国領温泉 助七旅館(兵庫)

江戸後期の『丹波志』に、「国領長谷に霊泉あり諸病効験あらたか」と記されている国領温泉は、伊丹空港から車で1時間半ほど北上した丹波市にある温泉。

江戸時代から宿場町、兼地元の人の湯治場だったけど、大正時代にその効能が評判になり、湯宿が13軒も立ち並ぶ温泉街に発展、多くの湯治客で賑わっていたのだそう。

現在残っている唯一の温泉宿が、大正4年創業の助七旅館。

大浴場は2階の突き当たり。かつて山之神湯と呼ばれていた温泉。

利用時間は夜23時までで、朝は7時から10時まで。男女入れ替えはなし。

日帰り入浴が12時から19時までなので、チェックインから夕方までは、少し外来客で混んでた。

脱衣所は、中央に脱衣籠があるタイプで、洗面台にはドライヤーのみ。アメニティはなし。

浴室に入ると正面に大小の湯船が2つ。右手の壁に面して洗い場があり、シャワーは7つだったかな。

右側の小さな湯船の方がぬる湯で、少し濁りが薄い。

手前は段差なので、3人入るとちょっと嫌なくらいのサイズ。

以前は、源泉を出していたのかしらと思われる湯口と、それを受けるこの岩みたいなのがあるけど、今は何も出てない。

黄土色に染まり、鱗のように析出していて、元が岩なのかは分からない。

ここから源泉が出てたら気持ちいいだろうけど、残念ながら循環濾過の湯船はフレッシュ感が全くない。

成分が湯膜のように浮いてる。

ぬる湯の湯温は38度。せっかくのぬる湯だけど、温泉感が感じられないほど、湯がくたっとしてる。

泉質は単純二酸化炭素冷鉱泉。加温循環してるので、もちろん泡付きはない。

弱酸性とあるだけで、他の分析書がないので、会計の時にpHを聞いてみたけど、分かる人がいなかった。せっかくの名湯なのにもったいないな。

左側の大きい方は42度ほどで結構熱め。がっつり加温した循環湯なので、しっかり酸化して、濃い黄土色。多量の鉄分を含んでる。爪の間がすぐ黒くなった。

湯口からは38度くらいの薄茶色の加温湯が出てた。

湯口の析出物が成分の濃さを物語ってる。黄土色の塊を指で触ると、焦茶色の湯の花。

循環なので、湯船からお湯が溢れ出てないのだけど、かなり立派な棚田状の析出が出来てる。以前はオーバーフローさせてたのか、かけ湯でこんなの出来上がるのか。

露天風呂もある。

東屋風の屋根付き。

木の縁に囲まれた湯船には、やっぱりのっぺりした循環の黄土色のお湯。

湯口からは42度ちょっとに加温されたお湯が、ちょろちょろと出てる。

足を踏み入れると、砂煙のようにもわっと溜まっていた湯の花が舞い上がる。

黄土色の湯の中には、焦茶色の粒のような湯の花が見られる。

湯口近くの隅に溜まってる湯の花。子どもが掬い上げて、髪の毛や葉っぱが混じってるので、うえ〜ってなり、母親に手を流しなさいと強く言われてた。

循環でも、こんなに湯の花が溜まるんだ。すごい成分なんだろうな。

ラドンと鉄を多く含むお湯ってどこかに書いてあった。

さて。はるか丹波市までやって来たのは、この家族風呂に入りたかったから。

1時間4,000円の有料予約制。空いていても、一回しか貸してもらえない。日帰りでも予約可能。

おうちの洗面所みたいな脱衣場の向こうに、小さな木の湯船。

黄土色の湯が張ってあり、42.5度くらいある。

この時点で、一緒にきた旦那さんは「お譲りします」と出て行ってしまった。湯船が小さい上に、熱すぎるお湯なので。

源泉でぬるくできるんだよーと言っても聞く耳持たず。

そう。このカラン、冷たい方が源泉そのまま。熱い方は加温源泉。

源泉は19度弱。一気に埋めて、35度くらいにして入る。

ほんのり甘い炭酸水で、鉄の匂い。手で受けると、この泡。

湯面もあわあわ。これぞ二酸化炭素泉。

身体中がすぐに、あわあわのふわふわ。少しきしみ、肌にきゅうっと吸い付くような肌触り。

顔を洗うと、目や小鼻のあたりが弾ける炭酸でぴりっとする。

湯上がりの肌はじっとりねっとり。塩分も結構含んでるのかも。なんせ、分析書がないので。

貴重な源泉なので、ほんの少しだけかけ流し、あとは好みのぬる湯で静かにあわあわを堪能。う〜、極楽。

この湯船にもう少し入れるなら最高だけど、循環の大浴場だけだとちょっとつらい。せめて、ぬる湯の方に源泉をしっかり投入するとかしてくれたらいいのだけど。

 

国領温泉 助七旅館
★★
単純二酸化炭素冷鉱泉
19度弱?
pH 弱酸性
内風呂(男1女1)露天風呂(男1女1)家族風呂1
加水なし 加温循環消毒あり※家族風呂は加温のみ
2022.7.2 宿泊

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