数年前かな、塩素消毒するかどうかで物議を醸した道後温泉。神話の時代から湧く、日本最古の温泉。
自然湧出していた道後温泉本館にあった1号泉はすでに枯渇していて、現在は29本ある源泉すべてが掘削で動力揚湯。
源泉は道後温泉旅館協同組合が管理し、29本のうち19本が利用可能みたいだけど、汲み上げを控えているのもあり、稼働中の源泉は17本で、1日当たりの湯量は2000t。
源泉は4か所の分湯場に集められ、そこから各施設や旅館に配湯されている。道後温泉本館は第2分湯場からの引き湯。今回泊まった道後温泉 琴の庭(愛媛) – 温泉手帖♨︎も同じ源泉。
その道後温泉本館は保存修理工事の真っ只中。
前期営業時は、浴室は「神の湯」、出入り口は北側だったけど、7月15日から始まった後期営業は、出入り口は東側に移り、浴室も修理工事が完了した「霊(たま)の湯」に移行。
約2年半ぶりに営業再開となる霊の湯は、天皇や皇室の随伴者、政府要人のために作られた浴室。
照明器具のLED化や蛇口を増設した他、耐震補強を施したそう。
定員は女湯が40人、男湯が20人だけど、コロナ禍で当面はそれぞれ半分の人数に制限中。
日曜の朝8時過ぎだったけど、出入り口には数人の列が出来てた。
霊の湯に入るのは多分初めて。番台でお金を支払ったら、階段を降りて階下の浴室へ。
撮影禁止なので、道後温泉HPや14日に報道陣に公開した時の画像をお借りします。
明治27年(1894)に改築した木造3階建て。古いまま残されているけど、清潔で心地いい。
脱衣所のロッカーはこれと同じタイプだと思う。レトロで可愛いロッカーだった。番台で濡れモノ入れのナイロン袋をくれるし、ロッカーのサイズも程よく使いやすい。
洗面台もいくつか並んでいて、数人がドライヤーを利用していたように記憶してる。
霊の湯の女湯は、道後温泉本館で唯一、湯船が浴室の真ん中にあるタイプ。
神の湯に比べて小さいらしいけど、神の湯のごった返しのイメージが強すぎて、かなりゆったり広々に感じた。
シャワーは周りの3面に分散して14個。定員を半数の20人にしてるので、洗い場待ちとかはなさそう。
天井には小さな天窓みたいな湯気抜きの8つの窓と換気扇。
奥の壁にある陶板画は左側が白鷺、右側に描かれているのが大国主命と少彦名命。どちらも道後温泉の開湯伝説。
湯船の真ん中に背中合わせに立っている像も出雲の神の大国主命と少彦名命。
ふたりが伊予の国を訪れたとき、重病にかかった少彦名命を大国主命が掌にのせて、道後温泉の湯で温めたら元気になり、玉の石の上で踊ったと伊予国風土記逸文に記されてる。
湯船は花崗岩の中でも最高級といわれる庵治石や大島石で、壁面には大理石が使われている。
湯口は真ん中のふたりの足元。四方に4つの湯口があり、43度の源泉が注がれている。
道後温泉では、20度から55度まで湯温のばらばらな源泉を4か所の分湯場に集め、そこから各施設や旅館に配湯してる。
第2分湯場の混合源泉の温度は48度。第2分湯場は3・5号源泉の2本なんだけど、第1分湯場(7・13・14・15・17・19・21・24・29号源泉)と第4分湯場(6・8・9・25・26号源泉)からも配湯されてる。つまり、16本ものミックスということ⁈
4か所の分湯場から配湯なんて、そんな単純な話ではない。6人の汽缶士が三交代制で手作業で管理してるらしい。凄すぎる。
湯船の温度は41.7度と少し熱い。ほんのりふわぬるの肌触り。結構塩素臭はする。
縁からは滔々と湯が溢れ出ている。しっかりかけ流し。加温もしてない源泉かけ流し。
湯船の中には、縁に段差があるのだけど、掌の長さもないくらいの狭い段差。
湯船の中は足の付け根くらいまでの深さがあり、その狭い段差に腰掛けると胸の下くらいまで、湯に浸かれる。とにかく狭い段差ので、姿勢良く背筋が伸びる。
他の宿は加温しなきゃならないのに、ここは少し熱すぎるってほんとに残念。第2分湯場は道後温泉本館の南側、駐車場がある冠山にある。5度くらいしか下がらずに引き湯できるのは、近さゆえもあるけど、配湯の湯量が圧倒的に多いからか‥。
でも、神の湯の芋洗いの印象から抜け出せたので、入りに来て良かった。
道後温泉 道後温泉本館
★★★
アルカリ性単純温泉
47.8度
pH 9.1
内風呂(男1 女1)※改修中にて
加水加温循環なし 消毒あり
2021.7.18 日帰り入浴
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