特急あずさの塩山駅から車で20分ほどの川浦温泉。タイミングが合えば、宿の送迎もある。
永禄4年(1561年)の戦国時代、武田信玄の命により開発された温泉地。
笛吹川の渓谷沿いに建つ山県館は、安政3年(1856年)に、武田信玄公四天王の一人とも呼ばれた山縣三郎右兵衛尉昌景が先祖にあたる、13代当主山縣信徳が創業し、昭和34年より山県館に。昭和50年には今の天皇も訪れてる。現在の女将が十五代目。
大浴場は1階にあり、エレベーターで降りると、正面に案内板。夜の21時に男女入れ替えなので、ここで確認。
左手にある大浴場が「薬師之湯」。
大浴場は一晩中入ることができる。
薬師之湯には内風呂の他に露天風呂が2つ。
広くてゆったりした脱衣所。正面の引き戸からも外へ出ることができ、そこに1つ露天風呂がある。
脱衣籠は間引き利用。籠を動かさないように注意書きがある。確かに、自由に移動させたら、バランスよく間引く意味がなくなる。常々思っていたよ。
左側にあるドアが浴室の入り口。
おぉ、広い。脱衣所も広々だけど、この浴室もすごいゆったり広々。湯船もかなりの大きさ。
左手の壁際にずらりと並ぶシャワー。なんと有り難いことに、シャワーのお湯も源泉。
大きな湯船からは、さらさらと縁から溢れた湯が流れていく。洗い場の足元が常にかけ流されていて、清潔で気持ちいい。これが赤御影石なのかな。
湯口からざばざばと注がれる源泉は42度ちょっと。硫黄の香りがほんのり。
側面からゆるめのジェットバスみたいに、ぬるい湯が出てるところもあり、湯船は39.5度ちょいのぬる湯。
左奥の、寝風呂と書いてある少し浅くなってるあたりに、シャワー専用源泉のホースの先が湯船の中に入っていて、38.5度くらいだった。
右奥のガラス戸から外へ出ると「笛吹権三郎之湯」と名付けられてる露天風呂がある。
予想外の深さに、おぉっとなるので、最後の一歩を注意して入りたい。
高いところから打たせ湯のように注がれてる。竹の湯口には白と緑色の析出物。
もう一つ壁際の岩からも投入されていて、こちらは39度弱で、湯船は37度と夏場でも気持ちよく入れるぬる湯。
内風呂も露天風呂もどちらもぬるつるの肌触りだけど、この岩から出る源泉の方が硫黄の匂いが感じられる気がした。
湯口の近くの石には水晶のような析出物。
すごい勢いで湯が投入され、ざばざばとかけ流されてる。
信玄公の隠し湯と言われる2本の源泉は、毎分1,100ℓもの湯量で、すべてのお風呂が源泉かけ流し。日本温泉遺産を守る会認定の宿。
1号泉が毎分154ℓ、2号泉が960ℓとすごい豊富な湯量。43.6度の適温の湯が1分間に960ℓも利用できるなんて、なかなか見たことない。しかもほんのり硫黄の香る、ぬるつるのアルカリ泉とは。
どちらもアルカリ性単純温泉で、pH 9.3とpH 9.6。1号泉だけチオ硫酸イオンがわずか0.4mg含んでるだけだと思うのだけど、こんなにしっかり硫黄臭がするものなのね。
脱衣所からも出入りできる、もう一つの露天風呂「月見亭之湯」。こちらもしっかり屋根があり、上の竹筒から湯が注がれてる。
目の前にあるのは庭園の池。“こちらは池です”ってわざわざ看板があるので、間違った人がいるんだろうな。
湯口に、硫黄泉っぽいぬるぬるの湯の花が滴ってる。39度弱の源泉。
底にあるこの湯口からも、39度ちょいの暖かい源泉が投入されてた。すごい工夫しながら、湯温を調節してるっぽい。湯船は38度と心地よい湯加減。
もう一つの大浴場「せせらぎ之湯」は、エレベーターを降りて右に進んだ突き当たり。ここを左手に行くと、混浴露天風呂と有料貸切風呂(予約制で60分 3,300円)がある。
脱衣所が浴室に沿って細長く、ガラス張りなので明るい。
笛吹川渓谷と甲斐の山々を臨む、明るい浴室。
左のガラス戸の外にあるのが露天風呂。しっかり壁と天井に囲まれてる。
壁際にシャワーが8個並んでる。
