明治16年に開湯した“関西の奥座敷”あわら温泉は、74本もの源泉がある温泉地。
小松空港から車で高速使えば30分ちょっと。石川県の山代温泉や山中温泉と同じくらいの時間で行ける。
山代温泉 あらや滔々庵(石川) – 温泉手帖♨︎も、山中温泉 かよう亭(石川) – 温泉手帖♨︎もまた行きたい宿なので悩んだけど、以前にあわら温泉 清風荘(福井) – 温泉手帖♨︎で日帰り入浴しただけのあわら温泉へ。
30数軒の宿があり、最近復活したべにやがあまりに有名だけど、お隣に建つつるやに宿泊。
つるやもべにやも、あわら温泉湧出の翌年、明治17年の創業。閉館した開花亭を入れて3つの宿がこの温泉地で最も古い宿なのだそう。つるやの現館主は五代目で、139年もの歴史がある。
玄関や中庭などに源泉がかけ流してあり、温泉の説明が書いてある。
つるやは敷地内に3本の源泉を持ち、全ての湯船がかけ流し。掲示してあるものには4本ともあり、最新の分析書では2本の混合泉なので、今は4本あるうちの2本を利用してるのかしら。
大浴場は一晩中はいれて、朝の10時まで。夜中の午前3時に男女入れ替え。
まずは手前の「芦の湯」に。
広々した脱衣所。夕方はかなり混み合ってたけど、ずっと入れるので空いてる時間も多い。
化粧水などのアメニティもフェイスタオルも備えついてる。
浴室もゆったりした造り。
大きめの内風呂の奥はガラス張りで、露天風呂が見える。
洗い場は仕切りがあり、個々のスペースが広い気がする。シャワーは6個。
湯船は変わった形。
縁から滔々とお湯が溢れ出ていて、気持ちいい。
少しでも冷ます工夫なのか、風情あるデザインなのか分からないけど、竹筒から注がれるお湯は一旦石の臼みたいなところに入り、さらにそこから樋を通って湯船に落ちてくる。
湯口には真っ白な析出物がこびり付いてる。湯口で51.2度の源泉、湯船は42.5度。
柄杓もあり、飲泉できるみたい。慢性胃カタル、胃酸減少症、便秘に効果がある。
現在は2本の混合泉を利用しているようで、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉。成分の総量が9,268mgと、かなり濃い。
湯船の側面からもお湯が投入されていて、熱い源泉なので『55度の源泉が出てる』と注意書きがある。
注ぎ口の編み目に湯の花がたくさん引っかかって、もさもさゆらゆらしてる。
露天風呂には2つの湯船があり、メインの大きな円形の方には東屋みたいな木組みの屋根がある。
手前にある、巨石をくり抜いた1人用の湯船は今夜は雪があたる。日が沈んで暗いと、これが湯船だと気づかない人も多そう。
でも、しっかりかけ流し。ちょっとぬるめで41度。
円形の湯船は42.3度。
同じ温泉地でも、旅館によって汲み上げる深さが違うので、泉質も異なるのだそう。つるやの源泉井は地下90m。2本の混合泉の源泉温度は78.2度。
この源泉の30度分の熱カロリーを、省エネ熱交換システムで給湯と空調に利用し、50度前後に強制的に下げている。
湯船に注いでからは、自然冷却で42度前後に調整することで、加水も循環もないかけ流しに。
すごいなぁと思うけど、個人的に42度は熱すぎる。
廊下に展示してあったこれ、なんだろう。つるやを訪れた偉人?ちょうど『青天を衝け』の人たちで、知ってて嬉しくなった。
帳場のそばにある足湯もかけ流し。奥に見えるのは温泉卵つくるところ。
翌朝は早朝から、奥の「福の湯」が女湯になる。20室の宿にしては、ゆったり広々の脱衣所。
朝ごはんの後に行ったら独泉だったけど、湯から上がって脱衣所で準備始めた頃から、わらわらと人が入りに来て、夕方なみの人混みに。
こんな温泉旅館なかなかない。仲居さんが「うちは温泉だけが自慢」と繰り返してたけど、これだけの人たちが朝食後のチェックアウト前に、お風呂に入りに来るってすごいこと。
