中ノ沢温泉 御宿 万葉亭(福島)

中ノ沢温泉は、東北新幹線の郡山駅から車で1時間弱。安達太良山西麓、磐梯山との間、標高1,000mの高原にある閑静な温泉地。さらに北は吾妻山系の山々に囲まれ、温泉の宝庫のような場所。

宝暦年間に地元の人々の湯治場として開湯、現在の中ノ沢温泉として営業が始まったのは明治18年。現在8軒ほどの宿がある。

御宿 万葉亭は、2016年にリニューアルした大人の宿で、14室。そうは見えないけど、秘湯を守る会の会員。

大浴場は1階帳場横の廊下の突き当たり。手前に貸切露天風呂の出入り口、

この奥が男女別の大浴場。翌朝9時まで一晩中いつでも入ることができる。

奥が女湯。建物内のような建物外の湯小屋のような、ちょっと変わった感覚の出入り口。全部が木造り。

脱衣所は畳敷き。暖房がしっかり効いてた。脱衣棚は洗面台の横の隅と、その向かいにももう1セット。

逆の隅には仕切り付きの洗面台が2つあり、化粧水などのアメニティやドライヤーがある。

大浴場に入ると、あぁっと声がもれそうな素敵な総木造りの浴室。床や壁はヒバで、湯船は檜。あぁ。

仕切りのある洗い場、シャワーは7つ。

グレーにも青っぽくも見えるお湯。貝汁くらいの薄濁り。

少し透明感があり、端っこの方の湯面には白い湯の花が大量に浮いてる。

湯口近辺はかなり熱い。湯口の温度は54度超え。

源泉は安達太良山沼裂口から自然湧出している沼尻元湯。源泉地で約80度、宿まで7km引き湯することで、50度前後まで下がる。

湯口から離れても、内風呂の湯温は43度ちょい。かなり熱いのだけど、なんとか。翌朝はぎりぎり43度割れ。

酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉。pH 2.1と酸性度が強く、私は少し肌がちりちりするけど、宿までの7kmもの引き湯で湯もみされ、シルクのような肌触りになるのが特徴。岳温泉みたいだな。

ふわりとしたお湯で、きゅうっきゅうっと吸い付くような肌触り。湯上がりの肌はねっとり。

湯口の近くは、湯底に白や灰色の砂利みたいなのがある。石化した析出物なのか、遠く源泉地から運ばれてきた砂なのか。

翌朝、朝陽が差し込む頃、窓の外の樹々の緑が眩しく、極楽な光景だった。

露天風呂もある。サイズは少し小さめで、3人くらいかな。2人だと苦ではない。

排水溝も木で出来ていて、丸い穴がすごい可愛い。

縁の木の隙間から湯が流れ出ていく。

段差の部分には白い粉状の湯の花が溜まっていて、太陽光のせいなのか、透明感が強く感じる。

湯温は43度弱。屋外な分少し低いのかな。翌朝はさらに少し低い42.5度でラッキーだった。

むせかえるような硫黄臭ではなく、手ですくって嗅ぐと、懐かしいような粉っぽい硫黄の匂い。湯上がりに時間が経って、自分から立ち込める硫黄の香りはほんのり。

味はきぶみのないレモン。きぶみって方言かな。

加水用なのか、蛇口が付いてるけど、硫黄で真っ黒。誤って目に入ってしまった時とかに、洗えて有り難い。

でも熱いからといって、さすがに加水する勇気はない。

これほど木に囲まれているのに、綺麗というかなんというか、整備されてるのか。なぜか、野手溢れる感とか秘湯感がない。安心して入れる露天風呂。

鳥の声を聞きながらのんびり入れる。でもちょっと熱い。

大浴場の他に貸切露天風呂がひとつ。

当日にフロントで予約すれば入れる無料の貸切露天風呂「和合の湯」。

予約時間に帳場に鍵を借りに行く。

脱衣場も浴室も、屋根や壁に囲まれてる半露天風呂。

微妙にサイズの違う2つの陶器の湯船が並んでる。

手前の楕円形は浅く、奥の円形は深めで大きい。

湯口は同じところから二手に分かれて注がれていて、

この日の朝は、湯口が51度ちょいで、手前が41.5度、奥が42度だった。上だけ熱い湯が滑ってかけ流されてるので、よく混ぜてから。

実は日本一の湧出量を誇る中ノ沢温泉。なんと毎分13,400ℓ。単独湧出口の自然湧出量では、秋田の玉川温泉の9,000ℓが日本一といわれてるけど、2009年の調査で沼尻元湯源泉の湧出量が13,400ℓで1番だと分かったそう。

豊富な湯量で、7kmも引き湯しても50度もある。しかもこの成分の濃さ。

酸性泉の殺菌作用、メラニンの生成を抑さえ古い角質を溶かす硫黄泉の美肌作用だけじゃなく、石膏泉はかゆみの鎮静や、皮膚細胞を再生し肌の弾力を回復させてくれる。天然の保湿成分メタケイ酸も豊富だし、鉄分も含んでる。

何よりその成分を惜しみなくかけ流しで享受できるのが有難い。

檜風呂付きのお部屋すみれ。旦那さんはずっとこれに入ってるので、貸切風呂に誘っても行かないし、大浴場にも行かず。

部屋の奥にある扉の向こうに細長い廊下、脱衣場がある。

シャワーもついてる。

窓を開ければ半露天風呂。大分寒い季節になってきてるので、閉めて入ってたみたい。

足を踏み入れると、段差のところに溜まった湯の花がもわっと舞い上がる。

着いた時に測った湯口は53度弱もあり、湯船は43度ほど。加水のカランがあるので、好きな温度に調整できる。

湯船の大きさの割に投入量が多いので、ざばざばかけ流し。

窓から見えるのは達沢川。紅葉の季節に来たけど、この辺りの紅葉は来週くらいかな。

とてもいい温泉でいい宿。また来たいな。

 

中ノ沢温泉 御宿 万葉亭
★★★★
酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
68.3度
pH 2.1
13,400ℓ/分
内風呂(男1 女1)露天風呂(男1 女1)貸切風呂1
加水加温循環消毒なし
2022.10 宿泊

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