然別湖に行きたくて、かんの温泉に再訪。熱いの分かってるのに真夏に来てしまった。ぬる湯と激熱湯が混在するここ。
足元湧出の「イコロ・ボッカの湯」は端っこで44度弱だった。かなりの湯量でかけ流されてる。
源泉温度が56.4度。前回は5月で、まだ投入されてなかった手製の熱交換器による温度調整。おそらくこの沈められたこれが稼働してるんだろうな。でもそれでも44度は入るの厳しい。
左の大浴場「イナンクル」も変わらず熱かった。前回、内風呂2つとも両方45度くらいだったけど、今回も左奥の「イナンクルアンノーの湯」は湯尻で45度、湯口がある側の端っこで46度超え。縁から溢れてるお湯で足裏を火傷しそう。
手前の湯船「イナンクルアンナーの湯」も溢れるそばから熱いのだけど、端っこで44度。唯一入れる。というか、44度なのに入るしかない唯一の湯船だった。ぬるつるの肌触り。一瞬しか浸かれないのに汗だく。
こちら左の大浴場は内風呂2つと露天風呂2つ。前回は左の「秋鹿鳴の湯」が一番ぬるくて、唯一入れる湯船だった。
排湯できてないみたいで、 2つの湯船が同化しつつあった。
左側の「秋鹿鳴の湯」が40度で、今回もやっぱり一番ぬるい唯一入れる湯船なんだけど。蜂か虻かが飛んできて、一目散に逃げ帰った。
右側の「春鹿呼の湯」は44度の熱湯。そしてそこから流れ込む量が多いから左側の湯船も熱くなってたのかも。
ただ、翌朝早朝、男女入れ替え後にこちらに入りに行った旦那さんの話だと、内風呂の左側、昨日あちちで縁のそばまでしか行けなかった方。あれが超ぬる湯で、長湯してると寒くなるほどだったと。もしかしたら、昨日も底の方はぬるくて、混ぜたら入れたのかしら、とも思った。誰かが勇気を出して混ぜてくれていたら‥。
もう一つの大浴場「ウヌカル」は入れる湯船が多い。なんで左右の大浴場でこんなに湯温違うんだろう。
浴室入って右側の「ウヌカルアンノーの湯」は、前回縁から溢れ出るお湯が熱過ぎて入れなかった湯船だけど、36度割れの一番ぬるい湯船だった。夏場に最高。
ちなみにこれ2年前の姿。成長が凄すぎる。
源泉温度は56.4度。今朝の湯口は53.5度弱。宿泊棟にある浴室「イコロ・ボッカの湯」と同じ源泉。
pH 7.8のナトリウム–塩化物・炭酸水素塩温泉なんだけど、とぅるんとぅるんの肌触り。ぬるぬると言ってもいいかも。炭酸水素イオンが800mg近く含まれてるから、重曹成分なのかな。
深めなので、襟足濡らさないようにしたら、口が浸かる。ちょっと緊張感あるけど、肌触りも気持ちいいしぬる湯最高。
向かいに見えてる「ウヌカルアンナーの湯」。前回ぬる湯で一番気持ち良かった湯船。今回も39度のぬる湯で、肌触りがふわぬるのぬるぬる。遊離二酸化炭素が253mg含まれてるからかな。
湯口が変わってて、岩の上から投入されてた。このサルノコシカケみたいな子は、前の湯口の名残り。この上から注がれて、岩とこの子を伝って湯船へ。だからますます成長してた。
一番すごいのがこの2つの巨石、岩。階段の踊り場に2岩。わざわざ運び入れたんだよね‥。すご。
前回は濃い貝汁のように濁ってた「波切の湯」。
ものすごい透明度で、いや、透明の湯としか言えない澄んだお湯で、中の冷却装置がくっきり見える。それでも湯温は42度ちょい。
左奥の扇形の「シロカニペの湯」も透明度が高く、新鮮で清潔感があった。前回ものすごい積もるほどの鉄分の湯の花が溜まってたけど、それほどでもなかった。湯温は39度で気持ちよく入れる湯船。
最奥の湯船は“金の滴”「コンカニペの湯」。
溢れた湯が階段を流れていく。
前回よりも湯量多めで、溢れ出る湯が多い気がする。毎分2ℓの湧出量。前回気にならなかったけど、これ、岩から湧いてるのかな。パイプが岩の上にあるのかな。
36.5度のぬる湯だった。
前回32度割れで入れなかった貸切風呂の「幾稲鳴滝の湯」。40分制に変わってた。夏の露天風呂は虫が怖いので行かなかった。
結局、右の大浴場「ウヌカル」の入ってすぐの2つの湯船、白くなった湯船に水色がかった透明な湯。ぬる湯で、肌触りぬるぬる。あれが一番気持ちいいなと再確認。