洗い場と湯船の間が広くとってある浴室。シャワーは左手壁側と、右側にもあり、全部で10個。芦の湯よりも広い。
一面がガラス張りで、雪が積もった庭園が見える。
気持ちいいほどざばざばのかけ流し。洗い場に流れ出るお湯で足が暖かくて清潔で嬉しい。
いいなぁ。たまらないな。やっぱり縁から溢れてこそのかけ流し。
お湯は湯船の中の側面の穴から注がれてる。この内風呂は43度と超えでかなり熱かったので、秒しか入れない。
露天風呂が芦の湯と違いすぎて驚いた。
メインの湯船は5、6人が入れるサイズで、
他の湯船同様、ざばざば溢れ出るかけ流し。
湯口は2段階になっていて、
白い析出物がお砂糖のコーティングのようにまぶれついてる竹筒から、石臼みたいなところに一旦注がれ、
そこから溢れ出た湯が湯船へ。飲泉できるように柄杓もある。もちろん使わないけど。
それでも湯口で52度もある。さらに側面からも投入されていて、湯船の温度は42度。熱いけど、雪が降ってる寒い露天なので、なんとか入れる。
驚いたのはこのふたつ並んだ寝湯。
巨石をくり抜いた豆のような形の湯船並んでる。
メインの湯船と繋がっているので、暖かいお湯が絶えず入っては流れ出てく、ちゃんとかけ流し。
端の寝湯は遠回りしたお湯と、右の寝湯からのお湯が入る仕組みで、かなりぬるい。
右が40度ほど、左が39度割れ。
上手い仕組みに感激したけど、長さが短いので、足を曲げるしかない。膝が出るので寒い。なんとか膝を倒すと腰骨が出るし、体が痛い。でもぬる湯のひとり風呂いい。
と、寝転がっていたら、もう一つ向こうに湯船を発見。
1人用のかぼちゃみたいな湯船は41.5度。雪がかなり降り込んでくる。
こんなにたくさんの湯船があり、どれも全てかけ流し。大浴場以外に、貸切風呂「つるの巣」まである。これは有料。
湧出量の記載がなかったけど、かなり豊富な湯量なんだろうな。
部屋にもかけ流しの温泉がある。
普通の大浴場みたいな脱衣所。棚に籠も。
立派な大浴場‥。
シャワーは2つ。
内風呂と露天風呂がある。
内風呂は手前の段差がしっかりあるので、半身浴もできる。かなり大きな湯船で、ひとりだと申し訳なく感じるほどゆったり。
溢れ出るお湯が気持ちよくて嬉しい。
湯温は41度割れ。熱すぎなくてほっとした。
pH 7.5の中性で、じっとりした肌触り。きゅうっと肌に馴染むお湯。適温なので、お湯を味わえる。
空気に触れないよう、湯底から投入されてる源泉は47度。
あまりに優しいお湯なので油断してざばざば顔を洗うと、かなり目にしみる。そう、塩分の濃い源泉だったのだと改めて。海藻みたいな匂いがする。
投入口には薄茶色の湯の花が引っかかってもさもさしてる。湯の中にもふわふわ漂ってる。
そんなに熱くないのに、湯上がりはじわじわ熱さが続く。やっぱり保温の塩化物泉。
露天風呂は小庭の隅みたいなスペースで、
飲泉場まである。かなりぬるい源泉が出てる。38.5度。なんだろこれ。これを湯船に注いでほしい!
出汁の効いたしょっぱい味。
湯口には白い金平糖みたいなのがしっかりくっ付いてる。
湯船は2人サイズ。
こちらも湯口は底にあり、47度の源泉が出てきてる。残念ながら湯船は42.5度超えと熱くて入れない。
悔しいけど、無情にもかけ流されていくもったいない源泉。
うーん。残念。湯量絞ってぬるめにして、と頼むかどうか悩んだのだけど。(出来るのかどうかも分からないけど)
今年はそれで35度割れで入れないという大失敗をしたから、二の足を踏んだ。
内風呂が適温だったから、私はそれだけで大満足。
あわら温泉 つるや
★★★★
ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
78.2度
pH 7.5
露天風呂付き大浴場2 貸切風呂1
加水加温循環消毒なし
2021.12.18 宿泊
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