阿賀川の渓谷沿いにある湯野上温泉。東北新幹線の新白河駅から車で約1時間。時間が合えば宿の送迎もある。茅葺き屋根が印象的な湯野上温泉駅の南側に、約25軒の民宿、温泉宿がある。
藤色の湯野上橋の袂に佇む全12室の静かな宿、藤龍館。駅からは歩いて10分ちょっと。
湯野上温泉は江戸時代から会津の奥座敷の湯治場として賑わっていたって記述もあるけど、この藤龍館の創業者が明治23年に阿賀川に湧く源泉を、旧館の清水屋旅館に水車で汲み上げたことから開湯したともいわれてる。
1990年に開業100周年を記念して、創業の地から300mほどの現在の場所まで移転。コロナ前までは旧館も営業されてたみたいで、自家源泉を持つ宿だった。
藤龍館は渓流沿いの斜面に建っているので、玄関が1階で大浴場は地下3階。橋から写真撮っておけばよかったな。
撮ってないのでHP画像を。
大浴場は男女別で入れ替えはなく、翌朝までずっと利用できる。
男湯は内風呂のみ。女湯は内風呂と露天風呂がある。
脱衣所にはバスタオルもタオルも備え付け。ウォーターサーバーもある。洗面台にはなぜか不釣り合いな背もたれの高い大きな椅子が並んでいて、アメニティはなくドライヤーのみ。
桜が咲き始めたばかりなのに、日差しが強く暑い日で、傾き始めた太陽がしっかり差し込む浴室は真夏のよう。
脱衣所から出ると2段ほどの段差を下がる。かなり広く天井も高いのだけど、むわっと熱気がこもってる。
湯船は窓際に大小2つ。洗い場は壁際に7つのシャワーが並んでる。
2つの湯船は仕切りに隣り合うように湯口があり、黒い御影石の縁からさらさらと溢れ出るかけ流し。
大小の湯船は、小さい方が熱め、大きい方がぬるめとのこと。
大きい方は2倍以上のサイズ。
大内宿かな、湯口は茅葺き屋根を模してるような。
湯口の温度は同じでほぼ50度。小さな熱い湯船が43.5度弱で大きい方は42.5度とどちらも熱い。
惜しみなくかけ流されてるのだけど、少し湯量を絞ってもいいかと。
夕食の時、熱過ぎたのでは⁈とわざわざ聞かれ、熱過ぎて入れなかったと答えたので、夜間や翌朝は調整されるのかなと思ったけど、翌朝も変わらなかった。急に暑くなった日だから熱湯だったわけじゃないのかも。脱衣所の“湯船の温度”も小42〜44度って書いてある。
52度の7号源泉で、pH 8.4の単純温泉。
明治時代に猿が入湯していて発見した猿湯をはじめ、上ノ湯、姥湯、舘ノ湯、舘新湯という5つの源泉があるのだそう。河原の岩盤の隙間、数か所で源泉が湧き出てる。
現在は8号まであり、全体で3,000ℓもの湧出量。旅館、民宿合わせて約25軒と一般の家庭を合わせて約100戸に供給されてる。
駅の足湯は1、2、3、5、8号の混合泉でpH 8.3の58度。毎分993ℓも利用してる。すごい湯量の足湯。
ガラス窓からは渓谷と湯野上橋が見える。湯野上橋を渡った先に駅がある。
女湯にだけある露天風呂。
小さな湯船は激あつ。
茶色く染まった湯穴からはどばどばと49.5度の源泉が注がれていて、湯船は45度。
石の縁から溢れるのではなく、隅のこちらから排湯される。
大浴場とは別に露天風呂が2つあり、貸切で利用できる。予約なしで、どちらか一方を30分を目安に。夜は24時まで、朝は日の出から。
大浴場の横に出入り口があり、ここでスリッパを履き替える。スリッパの有無や数で、露天風呂が空いてるかどうか判断する。
手前が「三日月」、奥が「繊月」。
空いていたら中から鍵をかけて利用する方式。こちらにはタオルはないので、部屋か大浴場から持ってくる。
まずは奥の繊月から。簀子敷きの脱衣場。壁に脱衣籠がかけてあるのを利用する。
これはなんで男女別露天風呂で使わないのかしらと思われる大きな湯船。いや、元は男女別露天風呂だったみたい。大きな岩を隔てて分かれていて、お互いに会話をしながら入ることができるお風呂だったよう。
2つの湯船の上には立派な木造りの屋根が素晴らしい。
渓谷を望み、藤色の橋も見える。向こうからも見えそうだけど。
湯口は龍で、龍の口から注がれる源泉が玉を伝って湯船に流れ落ちる。
内風呂同様、日差しもあいまり、44度と恐ろしく熱い。膝下の浅さ。熱くて立ってることしかできない。立ってるのもつらい。
まさかの湯尻にある黒いパイプからも湯が注がれてる。真冬なら必要かもだけど。
洗い場はなく、湯船から溢れたお湯は渓谷側にかけ流されてる。
隣の三日月も大きな湯船。こちらの方が大きいかな。
湯船は浅く熱い。奥よりは少しマシだけど43.5度あり、すぐに足が真っ赤になる。
2つの湯船の間に岩と木板の仕切りがあり、真ん中の龍の湯口は共有。
繊月側ではお顔がはっきりしてなかった感じだけど、三日月側はしっかり。開いた口から源泉を出してる。牙が白い析出物でもこもこに。弱そうな強そうな。
そしてこの口の空間からお隣の湯船が見えてしまうのか。男女別露天風呂として利用してた時は、これが嫌な女性用に女湯だけに露天風呂を作ってたってことか。
逆サイドにあるパイプからは51度の源泉がとぽとぽと注がれてる。絶対この追い源泉要らない。
これだけ大浴場や貸切風呂が熱いと、部屋のお風呂が重宝される。全室かけ流しのお風呂付き。十和田石の綺麗な湯船。
湯口はやはり49度超えで、チェックイン時の湯船は43度と熱かったけど、シャワーで加水も可能だし、茅葺き屋根を外すとバルブがあり、湯量を絞ることができたので、快適な適温の源泉かけ流しに。
びっくりするほど熱い湯船だったけど、冬の寒さが厳しいところなのかな。温泉の季節的には冬がいいけど、やっぱり湯野上温泉駅の桜をリベンジしたい。食事がすごく美味しいお宿。
湯野上温泉 藤龍館
★★★
単純温泉
52.2度
pH 8.4
505ℓ/分
内風呂(男1 女1) 露天風呂(女1 貸切2)
加温加水循環消毒なし
2025.4 宿泊
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