青森県との県境に位置する大自然に囲まれた二戸市の金田一温泉。その昔は、田んぼから湯が湧いていたので、湯田温泉という名称だった。
新幹線で約3時間の二戸駅。宿までは車で15分。いわて銀河鉄道に乗り換えて8分の金田一温泉駅まで行けば送迎車で3分。
金田一温泉は寛永3年(1626年)に発見され、盛岡南部藩の指定湯治場だったことから「侍の湯」と呼ばれ、古くから温泉街があった温泉地。現在は7軒の温泉施設がある。
温泉街最奥にあるのが昭和25年創業の緑風荘。
「座敷わらしに会える宿」として広く知られ、作家の遠藤周作が泊まってエッセイに書いたり、原敬、本田宗一郎、松下幸之助など各界そうそうたる人物が実際に泊まっている。
今はこんなに新しく綺麗な外観。座敷わらしが出そうにもないけど、座敷わらしは建物に出るわけじゃなく、人に出るとか。
客室前の廊下もこんな。全10室の平屋建ての宿。
実は築300年の母屋と新館を含めた緑風荘は2009年に全焼し、2016年に営業再開したばかり。外観はかつての趣を残し、座敷わらしの目撃談が多かった「槐(えんじゅ)の間」も再現されている。
あ、座敷わらし。
古くから岩手や青森の南部に伝わる精霊的な座敷わらしは、住みついた家や、目撃した者に大変な幸運をもたらす存在として伝えられている。
緑風荘の座敷わらしは、約670年前の南北朝時代、南朝の後醍醐天皇に仕えていた先祖の藤原朝臣藤房が足利軍との戦に敗れ逃げる道中、幼い亀麿が『末代まで家を守り続ける』と言い遺し病で倒れてしまう。その後、守り神として奥座敷の槐(えんじゅ)の間に現れるようになったもの。
火事の際、敷地内にあるこの亀麿神社だけが燃えずに残り、着物姿の男の子が神社に逃げ込む姿が目撃されている、らしい!
さて、金田一温泉は現在4つの源泉が使用されていて、泉質はアルカリ単純泉。癖のない優しいお湯なので、年齢問わず気軽に入れる温泉。
清潔な脱衣所。日帰り入浴もやっているので、鍵付きロッカーがある。
男女別の内湯がひとつずつで、露天風呂はなし。男女の入れ替えもなし。シンプルな浴室。
窓が開いていたら相当気持ちいいだろうけど、開いてない。
湯船は枠だけ木で、お湯はかけ流し。
ここからずっとかけ流されてる。
かなりの湯量が投入されていて、湯口から出たばかりのお湯は泡泡。
使用している源泉は掘削自噴で、毎分36ℓ湧いている。
33度の低温泉なので加温されていて、湯温は42.5度くらいと熱め。もっと程よく加温するか、源泉湯船作ればいいのにもったいない。
つるつる浴感で無色透明、無味無臭。消毒されてるけど、塩素くさくはない。白い細かい湯の花が浮いてる。
シャワーは7、8個。24時間入れるからか、一度も誰にも会わなかった。洗い場も湯船も広々で、独泉。
基本的に24時間好きな時間に入れるのだけど、臨時メンテナンスの時間がランダムにあるみたい。
汗だくで温泉入ろーって15時にチェックインしたけど、男湯が15時から1時間使用できなくてちょっとへこんだ。かわいそうでね。実際は30分程で開放されてた。
ラドンを含む単純泉。ナトリウムと炭酸水素イオンが多いので、いわゆる美肌効果のある重曹泉の弱めなやつ。朝のお肌がすべすべだった。
ここ二戸市にある折爪岳は東北有数のヒメボタル生息地で、その数100万匹といわれている。宿から折爪岳山頂まで30分ちょっと。
写真撮りに行きたいからとお願いしたら、17時半から夕食出してくれた。こんな融通きかせてくれるとこ滅多にない。有り難や。長年にわたり予約がいっぱいで、取りづらい宿なのもうなづける。
金田一温泉 座敷わらし伝説の宿 緑風荘
★★
33.3度
pH 8.0
36.7ℓ/分
内湯(男1女1)
加温消毒あり 加水循環なし
2019.7.20 宿泊
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