出雲空港からちょうど30km南下した雲南市木次町の山あいに湧く湯村温泉。
甲府の湯村温泉や、山陰の兵庫の湯村温泉があり、区別するためか出雲湯村温泉や奥出雲湯村温泉とされてる。
歴史はとても古く、1300年近く前の奈良時代(733年)に記された『出雲國風土記』に、玉造温泉とともにその名が示されているほど。
空港から30分ちょっとと、好アクセス。何年も行きたいと思ってたけどタイミングが合わず、やっと。
かつては湯治場として栄えていた町も、現在は一つの共同浴場と2軒の宿が残るだけの小さな温泉地。
明治6年創業の湯之上館は、高く積まれた石垣に建つ築140年の古民家で、1日2組限定の宿。
もう一軒は、斐伊川を挟んだ向かいにある国民宿舎 清嵐荘。
湯之上館に大浴場はないのだけど、目の前の共同浴場、元湯 漆仁の湯を湯之上館が管理してるので、自由に入ることができる。
2階の客室から、向かいの共同浴場。石州瓦の立派な建物は、一見すると浴場には見えない。
漆仁の湯は、外に足湯、斐伊川を望むテラスのような休み処もあり、
建物に入ると、小さなちょっとした直売所みたいになってて、地元のお味噌や野菜などが少し置いてある。
地元の牛乳があるの、すごく嬉しい。アイスもある。
日帰り入浴はこの券売機で。利用時間は10時から21時受け付けの21時半まで。
専任の番頭さんがいて、絶えずお掃除や片付けしてる綺麗な施設。
足湯の横の離れの建物は、貸切風呂。
1回50分貸切で1100円の有料だけど、宿泊者は無料。到着後すぐに空いたら教えてもらうことにして、部屋で連絡待ち。
札を使用中にして、中から鍵をかけて入る。
木造りの綺麗な脱衣場。扇風機もついてる。
貸切風呂は露天風呂。斐伊川の流れを眺めながら入れる。
シャワーはなく、カランと湯桶があるだけで、石鹸がひとつ。
湯桶には源泉がかけ流してあり、この湯で体を流す。湯桶は41.5度あり、小さな桶だから湯船より熱い。
岩組みの湯船。2人だと気兼ねなく入れる広さ。家族だと3人でも十分か。
湯口からは43度の源泉が注がれていて、湯船は41度弱。ぬるめのかけ流しのイメージだったので、この季節だと熱くて少し残念。
湯口は、湯の中にもう一つあり、結構な湯量が注がれてる。これなら冬でも暖かく入れるだろうなという感じ。
硫黄の香りがほんのりしそうなとろりとしたお湯なのだけど、無味無臭。ぬるつるの肌触り。
洗い場側にざばざばかけ流されてるのかなと思ってたけど、ちょろちょろ。
おかしいなと思ったら、うちの旦那さんが「ここ!頭がちょうどはまって最高」と、寝湯してるとこから、それはもう、ざばざばかけ流しだった。
川がすぐそばで、少し川からの風があるような気もするけど、やっぱり熱い。
斐伊川の川底から湧出していた温泉を発見したのが湯村温泉の起源といわれてるけど、ここの源泉は川底ではなく、約80m上流の岩盤から湧き出てるのだそう。
手前側にはほんの少し葦簀の屋根がある。
のを撮ってたら。わ!彩雲なのかな。
大浴場は男女別で、それぞれ内風呂と露天風呂がひとつずつ。男女の入れ替えはなしで、女湯が奥。
毎日来てるんだろうなと思われる、地元のおばあちゃん、おばちゃんがたくさん。脱衣所の籠は24個もある。
実は、漆仁の湯の営業終了後、なんと宿泊客だけが利用可能になる。しかも2組しかいないのだから、ほぼ貸し切り。
夕食後のお茶セット。一緒にお盆に乗ってるのが鍵。共同浴場の鍵を預けてもらえるなんて初めて。最初で最後かも。
湯を抜いて清掃が始まる朝8時まで、一晩中自由に入ることができる。
立派な太い木の柱が中央に立つ浴室。床は川石が敷き詰められていて、壁や天井は木造り。
岩で囲まれた扇形の湯船の周りには、木の湯桶が3つ。
竹の湯口からは源泉そのままが注がれていて、飲泉もできる。
湯桶にいったん溜まった源泉が、湯樋を伝って、湯船に入るしくみ。
手摺りの横に紫色のパイプが見えてる。ここからも直接湯船に源泉が注がれてたような。
もうひとつ、奥にある湯桶からも同じように注がれてる。湯桶の中は42.5度。
湯桶はもう一つ手前にもあり、全部で3つ。これらは秘湯の湯治場にあるタイプの、洗い場のためのもの。
シャワーもカランもなく、この桶に溜まった湯で身体を流す。
湯船は川沿いにある。漆仁の湯は、斐伊川の昔の呼び名である漆仁川に由来してる。
『出雲國風土記』には「漆仁の川辺に薬湯あり」と記され、「一たび浴すれば身体和らぎ、再び濯げば満の病消除る」と“薬湯”として紹介されてる。
ちなみに玉造温泉は“神湯”。「一たび濯げば形容端正(かたちきらきら)しく、再び浴すれば万の病悉に除こる」と。
(一度入浴すれば肌が若返るようになり、二度入ればどんな病やケガも治ってしまう)
内風呂の湯船は41度弱。源泉温度は41.9度だけど、冬に測定してるので、きっともう少し熱そう。
pH9.0のアルカリ性単純温泉。無色透明無味無臭の綺麗な優しいお湯。新鮮そのもので、ぬるつる感はあるけど、いかにもアルカリ性のぬるぬるってほどではない。
内風呂の先に露天風呂がある。
オーバーフローしたお湯が、外へかけ流され、
一部は、この穴から露天風呂に注がれている。
露天風呂も、内風呂と同じ川石の床が繋がってる。
3分の1くらいは屋根があるので、雨でも入れそう。
開閉式の窓で、開いてるところからは川の流れが見えてる。
全部開けたら眺めが良さそうだけど、余所者なので窓には触れず。
内風呂側に湯口があり、
内風呂から溢れ出たお湯が、さっきの穴から外へ出て、露天風呂に投入されてる。
露天風呂の湯船からは、外へざばざばとかけ流されてる。
毎分240ℓくらいの源泉を利用してるらしい。
ざばざば。
内風呂からのお湯なので、40度割れとぬるめ。中は熱いので、ここにいるしかないのだけど、
深くて底にはお尻をつけて座れない。
なので、壁に体を預けての中腰か、段差に座って半身浴。
でも、底や段差の素材が、雷おこしみたいなつぶつぶの刺激のあるやつで、お尻が少し痛い。
露天風呂のぬるさには救われたけど、できれば寒い季節に来て、もう少しぬるめのお湯を堪能したい。
宿泊客メリットがここまですごいところ、あるかしら。有り難すぎた。
出雲湯村温泉 元湯 漆仁の湯
★★★★
アルカリ性単純温泉
41.9度
pH 9.0
湧出量測定不能(自然湧出)
内風呂(男1女1)露天風呂(男1女1)貸切露天風呂1
加水加温循環消毒なし
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