真田城下の松代町にある黄金色の温泉へ。
新幹線で1時間半の長野駅。駅からはタクシーで20分ちょっと。松代駅までバスで行ってそのあとタクシーって手もある。
国民宿舎の高稼働率が全国16位(H30)で、年間平均の客室稼働率が75%もあるという国民宿舎 松代荘。土曜日は限りなく100%に近いそう。
左側にちらっと写ってる山、松代荘から500mたらずの尼飾山。この麓、地下300mから湧き出している自噴泉が黄金色の源泉。
敷地内にガス抜きタンクがあり、炭酸ガスを抜いてから各湯船に流しているらしい。なんで抜かなきゃいけないんだろう‥。
松代荘には、殿湯・姫湯という日帰りでも利用できる大浴場と、宿泊者専用風呂がある。
大浴場の日帰り入浴は10時から22時まで。ものすごい人。下駄箱や脱衣所を覗いただけで心が折れる人の多さ。何度か覗いてみたけどその度に折れて、宿泊者専用の浴室があるなんて、なんて有難いんだろうと感謝でいっぱい。しかもめちゃくちゃ空いてるときた。
宿泊者専用で充分。大浴場行く必要ないやと思っていた矢先に目にしたこれ。
ぬるいんかい!
宿泊者専用風呂の湯船は熱め。空いてるし、いいお湯なんだけど熱い。
これは大浴場に行くしかない。
しかもなんとなんと、朝の6時から8時までは宿泊者専用になる。
朝の時間は、この大浴場と宿泊者専用風呂もあるわけで、この日は女性率が極端に低く数名しかいなかったので、もうどちらに行ってもほぼ独泉。
てなわけで、翌朝早朝。日中は日帰り入浴でごった返している大浴場、姫湯へ。
内湯が2つあり、手前の1つは半身浴用。
広い浴室だけど、あんなに大勢の人がどうやって入ってるんだろうと想像するとぞっとする。
大きな内湯。奥に湯口があり、手前側に浅いエリアがある。
湯口付近の湯温は42.5度超え。離れると徐々に下がり、浅いエリアで41.8度くらいだった。
大勢の人が入って湯もみされればもっと下がるのかな。
加水や加温はもちろん、循環も消毒もないかけ流し。45度前後の源泉を500m弱引き湯したらもう少し下がっても、と期待してしまうけど、湯量がすごいので新鮮なままドバァーって流れてきちゃうんだろうな。
朝一で感動したのがこれ。炭酸カルシウムの膜。被膜結晶というらしい。
二股らじうむ温泉 二股らじうむ温泉旅館(北海道) – 温泉手帖♨︎以来かも。ここまでぱりぱり、しゃりしゃりの膜は。嬉しくて楽しすぎて。
ここの源泉に含まれる成分の量は全国有数。一つでも該当すれば温泉と認められる20項目のうち、11項目が該当してる。とにかく成分量が多く、豊富で、濃い。
鉄や塩は置いといても、炭酸カルシウムがすごいから、こんな膜が出来上がる。
露天風呂もほぼ一面、湯口の周り以外は膜で覆われてる。
湯口付近は42度あるけど、排出側じゃない角だと41度くらいでちょうど気持ちいい。
理学療法とかでやるパラフィンみたい。鎮静作用のあるカルシウムたっぷりの温泉パラフィンを堪能。朝一最高。
私ともう1人の2人しか入浴してないけど、膜はほとんどが流れてしまってる。一番風呂じゃなきゃ味わえない。
しかも、膜は立ち寄り入浴開始までに全部取り除くそう。
半身浴用の浅い湯船は小さめ。
壁側を頭にして、短い辺に平行に足を伸ばして浸かる。縁の部分は階段状になっているので、足の指を曲げてないと湯から出てしまう。
湯底が析出物でかなりでこぼこ。お尻が痛くてあまりゆったりできないのが残念過ぎる。
けど、湯温は39度割れで、端の方は38.6度で極楽〜。
ここは膜は張ってなかった。
排水口の析出すごい。
ぬるい湯に浸かり、湯船の縁見てるだけで癒される。
早起きして良かったー。大浴場ぬるくて最高。膜張り最高。
さて、もう一方の宿泊者専用風呂は15時から23時までと、朝は6時から9時半。
日帰り入浴ときちんと棲み分けしてあり、宿泊メリットを存分に得られる設定ですごく満足。
宿泊者専用風呂は福寿と長寿。
チェックイン時にあっちは混んでますか?と大浴場の方を尋ねると、混んでます、宿泊者専用が空いてていいですよ、と。
でしょうね。早速、いそいそと専用風呂へ向かう。
翌朝に男女入れ替え。まずは、女湯の長寿から。
誰もいない。空いてるって!そんなに空いてるの⁈
結局1時間弱貸切だった。
洗い場は、仕切りがあるやつ。浴室は広々してる。
おぉ。これか、これだ。ちょっと久々に見る強烈な析出物。もはや芸術。って掃除、維持する側にとっては大変なものだろうけど。
けど、愛でずにはいられない。
毎日完全換水して掃除をしている。それでもこの析出。ご苦労様です。
こんなにいかにも鉄泉だけど、換気が素晴らしく良くて匂いが篭ってない。浴室が全くもわっとしてない。手を顔に持っていってやっと鉄の匂いがする。かなり強い鉄臭。
