江差温泉 旅庭 群来(北海道)

北海道の日本海側、江戸時代に北前船の交易で栄えた小さな港町、江差。

函館駅からバスで2時間。新幹線の新函館北斗駅と函館空港からは定額タクシーで1時間半。

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北海道で最初に栄えた歴史的な町で、ニシン取引に関連した蔵や商家、問屋など、当時の賑わいを伝える古い町並みが残されている。

このいにしえ街道から漁港に向かうと、石塀に囲まれたモダンな建物が現れる。船に見立てたという平屋の木造建築。

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旅庭 群来は2007年に江差に初めて出来た温泉旅館で、離れ形式の全7室の宿。

群来(くき)とは、産卵期を迎えたニシンが大群で浅瀬に押し寄せて産卵し、海を乳白色に染める現象。ニシン漁で生計を立てていた江差の人にとっては歓喜の光景。

2017年冬、大正2(1913)年以来、104年ぶりに江差で群来が確認されてる。

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玄関までの道は屋根もなく寒いけど、

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建物に入れば、離れといっても全部が室内で移動も暖かく、温泉熱を活用した床暖房が備わってる。

オーナーの棚田さんは、本業の傍らいくつもの会社を再建、経営後、60歳でリタイア。町からこれまでと全く畑違いの旅館業のホテル立ち上げを依頼され、65歳で開業。以来、レストランで出た生ごみは毎朝回収し、自身の農場で堆肥、飼料として使い、生ごみはゼロ。すごい。

夫婦が営む直営の拓美ファームで育てられているサフォーク種の羊は、朝夕の食事で頂ける。

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部屋からは塀越しに、かもめ島や日本海を望むことができる。

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大雪で、というか、ほぼ吹雪で夕焼けは見えなかったけど、暖かいところから眺める雪景色は心が静まる。

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大浴場はなく、各部屋に自家源泉かけ流しの内風呂がある。脱衣所も床暖房で気持ちいい。

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ひとりで入るにはあまりに充分な大きさの湯船。

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ガラスの向こうは吹き抜けで、雪が風で舞い上がってる。立派な氷柱。

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ほんのり黄色がかっているように見える薄濁りのお湯。土っぽい匂いがし、ふわっとぅるの肌触り。重曹成分が不要な皮脂を乳化し除去してくれる美肌の湯。

湯感触はさらっとしてる。発汗作用すごく、湯上がりはしばらく汗だくだけど、さらりとした清涼感がある。余分な角質を落としたので保湿が必須。

硫酸塩泉は肌の弾力を回復し、ハリのあるしっとり肌にしてくれる。

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湯口で53度超え。かなり湯量を絞った源泉が注がれてる。湯船の温度は43度近く、しっかり湯揉みしてもやっぱり熱く、多少水で埋めるしかない。

少しずつ注がれて、少しずつかけ流されてる。

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オーナーが源泉かけ流しにこだわっていて、加水はしてない。床暖房や給湯などに利用して、湯温を下げた上で湯口から注がれてる。にしても、熱い。

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敷地内の古代地層から湧出する源泉は、ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。以前は掘削自噴で、毎分44ℓの湧出量だったけど、今はポンプアップしているので、60度ほどの熱い源泉が上がってくるのだそう。それで、温泉熱を利用してもまだ熱いという。

湯加減を聞かれたので、熱い!と答えたら、翌朝は湯口で49度ほど、湯船が41度まで下がっていて、気持ちよく入れた。

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湯口の反対側の縁は、おそらく寝湯ができるようにか、角がない。

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湯を絞っているので、静かな湯音が響く。雪の降る音も聴こえてきそうな静寂の中で湯浴み。

熱くて長湯はできないけど、肌触りが気持ち良くて、何度も何度も入った。

 

江差温泉 旅庭 群来
★★★★
ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
48.4度
pH 7.6
44ℓ/分(掘削自噴)
客室風呂7
加温加水循環消毒なし
2022.2.5 宿泊

 

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