八幡平最古の秘湯 蒸ノ湯温泉は、300年も前からこんこんと湧き出ている効能豊かな温泉。
盛岡駅からは車で八幡平アスピーテラインを通り1時間半弱。八幡平の秋田県側、雪深い標高1,100mに湧く山の出湯。営業期間は4月中旬から11月上旬まで。
八幡平ドラゴンアイを見たくてやって来た。昨年は藤七温泉 彩雲荘(岩手) – 温泉手帖♨︎に宿泊。

八幡平山頂レストハウスから蒸ノ湯温泉までは15分くらい。

蒸ノ湯温泉へ入る分岐点にある蒸ノ湯休憩所から、もうもうと立ち込める霧が見えたので見下ろしてみる。あれが、蒸ノ湯温泉の野天風呂だ。霧じゃなくて、源泉が噴き出している蒸気。こんこんと湧き出る、じゃなくて、ぷしゅーぷしゅーと噴き出す温泉。
敷地内はどこでも泉質の異なる温泉が湧く、まさに温泉天国。

昭和28年に建てられた校舎のような本館。昭和40年代には、常時600人から1000人の湯治客がいたけど、山崩れですべての湯治場が押しつぶされてしまったそう。

駐車場の向こう側が野天風呂。私にとっては天国だけど、見ようによっては地獄の様相。温泉の蒸気がもくもくと立ち昇る地に点在する野天風呂。

左手奥にあるのが、ここの名物でもある混浴の野天風呂。野天風呂とオンドルは大雪のため現在利用できず、復旧作業中。
混浴野天風呂には、枡風呂、樽風呂、岩風呂がある。
「樽風呂は入れるのよ。入っても大丈夫なんだけど、日中は工事してるから大工さんたちがいるのよね。うふふふふ。」って若女将。そりゃあ無理だ。
レンタル湯浴み着(500円)があるので、混浴だけど一応大丈夫。

遠目にも樽風呂、岩風呂に湯が溜まっていて、かけ流されているのが見える。工事の人も見える。

蒸ノ湯温泉は一軒宿で、秘湯を守る会。地熱を利用した蒸かし湯(オンドル)から、その名がついたそう。地熱で温かくなった地面に直接御座を敷き、座ったり横になることで、温泉入浴と同等の効果が得られる。あいにく、オンドル小屋も復旧作業中。

1階にある和洋室に改築された部屋。ひとりでもここに泊まれた。夜はあまりにも寒かったので、ヒーターを持ってきてもらった。

チェックインの時に使い捨てスリッパがもらえて、サインペンで部屋番号を書く。すごくいい。すべての宿がこの仕組みだといいのに。

玄関入ってすぐの室内にふけの湯神社が祀られてる。

フロントから浴場へと続く廊下はぴかぴか。ランプの灯りや軋む音が秘湯の情緒をかきたてる。湯治場風情。

内湯は24時間いつでも入れる。朝ごはんの7時半から1時間が清掃時間。野天風呂は日没前の暗くなる前まで。

男女別の内風呂は総ヒバ造り。女湯の手前に男性用露天風呂の入口があったので、男性は内風呂と露天風呂が離れているみたいだった。女湯は脱衣所から露天風呂に行ける。

脱衣所もヒバ造りで雰囲気がある。

内風呂は天井が高く、男性内風呂と隣り合わせ。

2面に窓があり、新緑でいっぱい。雨も降っていたし寒かったので、窓は閉まっていたけど、どこからか風が流れてた。

シャワーはもちろんカランもなく、丸太をくり抜いた長い桶が洗い場。

源泉と湧水が掛け流し状態になっているので、この丸太の中のお湯をすくって洗う。雨の影響らしく、このお湯が冷た過ぎた。ので、湯船のお湯で洗って、最後の仕上げだけ冷たいの我慢してかけた。
シャンプーとボディーソープは備え付けあり。