湯船からさらさらと湯が溢れ出る光景を見るだけで、気持ちよくなる。
42度ちょいの源泉が出ていて、湯船は41度割れ。
側面からのジェットバス、
寝湯的な浅いエリアもある。
露天風呂は「美肌之湯」という名前。内風呂と比べると小さく見えるけど、充分な広さ。
縁だけ木造り。惜しみなくかけ流されてる。
露天風呂から見た内風呂。
41度弱の源泉が注がれていて、湯船は38.5度弱。ぬるつるの肌触りで、とにかくぬるいのがものすごく気持ちいい。
露天風呂から見えるこの建物が、混浴露天風呂へ行くためのエレベーター。
廊下を進み、エレベーターで45m下に降りると、
ちょっと長い外廊下が続き、
渓流沿いに降りて行ったところが、信玄公岩風呂「渓流雅之湯」。
利用時間は日の出から22時まで。混浴だけど、10時から16時が男性専用、16時から18時半が女性専用時間。
18時前には誰もいなくなり、もしかして女性時間が18時までで、男の人が来たらどうしようと不安になるほどの独泉。
脱衣所は2つあり、湯船側は共同、渓谷側が女性用。
共同の方は昔ながらの古い造りだけど、女性用は新しくて綺麗。
かなり重厚な檜の巨木に支えられた屋根があり、
間違いなく露天風呂なんだけど、安心感がある。
シャワーがひとつだけあり、シャンプーまで置いてある。
3つの湯船があり、それぞれ湯温が異なる。
まず、渓谷側の1番小さな湯船。
湯口からざばざばと湯が注がれていて、飲泉も可能。嫌なクセがなく、美味しくていくらでも飲めるやつ。
湯口の源泉は41度弱で、湯船は39.5度ちょっと。夏場は熱い。2号泉なのかな。
細かな泡が湯膜のように浮いてる。これの反対側からも投入されてた。塩ビ管にまとわりつく白いぶつぶつの析出物がかわいい。
この湯船のお湯は、隣の湯船に向かってかけ流されてる。段差になってるので、ここからも隣に移動できる。
この湯船が1番大きく、湯温は38度。
こちらにも湯口があり、39度割れのおそらく1号泉が注がれてる。ぬるぬるの白みがかった透明のような湯の花がたくさんこびり付いてる。くー、たまらん。
1号泉は鎌倉時代に発見された源泉。以前は湯温がもうちょっと高く、湯量も毎分530ℓも湧出してた。
もう、ここで顔を洗いたい強い衝動が。
さらに3つ目の湯船が最奥にある。ちょっと足場が微妙なので、手すりを頼りに。
出入り口の足元の横を通ってくるお湯。3つ目の湯船には湯口はなく、2つの湯船から溢れたお湯が最後に行き着くところ。
湯温は37度と1番適温。ぬる湯最高だけど、巡り巡ってきたお湯だと思うとちょっと悲しい。
白や薄茶色の湯の花がふわふわ舞ってる。
壁の岩から26度の湯が滴ってる。冷たいけど、26度もあるから湧き水じゃないよね。
最終的にここから湯が排出されていく。豊富な湯量のかけ流し万歳。豪快なかけ流しに圧倒される。
眼下に笛吹川渓谷。
各部屋からも渓谷が望める。
檜の露天風呂が付いた部屋。和室のガラス戸から出たところに設置されてる。
シャワーもあり。
しっかり深さのあるゆったりした檜の湯船。
ここからも渓流が見える。
湯量の調整とかはできなくて、純粋なかけ流し。排湯されてく部分が緑色に染まっていて、テンションが上がる。
おそらく2号泉のかけ流しで、湯船は41.5度と少し熱いのだけど、白い大きめの湯の花がふわふわしてるのが嬉しい。
きっと部屋風呂は消毒なしなのでは。
渓谷が紅葉に染まる時季にまた来たいな。そしたら部屋風呂ももう少しぬるいだろうし。
川浦温泉 山県館
★★★★
[山県館1号]
アルカリ性単純温泉
38.9度
pH 9.3
154ℓ/分
[山県館2号]
アルカリ性単純温泉
43.6度
pH 9.6
960ℓ/分
内風呂2 露天風呂3 貸切風呂2 混浴露天風呂3
加水加温循環なし 消毒あり
2022.9 宿泊
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