内湯の湯口。中にパイプがあって、それに析出物がこびり付いてる。すごい執念。湯の流れに逆らって、パイプにくっつこうとして、長く伸びてきてる。可愛いなぁ。
逆側に排出口。かなりの量がかけ流されている。
湯量は毎分740ℓ。4つもの大浴場、それぞれに露天風呂もある。それら全てがかけ流し。
湯船の縁と、その向こうに排水溝。いまは1人しか湯船に入ってないから、行儀良く排水口からだけ湯が流れ出ていってるけど、何人かがいっぺんに入れば、あらゆる湯船の縁から湯が溢れる。
一番風呂だったからなのか、泡が結構溜まってた。
湯口の辺りで43度弱、排水口まで離れたら42度くらい。泡付きもある。といってもすごい濁り湯なので、湯に浸かると肌は見えない。注意深く湯面を見ながら肌をそっと撫でると、泡が上がってくる。
遊離二酸化炭素が716mgも含まれてる。熱めの湯だけど、こんなに泡付きあるものなんだ。しかも、ガス抜き⁈をしてるのに。
二酸化炭素泉は血管を広げ血行を促進し、老廃物を流す作用がある。長く浸からないでも、顔や頭から汗が出てくる。もちろん、鉄も塩も温熱効果が高い。
手すりにも、成分がこびり付いてる。
茶褐色の湯は、湧いた時は無色だけど、鉄分を多く含むので黄金色に変化する。そうそう、黄金色ね。
H20年の分析書だと、含鉄(II)-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉だったみたいだけど、直近のだとナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。
それでもこの色見ればたくさん鉄が含まれていることは分かる。
宿泊者専用風呂の露天風呂。2つの湯船。
小さめの露天風呂は43度前後で熱い。
熱い海に入ってるみたいな、磯の香りがしている気分になる。
濃すぎるから飲泉不可って書いてある。とにかくしょっぱい。出汁味や鉄味、炭酸味がするけど、そんなの味わえないほどしょっぱい。
露天風呂の排水溝。川のように流れ出ていってる。
もう1つの湯船は壺。
壺の側面も階段もすごいことになってる。
この析出物、触っても痛くない。お干菓子のざらりとした断面みたいな感触。
少しずつ湯が投入されていて、湯面には油膜が浮いてる。
湯温は43度くらいと熱め。ねっとりした湯感触で泡付きもある。
深さ55センチの壺。湯を混ぜると、濃いオレンジ色の湯の花と、しゃりっとしたカルシウム成分の湯の花が舞う。
含鉄泉は温熱作用が高く、リウマチや神経痛に効く。皮膚から吸収された鉄分が、血中鉄分濃度を高めて貧血にも効果がある。
もう少しぬるければ最高なのに。
翌朝は、福寿が女湯に。
おぉ。これまた立派な析出物の床に、黄金色のお湯。
濃さがうかがわれる。温泉水1kg中に16gもの温泉成分が含まれてる。人間の体液の9gよりも成分がはるかに濃いので、浸透圧により細胞膜を通して体内に浸透していくらしい。
これだけ成分が濃くて豊富な湯に浸かれば、体も気持ちも癒えるだろうな。
精神安定作用があるというリチウムイオンも多く含まれてる。
それにしても興奮した。小屋原温泉 熊谷旅館(島根) – 温泉手帖♨︎ぶりかな。私、変なのかな。ドキドキするくらい胸が高鳴った。素敵すぎる床に。
湯温は湯口付近で42.5度くらいで、離れると42度ちょい。やっぱり少し熱い。
福寿の露天風呂は1つだけ。
目の前にタンクのような設備があって、飛行機が飛んでるみたいな音がしてる。これもガス抜きタンクなのかしら。
湯口から勢いよく出てくるお湯は、いかにも泡を含む炭酸泉に見える。もちろん泡付きもある。
41.5度ちょいで寒い季節は適温。ちょうどよかった。でも残念ながら、姫湯の半身浴湯船と同じくお尻が痛い湯船。
湯感触はじっとりざらり。身体に滲み入る感じ。
天然の保湿成分メタケイ酸も多いし、角質を落とす重曹泉で美肌の湯でもある。
あとすごいのが、消毒洗浄作用があるメタホウ酸が1000mgって見たことない。薬湯と言われる日本三大薬湯の松之山温泉 玉城屋旅館(新潟) – 温泉手帖♨︎でも250mgで日本トップクラスだとうたってた。溶存物質量も薬湯に劣らない。てか、薬湯なんだろうな。
傷の修復に効くヨウ素も豊富に含まれてる。なるほど、川中島合戦の時には武田信玄の隠し湯だった名湯。
★★★★★
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
43.8度
pH 6.7
740ℓ/分
男女別大浴場(内湯、半身浴、露天風呂)宿泊専用風呂(内湯、露天風呂)男女入れ替え
加温加水循環消毒なし
2019.12.14 宿泊
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