東北新幹線の白石蔵王駅から車で20分弱と好アクセスな鎌先温泉。室町時代の開湯とされ、古くから“奥羽の薬湯”として知られる温泉地。
温泉街には5軒の旅館がある(1軒休業中)。その間を通り抜け、急な坂道を上り切ったところに建つのが時音の宿 湯主一條。
鎌先温泉で最も歴史が古く、開湯は1428年。創業から600年もの長い歴史を持つ老舗宿で、現当主が20代目。
昭和16年に建てられた木造の本館は国の登録有形文化財に指定されていて、現在は「個室料亭 匠庵」として食事の際に利用。
泉質の異なる2つの自噴泉を有していて、大浴場は2箇所。それぞれ別の源泉を使用してる。
まずは、古くからある源泉の「薬湯」から。1階に男女別の浴場。男女入れ替えはなく、一晩中利用することができる。
脱衣所は狭めだけど、鍵付きロッカーや洗面台もある。
ドアを開け、脱衣所からほんの2段ほど降りるだけなのに、地下みたいに感じる浴室。
真ん中に湯船が陣取っていて、奥の洗い場にシャワーが3つ。よほど気をつけないと、シャワーの飛沫が湯船に入る距離。
湯船も床もタイル張りで、レトロな雰囲気。
細く静かに湯が注がれている湯口。白とベージュの析出物が湯を囲むように張り出し、直接湯が流れている部分は黒に近い焦茶色に染まってる。ほんのり黄色がかって見えるお湯。
源泉温度27.8度なので加温してるけど、消毒もなしのかけ流し。52度超えまで加温されていて、湯船は42度。
鎌先の湯は、草刈りの最中に鎌の先で掘り当てたといわれる温泉で、傷によく効く名湯。600年前もぬるい湯で、沸かしてたのかな。
いや、[湯主一條の「薬湯」は、1428年に開湯した鎌先温泉の源泉同様、この地に自噴する源泉から引いております]って書いてあるから、600年前の源泉ではないのか。
pH 6.8の中性のナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。硫酸塩泉は今も「傷の湯」と言われる泉質。肌の蘇生効果もある。塩化物泉も「温まりの湯」のイメージ強いけど、塩分の殺菌効果で「傷の湯」でもある。
つるりとした肌触りで、湯から出た肌はねっとり。塩化物泉も硫酸塩泉も保湿保温効果が高い。
投入量が少しなので、しばらく誰も入っていない状況じゃないと、縁から溢れ出てる場面には遭遇できない。自分が入ればもちろんその分溢れるけど。
もう一つの大浴場は「露天風呂」という表示に従って。男湯が2階で、女湯が3階。
こちらも入れ替えなしで、一晩中入れる。
下の薬湯から上がってくるとびっくりするほど、予想外に広い脱衣所。
洗面台もあり化粧水などのアメニティもある。
浴室は左手に内風呂、
右手に洗い場。シャワーは5つだったかな。仕切りはないけど広いスペースに並んでる。
内風呂の向こうには露天風呂も。
湯口からは勢いよくお湯が投入されてるけど、こちらの大浴場は循環。
ちょうど浴室の下辺りにある源泉、洞窟の湯。
洞窟の湯は源泉温度10.7度の冷鉱泉で、温泉法第二条に適合する温泉。溶存物質が600mgほどあり、成分的には重曹泉で、pH 7.8の弱アルカリ性。
消毒臭がすごくてあまり温泉に気持ちよく入ってる感はない。
緑の自然に囲まれた露天風呂。
ざばっと入ると縁から溢れて、緑が綺麗で風も気持ちいいけど、塩素臭が気になる。
温泉付きの部屋が2室ある。
源泉は露天風呂の方の洞窟の湯。
入る前に湯船の写真撮ってたら、溢れ出たお湯に足が触れて熱さに引いた。
湯口で56度、湯船は混ぜても45度。湯口側面のカランで水が出る。熱くて入れなくて加水するしかないのがっかりだったけど、つるつるの肌触り。
大浴場と同じ洞窟の湯だけど、加温のみで、循環消毒なし。せっかくなのに熱く加温し過ぎてて台無し。結局、加温加水ありになるわけで。でも、つるつるの重曹泉だった。
鎌先温泉 湯主一條
★★★
[鎌先の湯]
ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
27.8度
pH 6.8
内風呂(男1 女1)
加温あり 加水循環消毒なし
[洞窟の湯]
温泉法第二条に適合する温泉
10.7度
pH 7.8
内風呂(男1 女1)露天風呂(男1 女1)
加水なし 加温循環消毒あり
2024.5 宿泊
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