小野小町に由来する小野川温泉は開湯1200年。山形新幹線で東京から2時間ちょっとの米沢から車で20分。米沢の奥座敷と呼ばれる温泉地で、かなりアクセスしやすい。
平安時代の歌人、日本美人の象徴としても有名な小野小町が1200年ほど前、父を探しに京都からみちのくへ旅立ち、病に倒れた時にこの温泉に浸かり、病も癒え絶世の麗人に生まれ変わったという伝説が残っている。
河鹿荘は、2,000坪の敷地に鬼面川とつながる大きな池を有し、その名の通り蛙の声が聞こえる自然豊かな宿。池を囲むようにいくつかの棟があり、大きな旅館のように感じるけど、客室数31室と想像以上に少ない。
大浴場は内風呂のみの「あさみどり」と、露天風呂付きの「せせらぎ」の2種類で、1日に2回、朝夕8時に女湯と男湯が入れ替わる。
あさみどりは玄関ロビーからひたすら廊下を歩いた先の池の向かいにある。さらにその左奥には貸切風呂。
鍵付きロッカーもあり、日帰り入浴も受け付けている。洗面台にあるのはドライヤーのみで、アメニティなどはない。
脱衣籠は間引きされていて、8つだけ。
脱衣所から階段を数段降りたところに浴室がある。
一面窓ガラスで、天井もものすごく高く、開放的な空間はホールのロビーみたいな感じ。
洗い場は両端にあり、右手に3つ、
左手の階段裏に4つ。
湯船は結構な大きさで、右奥に湯口があり、
2つに仕切られている。
右があつ湯、左がぬる湯。あつ湯の湯底にはふさふさの白い湯の花がたくさん溜まってる。
わっくわくしてあつ湯に入っていくと、あっつい熱い。湯口近くじゃなくても45度。
加水、加温、循環してない源泉100%のかけ流し。小野川温泉は温泉協同組合が源泉井戸を集中管理し、各宿へ配湯してる。
現在は2本の源泉があるけど、昔は高温泉のみ。伊達政宗が入ってた時代は加水してた。
平成20年に低温泉の掘削に成功。現代では2本の源泉をブレンドし適温での入浴が可能になってる。
夕方は熱すぎて湯口に近づくことが出来なかったのだけど、翌朝8時に入れ替えした後にもう一度来たら43.5度ちょいだったので、湯口が見えた。
なんと2つの穴があり、67.5度と24.6度の異なる湯温が投入されてた。
湯口から湯船に落ちる時点で47度弱。
泉質は2本とも含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。4号源泉は78.8度の高温泉でpH6.8の中性。5号源泉が35.6度の低温泉でpH7.5の弱アルカリ性。
どちらも毎分1,000ℓほどの湧出量があり、この宿では、高温泉を60ℓと低温泉を40ℓ引き湯している。
消しゴムのかすのような白い湯の花がたくさん舞っていて、湯底にも積もってる。
手前側が浅くなってるけど、湯温はほとんど変わらず熱い。
仕切りの上からは湯が行き来することはなく、数ヶ所開けられている隙間からだけ。
ぬる湯エリアも段差が広くとってあり、浅い部分がある。
とにかくあつ湯が熱いので、ぬる湯もかなり熱い。夕方は42.5度。足湯だけでも汗だくになる。
翌朝は41.1度で、やっとお湯を味わえた。
ざらりと肌になじむお湯で、湯上がりに少しだけひりっとする塩化物泉感もある。お湯から出した肌はねっとり。メタケイ酸も66mg(混合泉だと100mg)含まれてるし、肌の保湿効果がある。
ぬる湯の湯の花は白い埃のようなので、底にふさふさ漂ってる。
翌朝の溜まり方はすごかった。
白い湯の花は硫黄成分なのかな。硫黄は余分な皮脂を取り除いたり、メラニンの生成を抑制する美白効果がある。でも、ほんのりしか匂わない。
河鹿荘は源泉井戸までの距離が近くて、どちらも70~100mほどのところにあるらしい。新鮮なお湯だと効果がちゃんとある気がして有難い。
貸切風呂が一回無料だったので、時間を予約して行ってみる。
隣の大浴場あさみどりと同じで、脱衣所から浴室に降りてく作り。ガラス張りに、高い天井。大きな浴室を仕切って、あさみどりと貸切風呂で分けてある。
もともと大浴場として利用されていたみたいで、脱衣所も浴室も広々。大浴場と変わりない。
洗い場は広いスペースだけど、2つだけだったような。
大きな湯船で、かなり広い部分、半分くらいが浅くなってる。
でも43度超えで、熱すぎる。
