『炭酸水素イオンを豊富に含む日本でも有数の白濁色の温泉がある旅館』を目指して高松からレンタカーで西へ120キロ。めちゃ遠かったけど、松山空港からだと1時間弱。最寄駅は予讃線の伊予西条駅で、駅からは車で20分ほど。
その旅館は西条の石鎚山に。
石鎚山ロープウェイ乗り場にある石鎚山温泉の京屋旅館。の、別館の歓喜庵。
真っ暗な山道を頑張って辿り着いた京屋旅館。「そんな予約きいてないよー」と言われ、泣きそうになりながら別館の歓喜庵の予約だと伝えると「ここじゃないよー。だいぶ行き過ぎたねー。また10キロ下にくだってー」
‥。
別館って本館の横に建ってるんじゃないんですか。
細くて真っ暗な山道を戻ること20分。見逃してた看板はこれ。そもそも、ナビをちゃんと歓喜庵に合わせてたらよかった話。自分が悪い。泣きたい‥。
明るい時はこんなに分かりやすい看板。あぁ。
この道に入っていくと、京屋旅館が現れる。これは支店という位置付けらしく、歓喜庵が経営してる。
ロープウェイのとこのは本店で、ご主人の妹さん夫婦が預かっているそう。さっきの方ね。
そしてさらに
進むと、歓喜庵が。
ロープウェイよりさらに上に建っていた自宅を、18年前にここ横峰寺のそばに移築して始めたという歓喜庵。柱や梁など古材が素晴らしい。
先代の趣味の骨董品や不思議な石や生き物で溢れる玄関。
は、さておき、もう辺りは真っ暗で、心も折れてるので、とりあえず温泉に入らせていただきたい。
温泉棟は、本館と50センチくらい離れて建っている。戸を開けて一足分だけ外に出て、次の戸を開けて温泉棟へ踏み入る。
手前に男湯、奥に女湯。
18時過ぎだったけど、脱衣所には6、7人。登山帰りの日帰り入浴客だった。
檜の雰囲気ある浴室。湯船も檜。
思っていた湯の色と違う、茶褐色の濁り湯。
ジャグジー状態でごぼごぼと音を立て、湯面が盛り上がっている。
源泉は16度の冷鉱泉なので、蒸気で湯をあたためている。120度か160度かの蒸気(聞いたのに忘れた)で、普通の加温に比べて燃料代が倍もかかるそう。その高温のおかげで、塩素消毒しなくて大丈夫だと。
循環したお湯は使ってないよーと聞いたけど、全く循環せずに加温してかけ流されているのかな。
湯温は42度ちょいの熱めで、汗がたくさん出てくる。もうちょっとぬるくしたらいいのにな。
湯が流れ出ていく部分の湯船の縁は、千枚田のような析出物ができてる。
湯底にはかなりの量の湯の花が積もっている。お尻にざらりというレベルではなく、柔らかな砂の上に座る感じ。
湯船に足を入れると、ふさふさと溜まっていた湯の花が、ふぁさふぁさと土煙のように舞い上がる。
踏み荒らして、湯の花が無くなった跡。あっという間にまた積もってくる。ぼこぼこジャグジー状態にしてるから、舞い上がる湯の花が段差や端に溜まっていくみたい。多分この大量の湯の花を攪拌するためのぼこぼこジャグジー。
鉄の匂いというよりも、土の匂いが強い。出汁味も塩味もほとんどない。
源泉は12キロ先のロープウェイ乗り場のとこの京屋旅館の敷地内にあり、細い山道を毎日タンクに入れて車で運んでいる。
引き湯じゃないし、加温もしてるから、味や匂いは弱まってるのかな。
だって、成分がめちゃくちゃ濃い源泉だから、湯元の味や匂いはすごそう。
総成分量の22850mgって半端ない。温泉水1kg中に22gもの温泉成分が含まれてるって。人間の体液の9gよりも成分が濃い。
炭酸水素イオン6178mgは多分過去一だと思う。自分が見たことある中で。ただ、この分析表古くて、ネットで見つけた14年後(平成18年)の分析表だと2356mgに減ってた。それでもかなりの量。
遊離二酸化炭素は減ってなくて、1702mgと驚愕の数値。この含有量は、あの小屋原温泉 熊谷旅館(島根) – 温泉手帖♨︎、増富温泉 天然岩風呂の宿 不老閣(山梨) – 温泉手帖♨︎、千原温泉 千原湯谷湯治場(島根) – 温泉手帖♨︎を優に超える、花山温泉に次ぐレベルの二酸化炭素泉。
遊離二酸化炭素が3161mgもある石鎚山第2源泉もあるらしい。それだと余裕で花山温泉 薬師の湯(和歌山) – 温泉手帖♨︎をも超える。
総成分量も8067mgに減ってはいたけど、それでも濃い。源泉すごいんだろうな。味わいたいな。泡泡なんだろうな。
弱い軋み感があって、きゅっきゅとした浴感。
浴室は木々に囲まれていて、四季が彩る景観を楽しみながら温泉に浸かれる。昨夜はただただ真っ暗だったので、翌朝堪能。実に清々しい!