然別峡 かんの温泉
★★★★
2025.8 宿泊
♨︎ ♨︎ ♨︎ ♨︎ ♨︎
帯広空港から1時間半北上した、大雪山の深山の秘湯、鹿追町の国有林内に湧く然別峡かんの温泉。
ウペペサンケ山の南側。東側には、帯広市街地から同じくらいの距離に上士幌町の糠平温泉 中村屋(北海道)-温泉手帖♨︎といった位置関係。
携帯は圏外、到着したとき嬉しかった。
明治44年創業、2008年(平成20年)に廃業した菅野温泉旅館を現オーナーが買い取り、2014年(平成26年)8月に然別峡かんの温泉としてリニューアル復活。
手前にある建物が温泉棟。
宿泊棟は奥にあるこもれび荘。
こもれび荘から道を挟んだ目の前の温泉棟へ、玄関は通らず裏口から降りていく近道で。
2つの大浴場に分かれていて、男女入れ替え制。かんの温泉には11もの湯船があり、すべてが加温も加水もない源泉かけ流し。
翌朝9時半まで一晩中利用できる。夜の8時に暖簾が替わり男女入れ替え。
右の暖簾がアイヌ語で“出会う”を意味する「ウヌカル」の大浴場。
たくさんの籠が並ぶ脱衣所。全16室の宿で、気軽に日帰り入浴に来られる場所でもなさそうなので、それほど人に会わない。
洗面台もドライヤーもある。
浴室に入るとまず、右手の壁際にシャワーが8個並んでる。その向かいには早速ひとつ目の湯船。
ウヌカルには全部で5つの湯船がある。
「ウヌカルアンナーの湯」は“また会おうね”という意味。うん、まだ入ってもないけどね。
すぐに目の前に現れる細長い湯船は、入り口が、小学校のプールの消毒槽みたいな雰囲気。周りには段差があり、脱衣所側は浅くなってる。
縁から溢れ出る源泉が造った析出物にわくわくする。手すりに出来てる析出もすごい。
混合泉で毎分5ℓの湧出量。pH 6.8のナトリウム–塩化物・炭酸水素塩温泉。ほんのり鉄風味で少ししょっぱい。源泉温度45.9度とあったけど、今日の湯口は58度弱。
ベージュの段々畑のような湯口がたまらない。湯船は38度ちょいの最高に気持ちいいぬる湯。ふんわりした湯感触で肌をさするとふわぬるの肌触り。遊離二酸化炭素が含まれてるからかな。
13の自噴源泉を利用して11もの湯船があるのだけど、一発目のこの湯船が一番気持ちいい。
縁から溢れ出るお湯の向こうに見えるのが「ウヌカルアンノーの湯」。“また会おうぜ”の湯船。
美しい透明なお湯が水色に見え、白い析出物が映える綺麗な湯船。
溢れて流れ出てるお湯がすでに熱くて、足を入れるのを躊躇う。源泉温度56.4度とあるけど、今日は62.5度。湯船は44.5度とかなりの熱さ。
唯一宿泊棟にある浴室「イコロ・ボッカの湯」と同じ源泉。pH 7.8のナトリウム–塩化物・炭酸水素塩温泉。底がつるりと滑る。とにかく熱い。
雰囲気のある石造りの階段の先に浴室はまだ続いてる。
多分外から見えるこの部分。
茶褐色に染め上げられたがたがたの析出まみれの広い床。
どーんと大きな湯船「波切の湯」が目の前に。貝汁のような淡い濁り。
こちらもナトリウム–塩化物・炭酸水素塩温泉で、同じ泉質名ではあるけど、全く違う。
縁がぬるりと滑るので注意して、
湯口は源泉温度と同じ49.6度。湯船は41度ちょい。
pH 6.7の中性で少しきしむ感じもあるけど、肌がねっとりする塩化物泉。
石積みの壁側の隅に銀杏型の小さな湯船。
“銀の滴”を意味する「シロカニペの湯」。
源泉は岩壁の間から岩肌を流れ落ちて湯船に注がれてる。
これもナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉。源泉温度は41.5度で、毎分1ℓの自然湧出。壁から滴る源泉はすでにさほど熱くなくて、湯船は39.5度弱とぬるめ。
1ℓって!と思うけど、こんな小さな湯船に絶えず注がれ続けていて、しっかりかけ流されてる。
どの源泉もメタケイ酸をたくさん含んでるけど、ここは189mg。天然の保湿成分がたっぷり。pH 7.0の中性だけど、隣の波切の湯みたいに肌がきしまない、ふわりとした肌触り。
