最寄駅は伊豆急下田駅の一つ手前の蓮台寺駅。東京駅から下田駅まで踊り子号で3時間近くかかる。サフィールだと2時間半だけど、本数がないし、熱海まで新幹線で行くとちょっと時短できるけど‥意外に結構遠い。
下田駅からタクシーで20分、蓮台寺駅からは歩いてすぐの河内温泉。
千人風呂が有名で秘湯ロマンにも出てた、金谷旅館。
創業は1867年(慶応3年)の江戸末期。150年以上続く老舗で、金谷山を背景に佇む一軒宿。
2000坪の広大な敷地に、昭和4年に建てられた本館と後に増築した客室棟と別館があり、全11室。
玄関脇に見えている建物が湯小屋の一部。
半円形の建物は女湯で、石畳の小道の先にあるのが宿泊者専用の貸切風呂「一銭湯」。
一銭湯は金谷旅館で最も古いお風呂で、明治末頃、一銭箱に一銭を入れて利用されていたことから名が付けられている。
一銭湯は2つあり、帳場に声をかけて空いていたら入浴中の札をもらえる。夜21時以降はカウンターに札が置いてある。
内側には鍵はなかった気がする。
広々した脱衣所。でも鍵がないし、入り口の窓にも心許ない布のようなカーテンがあるだけ。そそくさと浴室へ。
おぉ。湯治小屋のような風情ある空間。
明治末の当時のまま残っているのは屋根の一部のみだけど、昔の雰囲気を感じる浴室。
もう一つのお風呂と上が抜けて繋がってるので、声がよく聞こえる。
洗い場もあるけど、シャワーは奥のひとつだけ。備え付けの石鹸類は固形石鹸のみなので、宿泊者のアメニティに使い切りのシャンプーがあった。
湯船は3つに区切られていて、それぞれ湯温が異なる。湯口側から熱め・適温・ぬるめと好みのお湯を楽しめるようになってる。素晴らしい。
竹の湯口から無色透明の自家源泉が注がれていて、湯温は46.5度。ほんのり甘い。
それぞれ41.5度、39度ちょい、37度と、絶妙な湯加減。さすがに冬なので、37度には入らなかったけど、もし旦那さんがいたらずっと37度の湯船に入ってるだろうな。
ぬる湯湯船の隅っこから湯がかけ流されている。
ひとつの湯船にふたりは苦なく入れる大きさだけど、全部独り占め。これは贅沢。
お湯は木の縁を越えていってるわけではない。隙間もない。どこどこ?と探してみると
ありました。底にひとつ細い湯道が。こんなに小さな穴でいいんだ。でも、上の縁から湯が流れ込むよりも、下部からの方が湯船の温度が安定しそう。
洗い場側の縁は湯底と同じ、これなんて言うんだろう。石のつぶつぶのやつ。
木の縁の高さがちょうどよくて、首をのせても髪の毛が濡れずにもたれられる。
しかも足をまっすぐ伸ばすと、踵が付くくらいの広さで、うまい具合に絶妙な大きさが嬉しい。
つべつべの肌触りで、湯上がりの肌はしっとりさらさら。
痛みやかゆみを和らげたり、粘膜の修復作用が皮膚病に良いと伝わっているそう。
pH7.6と7.7の弱アルカリ性の単純泉。
金谷山の麓に自家源泉を2本所有していて、源泉温度は49度と36度。豊富な湧出量がゆえの、24時間のかけ流し。何も手を加えない、消毒もない本当の源泉かけ流しで、飲用もできる。
本館にある大浴場は男女別で、それぞれ内湯と露天風呂。
金谷旅館の代名詞「千人風呂」は混浴で、主に男湯仕様。女湯からも行くことができる。
脱衣所は棚がブロックごとに点在していて、籠数も稀に見る多さ。日帰り入浴客がかなり多いので、これくらいのスペースでもごった返す時間がある。
鍵付きロッカー、コイン式ドライヤーがある。
女湯脱衣所から混浴の千人風呂へ行くには、この扉から、かけられている鍵を持って出る。
一歩先はもう湯船と繋がってる。この扉から出る時も入る時も、鍵が必要。
水着はだめだけど、湯浴み着とバスタオル巻きはオッケーで、余分にバスタオルを借りられる。
お、と声が漏れてしまうほどの、日本一の総檜風呂。
木の柵を潜って混浴エリアへ。
湯船だけでなく壁や天井に至るまで全てが木造り。これは圧巻。
真ん中に立派な木の手摺りがあり、左右それぞれ深さが違ってる。
湯口側に進む前に、女湯側のここの1番奥に露天風呂の出入り口があるので、まず先に。
この木の扉を開けて階段を上り、降りた先が露天風呂。
とりあえず、誰もいない千人風呂を堪能しないと。
「伊豆の名物となるようなお風呂を」という想いから大正4年に造られた千人風呂。総檜造りに改修されたのは平成14年。
長さ20m、幅5mの巨大な湯船は、木造の大浴場としては国内最大級の規模。泳げるほどの大きさで、どこにもないお風呂をつくりかったそう。まさしくプールのような大浴場。
浅い方の湯船には、なぜか女体ブロンズ像が三体。独特なムードを醸し出してる。