入浴時間はアバウトで、何時まで入りたい?朝も入る?みたいな。今回は夜は22時まで、朝は7時から入れるように沸かしてくれた。
他に大浴場に朝晩入りたいお客さんがいなかったみたいで、希望を聞いてくれたような感じ。他のお客さんとの兼ね合いも分からないし、遠慮しつつ。
自分の希望だけで沸かしてくれてたのだったら、ぬる湯が好きなわけだから、もっと早めに沸かすのを止めてもらえばよかったのかなぁとか、思いながら朝湯。
洗い場は下が、これ、何ていうやつだっけ。これです。
脱衣所も広々で清潔。
HPにも記載があるし、一部情報によると、眼下に黒瀬湖を望む露天風呂があるらしいのだけど、露天風呂の説明されなかった。季節によるとか?
部屋に露天風呂付いてるからスルーだったのかな。
玄関前のこの道の先にあったのかな。謎のまま。
宿泊は本館と離れがあり、離れは月庵と星庵の二つ。今回は月庵に。どうしてもこの離れじゃないとダメで、半年前から予約した。
月庵には専用の露天風呂がある。乳白色の白濁した露天風呂に好きな時に入れる、この月庵に泊まりたくて遠路遥々やって来た。
星庵の方は、HPに檜風呂とも岩風呂とも記載があり、どっちなのかな、詳細は分からない。
いい意味でゆるい。露天風呂の所在も入浴時間も支払いもゆるかった。サービスし過ぎかと思うほど。前例示すと申し訳ないので支払いやサービスについては細かくは残さないけど。女将さんもご主人もアットホームで優しくてゆるい。
月庵の露天風呂。脱衣所もある。離れの脱衣所にしては広めで、籠も3つ置いてあった。
シャワーに、シャンプー類もある。
離れの部屋との間には巨石があるので、微妙に見えないで入ることが出来る。立ってる時はまぁまぁ見えるけど。
こちらも大浴場と同じ茶褐色の濁り湯。白濁のお湯だと思ってきたので、かなり残念。季節や天候でお湯の色が変わるのはよくあること。でも、実はそのせいじゃなかった。
この白濁してない事件の真相はタンクにあった。(女将さんに色々聞いたところ)
湯元からタンクに入れて運んできた温泉。タンクに溜めてある温泉は鉄などの成分が沈殿するため、タンク上部の温泉を湯船に入れると茶褐色ではなく、乳白色になる。うん、そうだろうな。それで白濁の露天風呂が出来上がると納得。
今回はなぜか(タンクを掃除してるからとか)タンクの温泉を全て湯船に流し入れた。当然鉄分を豊富に含むので茶褐色の湯船が出来上がり。分かるような分からないような、曖昧なとこもあるけど、仕組みは分かった。
離れの露天風呂も大浴場も源泉は一緒。でも、露天風呂の方がつるつる感が強い気がした。消毒剤も使っていないので、美肌の湯。アトピーや皮膚病、五十肩などに効果があると言われてるそう。
残念感が残るけど、効能的には源泉そのまま全部入りのお湯の方がいいわけか。
かなり貴重な成分の源泉。湯温が適温だったら奇跡だけど、残念ながら冷鉱泉。源泉そのままを触れたり目にしたりできたら納得できるのか、加温のしくみをきっちり理解できれば満足なのか。ちょっと、もやっとする。
離れの露天風呂かなり気に入ったみたいだし、再訪時にまた教えてもらおう。
★★★
16.4度
pH 6.2
加温あり 加水循環消毒なし
2019.11.3 宿泊
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