透明なお湯に細かいオレンジと黒の湯の花が大量に舞ってる。
手に取った大きな湯の花は濃い赤茶色。第一鉄イオンが0.3mg。どれも鉄分があるけど、最初に入ったウヌカルアンナーの湯が0.7mgで一番多い。でも析出物は白寄りのベージュ。ここの茶褐色とは全く違う。不思議。
この岩壁沿いに、ほんとに小さな湯桶みたいな湯船が2つ。
片方は湯が注がれていたから、足湯かなと足を入れたら、むわっと溜まってた湯の花が舞い上がった。熱かった。
さて、最奥に鎮座するように存在感を放つ湯船は、“銀の滴”を意味する「シロカニペの湯」と対をなす“金の滴”「コンカニペの湯」。
かつて「旧恵比寿の湯」として湯治客を癒やしてきたというコンカニペの湯。小さな湯船は2人サイズだけど、知らない人だと譲り合って1人かな。
35.5度と1番のぬる湯で、誰もが入りたいので、暗黙の順番で。
金色に見えなくはない茶褐色やベージュに色付いた岩肌高くから湯が流れ落ちてくる。湧出量は毎分2ℓ。
湧き水なのか、湯気が冷えたものなのか分からないけど、冷たい水滴も一緒に落ちてくる。
やはりナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉で、pH 6.5の中性。源泉温度は48.0度。なんと遊離二酸化炭素が726mgも含まれてる。ふわり感はあるけど、泡付きは分からなかった。
たった2ℓでもこの小さな湯船を満たすには充分で、しっかりかけ流されていく。
もう一方の大浴場の前に、こもれび荘の奥に位置する貸切風呂の「幾稲鳴滝の湯」へ。
鳴滝を目の前に見ながら入れる。
山小屋風の脱衣所。
玄関にある『貸切り使用中』の札を持ってきて、入り口にかけて利用する仕組み。
貸切の時間は30分で1,000円。チェックアウト時に支払う。
チェックイン時、今日はぬる過ぎて入れないとのこと。見に行くのは大丈夫と許可を得て偵察に。
虫防止なのか寒さ対策なのか、ビニールで守られてるお風呂。
直径が3m弱もあるイチイ(エンジュ)の木をくり抜いた湯船。透き通った綺麗な湯。
誰も入らなくても、さらさらと源泉かけ流し。
鳴滝源泉、滝下源泉、噴出源泉の混合泉で、ナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉。源泉温度が38.0度と、夏には有難いぬる湯。
この日は5月なのに息が白いほどすごく寒い朝で、湯船は32度割れ。
夜の8時に男女入れ替えした左の大浴場は、アイヌ語で“幸せ”を意味する「イナンクル」。でも、アイヌ語ネイティブの方からの指摘で、“誰?”の意味だったのだとか。
こちらもたくさんの脱衣籠があるけど、スペースの割に誰にも会わないので、ゆったりできる。
浴室に入ると、左手にシャワーが6つ。こちらの大浴場には内風呂と露天風呂が2つずつある。
右手にある最初の湯船は、“幸せになろうネ”と名付けられた「イナンクルアンナーの湯」。
誰も入ってなくても、縁を超えさらさらさらさらかけ流されてる。
え、元の形はどんなん?と首を傾げてしまうベージュの鱗模様の湯口。源泉温度が48.5度のナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉。この日の湯口は63.5度で湯船は45度。湯揉みせずに湯面だけ測ると49.5度。
湯の溢れっぷりがすごい。
斜向かいの湯船が男言葉のアンノーが語尾について、“幸せになろうゼ”と名付けられた「イナンクルアンノーの湯」。
この大浴場にある露天風呂「秋鹿鳴の湯」と同じ源泉。
窓に面した大きめの湯船。明かりが差し込むたっぷりのお湯に誘われて足をつけると、45度弱。
源泉温度52.3度。周りだけ白い髭のような湯口からは、それなりの湯量が投入されてる。湧出量は自然湧出で毎分13ℓ。
排水口の排湯が間に合ってない。
2つの熱過ぎる内風呂に足をつけた太ももには真っ赤なラインが。お湯を感じる余裕はない。
突き当たりに露天風呂出入り口と、シャワーが3つ。
内風呂から溢れたお湯が露天風呂への階段を流れ落ち、ベージュの階段になってる。
