるので、決まった利用量ではないけど、この日の朝だと毎分40くらいの湯量を使っているのだとか。

ちなみに、配湯されてる1号泉は、源泉温度が70度のナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。これ以外の自家源泉を持つ宿が3軒ほどあるらしいけど、いわゆる湯平温泉の源泉はこれなのかな。

湯平温泉には共同浴場が5ヶ所あり、観光案内所のHPによると泉質は全て共通で、ナトリウム塩化物・硫酸塩泉の源泉かけ流し、塩素消毒もなし。この1号泉とは別な源泉なんだ‥。

坂道を歩いてると、すぐに共同浴場が目に入る。でも実は、一昨年7月の豪雨で川沿いの旅館街が被害を受け、すべての共同浴場が使えなくなったそう。

現在復旧してるのは、この銀の湯ただ一つ。利用時間は短く10時から14時のみ。以前の6時から21時までとは違い、宿泊客が気軽に入れる時間ではなくなっていて残念。入浴料は200円。16時から19時は地元の方専用。

男湯にも女湯にも誰もいなかったので、ちょこっとのぞかしてもらった。

というのも、番台に貼ってある分析書が、アルカリ性単純温泉だったから。ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉じゃないじゃん。

シンプルな脱衣場から浴室へ。

洗い場はおそらく奥の壁際にある2箇所のカラン。熱いのと冷たいのを自分で混ぜて使うタイプ。

湯船は透明な湯で満たされていて、縁の切れ目から滔々と溢れ出てる。

昔は源泉が川の中にあり、銀粉のような白い結晶物が湯の中に混じっていたことから銀の湯と呼ばれてる。

pH 8.8のアルカリ性で、源泉温度は51.8度。手をつけてみたけど、全然熱すぎない。入ってみたーい!誰も入ってなくて、どんどんかけ流されてくお湯もったいない、入りたかった。

湯口には飲泉できないよと注意書きがあり、三大胃腸病の名湯ってどれをどこで飲むのだろう。

 

湯平温泉 右丸旅館
★★★
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
65.3度
pH 6.6
貸切風呂4(内風呂3 露天風呂1)※日によって+貸切内風呂1
加温加水循環消毒なし※湯船により循環消毒あり
2022.9 宿泊

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