湯口からは49.6度のお湯が出てた。
せっかく浅い部分があるけど、そこも43度弱で、半身浴にしても熱すぎる。
白い湯の花が漂ってるけど、大浴場ほどではない。
夜の8時から朝の8時まではせせらぎが女湯。こちらは帳場の近くの階段を上がった廊下の先にある。エレベーターがないみたいで、夜に一緒になったおばあちゃんがめちゃくちゃ苦情を言ってきた。私に言われても‥。
入り口を入ると左右に脱衣所がある。
左手にも、
右にも。
つまり、こういう。きっと昔は混浴だったんだろうな、と勝手に想像。
こちらも脱衣籠が間引いてあり、左右に4つずつ。
浴室から見た脱衣所。出入り口が2つ。
古代ローマ風呂風の円形の湯船。
レトロなタイル張りで、結構大きな湯船。洗い場は両側にある。
東北の温泉だから、というわけじゃないけど、あつ湯文化なのかな。湯船は42.5度。なかなか入っていられない温度。
湯口からは47度の源泉。湯口の近くにいくと、ふわりと硫黄が匂う。香ばしくて、少ししょっぱい。
お湯からあがると肌がねっとりする。塩分が濃い。
ちょっと前によく目にしてたORP(酸化還元電位)。小野川温度の源泉はマイナス290mvで、体の酸化をくい止める若返りの湯といえる。榊原温泉 まろき湯の宿 湯元 榊原館(三重) – 温泉手帖♨︎がマイナス225mvだった。俵山温泉でマイナス100〜200mvとか。
露天風呂は周りが広くて開放的なので、露天感が強いけど、屋根があるので雨でも平気。
もう一方の大浴場あさみどりと同じく、あつ湯とぬる湯の2つの湯船がある。
広くてL字型があつ湯。深さがあったような気がする。
正方形の小さいのがぬる湯で、こちらは座ると胸までぐらいの浅さ。
湯口は真ん中にひとつだけ。というか、湯口が二つある湯口。
あつ湯の湯口はかなりの湯量が勢いよく投入されている。52度の源泉で、湯船は42.7度とやっぱりあつ湯。
二つの湯船の境は緩めの木で、ほんの微妙に湯が通ってるぐらい。
ぬる湯の湯口は、初めは出てないのかなと思ったくらいに絞ってあり、湯船は41.7度。湯口には白い湯の花が枝垂れてる。
硫黄の香りがしっかりして、少ししょっぱい。暗い時間に入ったけど、湯の花がさわさわ漂ってた。
マイナスイオンの量が国内でも屈指らしく、滝壺周辺のマイナスイオンが2~3万/ccぐらいなのに対して、小野川温泉の源泉は140~160万/cc以上だとか。こんなに大量のマイナスイオンが含まれている源泉は、国内で3ヶ所しかないのだそう。あとの2ヶ所ってどこ?調べても分からない。
あ、マイナスイオンは、生活習慣病や老化の主原因といわれる活性酸素を取り除いてくれる。
あ、露天風呂の向こうは、なんか滝みたくなってた。
平成28年に半露天風呂付き客室が3室作られたので、そちらに宿泊。
清潔な石風呂で、シャワーもある。大浴場も客室風呂も、かけ流しだけど、湯船から湯が溢れ出てはいない。サイフォン式とかで、湯底から湯が排湯されるようになってる。
池と桜の木を眺めながら入れる。桜は全部散ってたけど、緑が綺麗。
部屋のお風呂は、加水しながらの源泉かけ流し。初めの湯船は41.2度くらいだった。水は自分で止めることができる。源泉が熱すぎるから、水を止めないでとは言われたけど。
水を止めてみると、湯口からは68.5度の源泉が出てる。高温泉のみのかけ流しなのかな。適度に加水しながら入れるみたい。
これ、水のカランが低温泉だったら最高なのにね。
糸くずのような白い湯の花が少しだけ。
桜が終わっていて残念だけど、池には蓮の花。
玄関横にある足湯小屋は誰でも利用できる。
飲泉処もあったけど、なぜか行きそびれた。飲泉は、糖尿病、痛風、慢性便秘、慢性消化器病などに効く。
小野川温泉 河鹿荘
★★★★
[4号源泉]
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
78.8度
pH 6.8
[5号源泉]
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
35.6度
pH 7.5
加水加温循環消毒なし
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