片側にずらりと洗い場。10個かな。シャワーは両端の2つのみ。
湯口は、男性脱衣所側。
一番隅の端っこにある湯船はぬる湯の湯船で34度。夏にはたまらないだろうな。今回は入る気は起きないけど。
このぬる湯湯船以外は、大きなひとつの湯船。一部仕切りがあるけれど、湯口は一つで全部繋がっている。
湯口のあるところは軽く仕切られているので、暖かいエリア。
ざっばざっば投入されている、この湯口の温度は46.5度。
洗い場側に縁を超えてざばざばと惜しみなくかけ流されてる。入り口にはずっと全部に段差がある。
このブロンズ像側が浅い湯船で膝上の深さ。湯温は39.5度。
階段を2段降りたエリアの深さはおへその上あたりで、湯温は39度ちょい。
最深部で110cmだそう。端には座れる段差があり、座ると脇下、胸の上くらいまで浸かる。
端から端までは27歩。こんな広い湯船に満たされる源泉。豊富な自家源泉ゆえ。どれくらいの湯量があるんだろう。湧出量の記載はない。
女湯の「万葉の湯」も、木造の女湯としては国内最大らしい。千人風呂の7割ほどの広さ。充分過ぎるほど広い。けど、日帰りの人がかなり多いので、宿泊者だけの22時以降に。
広い浴室に大きな湯船。
脱衣所側が細長い洗い場でカランが10個、そのうちシャワーは端の2つだけ。
一方の奥側が半円構造になってる、珍しい形。
地元の建築職人さんの技が光る。この部分が外から見た時、貸切風呂の隣に見えた建物。
天井の梁や柱も見事で風情がある。
この半円形部分にある銀杏型の湯船は、1番ぬるい湯船。
この湯口からは水のような冷たさの源泉が出ていて
湯船の温度は35.3度と、冬にはあまり必要ないほどのぬるさ。
ぼこぼこと音を立ててるパイプが端っこにあったけど、ここから暖かいお湯は出てなかった気がする。
このぬる湯から見渡した浴室。湯船は4個、でいいのかな。4個だけど、全部繋がってもいる。
この湯船からは、洗い場へ湯が溢れ出ている。
洗い場と脱衣所がこんな感じ。と、なんだかんだ結構ぬる湯にも入っていられる。
ぬる湯の隣にある長方形のしっかり囲まれた湯船へ。
湯底が黒くて、ぬるっとしてる。
湯口の温度は51度超え。コップが置いてあるから、ここから飲めるよーということかと。
無色透明無味無臭なんだけど、ほんのり甘い。この湯船は41度。上がり湯にちょうどいい。
向かいにある同じような長方形のもう一つの湯船。こちらの湯底は、さらに真っ黒。
足を入れると、かなり滑る。そして、熱い。
湯口は52度で、湯温は43度ある。すごい温度調節。
自家源泉が2本有り、湯温は49度と36度。それぞれ河内5号源泉と下湯原源泉の混合泉、河内5号源泉と金谷温泉の混合泉と分析書に書いてある。それって計3本じゃないのかな。加温も何もせずに湯口50度超えだし、3本のうちひとつがもう少し熱い源泉なのかもしれない。
この2つの湯船の間には階段があり、って、すでにここも湯船でお湯の中なんだけど。
2つの湯船から溢れ出るお湯は、1番大きな湯船に流れ込んでいく。
湯の中の階段を降りた広いエリアは、手摺りがあり、歩行浴ができるほど。手摺りに掴まって、ついつい遊んでしまう。滑らかな檜の質感。
深さは腰骨くらいで、最深部は90cm。
熱い湯船側の壁から、ぬる湯湯船に向かって歩いてみる。14歩。
ぬる湯との境にも、壁際全面にも座れる段差がある。湯温は39.5度前後。長湯して湯を堪能せよと言ってるようなもの。
日帰り客がわっさわっさやってくるのも分かる。翌朝も9時にはすでに賑わってた。
メインの湯船の湯口からは53度弱の源泉が注がれてる。こちら側は39.7度くらいあり、逆側に向かって39.4度くらいまで差がある。
あまり特徴のあるお湯じゃないけど、湯量がとにかく多いのが気持ちいい。しかも、いろんな湯船から溢れ出てる。静かに眺めてる時間が贅沢で心地いい。
ゆっくり入ってると、39.5度なのに汗が出てくる。歩き過ぎたからか。
男女とも露天風呂付き。
湯口からは53度の源泉。湯温は朝は40.6度だった。
奥に気泡風呂、打たせ湯もある。
ぬる湯で、湯温の違う湯船が揃ってて、消毒もなし、24時間入れる、文句のつけようのない温泉だけど、自分には湯の個性が無さ過ぎる単純温泉。
河内温泉 千人風呂 金谷旅館
★★★★★
[河内5号源泉と金谷温泉]
単純温泉
36.2度
pH 7.6
[河内5号源泉と下湯原源泉]
単純温泉
49.8度
pH 7.7
加水加温循環消毒なし
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