2つの露天風呂のうち、向かって左側が「秋鹿鳴の湯」、右側の「春鹿呼の湯」。
“春を呼び、秋よ恋しと鹿が鳴く”イナンクルの露天。
どちらもナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉だけど、色が明らかに違う。
少し緑がかって見える秋鹿鳴の湯。
湯口はべっとり赤茶色。湯口で45度の源泉が少量注がれてる。
湯船の中の岩や湯底は緑色に染まり、足元はぬるぬる。
湯の花も緑色の塊。
内風呂のイナンクルアンノーの湯と同じ源泉。熱くてちゃんと見れてないけど、緑色ではなかったような。湯の花じゃなくて、温泉藻なのかな。
湯温は39.5度。やっと入れる湯船にたどり着いた。2つの隣り合った湯船は湯の行き来があり、右下の穴から熱い湯が流れ込んでくる。
つるりとしてるけど、きゅうっと肌にすいつく湯感触。
右側の春鹿呼の湯は44.9度の源泉だけど、湯口で49度。湯船は43度と、内風呂よりはぬるいけど、つかってられる温度でもない。
湯口や側面の岩はオレンジ色。
隣に出ていく穴と、こちらは入ってくる穴かな。周りが緑色になってる。
どちらも天然の保湿成分メタケイ酸が200mg前後も含まれてる。こちらはふわつる感のあるお湯で、湯の花は黄土色。
しっかりした粒のような塊がたくさん舞ってる。
湯船の底のタイルは昔の菅野温泉のものが残されてる。
最後に、宿泊受付のすぐ奥にある浴室「イコロ・ボッカの湯」。大浴場「イナンクル」とセットになって男女入れ替え。
真新しさを感じる綺麗な脱衣所。
立ちはだかる岩壁の元にある湯船。自然のままがそこにあるような浴室。
左手にはシャワーが2つ。
かつて「寿老の湯」「クロレラの湯」として湯治客を癒やしてきたほぼそのままなのだそう。
完全に屋外なのだけど、しっかり岩に囲まれ屋根があり、半露天のよう。葉っぱひとつない清潔で気持ちのいい状態だった。
湯口はないけど、さらさらとかけ流されている源泉は、pH 7.8のナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉。
ふんわりとした肌触りで、沼っぽい匂いがし、ほんの少し甘さがある。
イコロ・ボッカはアイヌ語で“宝物が湧き上がる”という意味で、その名の通り足元湧出の湯。もうないかな、と思ってたけど、32湯目の足元湧出泉。
岩の間からぶくぶくと湯が湧いているのが分かる。源泉温度は56.4度で夜の湯船は41.5度。湯底の岩がじんわり熱く、気泡が出てるところを測ると43度。
熱くなりすぎるために、5月頃からは手製の熱交換器を沈めて適温に調整するそうだけど、多分まだしてなかったと思う。
湯面にいくつもの水輪が見える。ぷくぷくぽこぽこぽこ至るところで音がし、大地の恵みを感じられて感動する。
じっと静かにしていると、足や身体にさわさわと泡があたり、くすぐったい。
つるりとした浴感で、湯上がりの肌はねっとりじっとり。天然の保湿成分メタケイ酸が192mgも含まれ、消毒作用のあるメタホウ酸も142mgと多く含まれる。
オレンジ色の大きめの湯の花がほわほわ舞ってる。岩の間から湯が湧き出る水流で舞い上がる。
同じ源泉を利用したウヌカルアンノーの湯は、綺麗な白い析出物で覆われた湯船だったの不思議だな。
翌朝は外気が低く、40.5度とぬる湯でさらに気持ちよかった。
すべての源泉がナトリウム–塩化物・炭酸水素塩泉だけど、どれも違う。色も匂いも湯の花も。温泉の不思議さも目の当たりにでき、稀少な足元湧出も味わえる。遥々やってくる価値がある秘湯。
然別峡かんの温泉
★★★★★
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
38.0〜56.4度
pH 6.5〜7.8
59ℓ/分 + 足元湧出、貸切風呂
加水加温循環消毒なし
内風呂7 露天風呂4
2023.5 宿泊
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