青みがかった灰色の濁り湯。硫黄の匂いはそんなに強くない。

かなりの量が投入されてる。湧き水で加水して適温にしたお湯。酸っぱい。

湯船の中にあるこの排水口から、かけ流されている。
近くの藤七温泉と比べると優しめで入りやすいお湯。

つるつるきゅっきゅという湯感触。42度前後。寒い日だったので、ちょうど気持ちよく浸かれた。
湯の花は大小あるけど、小さな細かい白いのが多い。

ヒバ材を使用した湯船はさらりとした感触だけど、底には湯の花がたくさん溜まっていてざらりとする。
脱衣所を通り、そのまま露天風呂へ。

手前だけに雨避け程度の屋根がある。今日は雨。

入る人が少ないからなのか、雨の影響か、温泉と湧き水が混ざってないみたいで底が冷たい。ひやりとするほど冷たい。湯口と湧き水投入口は違うみたいで、湯船の上側は温かいけど、下側が冷たい。
自分の周りだけ両手で一生懸命に撹拌するけど、頑張って混ぜても38度割れ。だけど、体感的には40度すれすれくらいの暖かさに感じる。

湯船から野天風呂が見える。新緑が清々しい。
敷地内に湧く泉質の異なる3本の源泉が使用されていて、露天風呂と内風呂は同じ源泉。

pH 3.2の単純泉。硫黄泉の基準に満たないから単純泉。こんなに硫黄泉そのものなのに。単純泉あなどれない。
野天風呂は硫化水素型の硫黄泉。

pH 4.6だからか、内湯ほど肌がきゅっきゅしない。硫黄泉だけど、溶けている成分は内湯の半分以下。
混浴野天風呂は修復中だけど、男女別の野天風呂は利用できる。

手前にあるのが女湯。雨が降っているので、玄関でビニール傘を借りて。今日は午前中停電の点検⁈とかで、日帰り入浴はおやすみしていたそう。貸切状態。

入口の渡り木の下は、かけ流されていくお湯で白くなってる。
辺り中に硫黄の匂いが漂ってる。
木のドアの向こうには屋根付きの脱衣場。2段くらいの木の台があるだけだけど、真新しく清潔な木。

岩肌剥き出しの中にどーんと湯船。見上げる一帯は標高1100mの八幡平の樹海。
ブナやダケカンバ、アオモリトドマツ。ちょうど新緑の季節。マイナスイオンの含有量が日本最大らしい。

青みがかった乳白色の硫黄泉の向こうには、白い蒸気が立ち込めている。

しゅーっしゅーっと音を上げて噴き出す蒸気。

近くに寄るとかなり暖かい。スチームサウナのよう。

至る所から噴出してる。

湯温は42.5度くらい。外が寒いので気持ちいい適温。42度超えてるとは思えない。天候によっても左右され、湯温調整難しそう。早朝はもう少しぬるくて、さらに気持ちよかった。
内湯とは明らかに泉質が違い、ぬるつるの浴感。

湧き水と混ざった適温の湯が、木の樋を伝って流れ込んでくる。硫黄の匂いも強い。

青みがかった灰色のふさふさの湯の花が木枠や床にたくさん溜まっていて、湯船の中で動くと舞い上がる。

特に排出口はなく、かけ流されているお湯は、右手前のあたりから溢れ出ていく。

空気が爽快だし、ぬるつるが気持ちいい。硫黄泉はメラニンの生成を抑制したり、古い角質を軟化し溶かしてくれる美肌の湯。内湯も風情があって素敵だけど、野天風呂のお湯の方がすき。湯上がりのお肌はさらすべ。
朝ごはんに温泉黒たまごが出た。初めて間近で見て初めて食べた。半熟派だけど、なんか有り難く食べた。

温泉の硫黄の匂いはあまりきつくなかったけど、身体についてる匂いはやはり硫黄。いつまでもいつまでも追いかけてくる匂い。嫌いじゃない。
そういえば、内湯の露天風呂でも、部屋でも、カッコウがカッコウカッコウと鳴き続けてた。
蒸ノ湯温泉 源泉・秘湯の宿 ふけの湯
★★★★★
[内風呂]
単純温泉
89度
pH 3.2
[露天風呂]
単純硫黄温泉
86.2度
pH 4.6
男女別 内湯 露天風呂 野天風呂、混浴野天風呂(修復中)
加水あり 加温循環消毒なし
2019.5.31 宿泊



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