日本最北の温泉郷にある豊富温泉。稚内空港から南に車で45分、電車なら稚内駅から宗谷本線で50分、特急だと40分の豊富町。
海沿いの宗谷サンセットロードからは利尻富士と夕焼けが綺麗に見える。稚咲内海岸から。
人の数より牛の数が多いという日本最大級の酪農の郷。ウェルカムドリンクはもちろん豊富牛乳。
周りにはサロベツ原野が広がっている。
開湯は大正15年。石油採掘をしていた際に、天然ガスと一緒に温泉が噴出したそう。天然ガスは別に活用し、オイルの混じった源泉をそのまま利用している。
宿泊施設が3軒、日帰り入浴施設が1軒あり、最初に開業した宿が川島旅館。
創業昭和2年の老舗旅館が、2016年の豊富温泉開湯90周年に新しく全面リニューアルオープン。
外観は北海道産のカラマツ材を使用、玄関ラウンジには暖炉、お洒落で快適な空間で、老舗感ゼロ、旅館感さえない。ペンションかカフェか。廊下や居室の床材は北海道産天然トド松で足裏に優しい。
あ、唯一の老舗感、旅館感が、ロビーに掲げてあるこの屋号?なのかな。年季が入った木の看板が目を引いた。
お風呂は一晩中入れる。さすが湯治宿。夜中に男女の浴室が入れ替わる。残念ながら翌朝は8時まで。10時半から日帰り入浴をやってるから仕方ないのかしら、せめて9時まで入れたら印象違うのにな。
内湯には源泉をぬるめに加温した湯船と、35度の源泉そのままの小さめの湯船のふたつがある。
色は光や時間によって変わるけど、黄色がかった濁り湯で、薄茶色の湯の花がたくさん舞ってた。
左が源泉湯船、右が加温湯船。加温は40度ちょいくらいだったと思う。いい感じの加温具合で、こちらだけでもゆっくり浸かれる。
源泉湯船は35度でも、全然寒くない。塩を含む泉質や、温泉の濃さのせいかな。
源泉湯船の方がたくさん湯の花が舞ってる。
原油が混ざった珍しい泉質で石油臭が香る。石油の匂い、昔の防虫剤のナフタリンみたいな。いや、でも、不思議なことにヒバやヒノキのような、ちょっときつめのスパイシーな香りにも感じる。
かなりしょっぱくて、少し出汁の味。
ぬるつるの浴感。源泉湯船の方は少しざらりとする。重曹成分が皮膚の余分な脂肪や角質を乳化するので、ぬるつる。
お尻は湯底の油が付くのか、ハンドクリームでも塗ったみたいにねっとりぬるんとしてる。
湯面にはマーブル模様の油膜が浮かんでいて、ぬるっと肌に油がまとわりつく。よく振ってから使うオイルインの美容液みたいなイメージ。
湯口も排出口も湯船もすごい析出物。掃除も維持も大変だろうな。
洗い場はこんな感じ。
外に露天風呂もあって、少し熱めに加温されてる。
あまり長く入れないし、露天風呂に意味を感じないけど、3段階の異なる湯温にし、様々な趣向に応えているみたい。
男女入れ替え後の朝の露天風呂。
湯口の析出物。これはすごい。
溶存物質が13gもある。久々の濃さ。温泉1kg中に1000mg以上、つまり1gあれば泉質名の付く温泉。その10倍以上の物質が溶けてる濃い温泉。
油分を含む珍しい泉質は、保湿効果があり、火傷や皮膚病に効くので、皮膚疾患の療養のための湯治客が多い。
また、消毒や洗浄効果のあるメタホウ酸が550mgも含まれている。目を洗うことで有名な貝掛温泉で21mg。塩化物泉なのでもちろん目は洗えないけど、火傷や切り傷の治りの早さに繋がる。
男女入れ替え後のもう一方の内湯。今度は加温湯船がL字型。
湯船の縁、なんか可愛い。
もはや木が見えない湯口。
昨夜より熱い。湯の花は大きめでたくさん。
塩化物泉特有の茶色くなった床。
湯上がり後、かなり長い間芯からぽかぽかが続く。肌はしっとり。殺菌作用のある塩とヨウ素、植物由来のオイル成分と塩成分が肌をカバーしてくれるから。
日本最北までやってきたのは、この珍しい温泉と、宿オリジナルの「バターフィールド」を食べるため。「バターフィールド」とは、北海道のさまざまな素材を練り込んだバター。
夜ごはんはバターづくしのプランを食べた。朝ごはんでは6種のバター食べ比べができる。
やばい。天国。
礼文のエゾバフンウニのバター、利尻昆布のバター、道産山わさびバター、標津の鮭節バター、八雲の服部醸造のドライ味噌のバターなどなど。
ウニバターをゆめぴりかの玄米にのせて。
はちみつバターを焼き立てパンで。
お土産はトリュフバター。
あ、そうそう、人気の宿なのでツインの部屋は取れず、シングル2部屋の自由行動。なかなかいい。
豊富温泉 川島旅館
★★★★★
含ヨウ素-ナトリウム-塩化物泉
35度
pH 7.8
151ℓ/分
男女別 内湯(源泉1加温1)露天風呂
加水加温循環消毒なし 加温浴槽あり
2019.5.5 宿泊
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