あの玉川温泉は、田沢湖駅からレンタカーで1時間北上したところにある。田沢湖駅までは秋田新幹線で約3時間。玉川温泉に行ったことないってどうなの?と常々思っていたけど、肌が強くないので酸性泉が苦手で躊躇してた。
けど、来てみた玉川温泉。
あいにくの土砂降りで、外を歩いたりも出来ず館内からの景色しかない。外の岩盤浴がどんなかも分からないまま。
まだ雪が残ってた。12月から4月中旬までは冬季休館するみたい。
玉川温泉は1680年(延宝8年)に地元のマタギが発見、鹿が傷を癒していたことから“鹿湯”と呼ばれ、1885年に湯治場が開かれた。現在の玉川温泉は1934年の開業。
館内の案内図が浴衣と同じ柄!可愛い!
玉川温泉は岩盤浴発祥の地。野外の岩盤にござを敷き地熱を取り入れる。
2012年に屋内岩盤浴ができ(HP画像)、天候に左右される事なく、気軽に岩盤浴ができるようになってる。専用のござと枕が用意され(都度消毒してくれる)、有り難いことに安定した温度設定、ラジウム放射線、衛生的な環境など、天然の岩盤浴をしのぐ岩盤浴が体験できる。
営業時間はコロナ前は3時から21時で、内8時から16時50分までが予約制。その時間以外は自由に利用できる仕組みだったみたいだけど、今は7時から19時50分までの完全入れ替え予約制で各50分。全25床のうち中温が10床、高温が15床と温度が異なる。熱過ぎると困るので中温を予約。有料で作務衣と身体を覆う大きめのバスタオルもレンタル。中温がござを敷いて48度前後、高温が50度前後だそう。
仕切りが取り付けられていて、隣の人の上半身は見えない。もちろんマスク着用。入れ替え時に消毒、換気もされていて安心して利用できる。
雨音か外を流れる川音か、源泉の流れる音か、室内に流れてる源泉の音なのか、静寂の中に水音が心地よくて落ち着く。
仰向けでいるとすぐにお尻が熱くなり、寝返りを何度もうちながら、最近気になる痛い部分に熱が通るように身体をあてる。
すぐに汗が出てくるのかなぁと思ってたけど、30分以上経った頃からじわり。作務衣の首元が少し汗ばむくらいで、だらだら汗をかくほどではなかった。でも満足感ある。毎日続けたいと思ってしまう。
大浴場と屋内岩盤浴の間に足湯がある。横を流れていく黄色い源泉に驚いた。レモンみたいなもん?酸性ってこんなに黄色いの?衝撃。
pH 1.13はもちろん日本一の強酸性。源泉の沈殿物が結晶化した北投石は特別天然記念物。
足湯や大浴場は玄関の向かい側の建物にあり、2階の渡り廊下から行く。
渡ってから1階に降りると大浴場。さらに奥に屋内岩盤浴がある。湯治の自炊部もこちらの建物内。
男女入れ替えはなく、夜は24時までで、おそらく掃除が入り、その後3時からまた利用できる。つまり利用時間は、夜中の3時から24時までの21時間。
夕食後から24時までの時間は、脱衣所に常に5〜7人くらいが出入りしてるような感じだった。
蜜にならない対策で、脱衣籠を87から52に減らしてた。さすがに籠が空いてないから出直し、って状況には出くわさなかった。
夜中の3時からスタート。少しフライング気味に行くと独泉だった。
湯治場風情のある雰囲気満点の総檜の湯小屋。
右手にかけ湯。これは白湯。酸性がきついので、私はかなり念入りにかけ湯をしてからあがることになる。
左手に洗い場。シャンプーやタオルなど持ち物を置く棚がいくつかある。
がっちり仕切りのあるシャワーが6つある洗い場が2セットあり、
右手の向かい側には介護優先洗い場もある。広めのスペースに手摺り付きが4つ。
広い広い大浴場。床も湯船も天井も全て檜造り。天井は高く15mもあり、上は吹き抜けで男湯と繋がってる。
左右に湯船がずらりと並んでいて、全部で11種もある。全て惜しみなくかけ流し。源泉1ヶ所からの湧出量が毎分9,000ℓはダントツの日本一。
まず左手前にあるのが、源泉100%の湯船。100%はここだけ。効能が最も期待できるのだろうけど、肌への刺激が強いのでぬるめに設定されてる。
殺菌力の強い酸性泉。その上、消毒洗浄効果のあるメタホウ酸も68mg含んでる。硫黄と微量のラジウム放射線が含まれていることも特徴。治癒能力の向上が期待できる“効きの湯”として名高い。
フライングしたので、まだこの湯船は湯が溜まりきってなかった。きちんと湯の入れ替えしてるんだなぁと好印象。かなりの勢いで湯が投入されてる。
湯口の中は薄い黄色に。湯口で42度ちょっと。意外にもぬるりとした湯感触。
湯船は39度ほど。ぬるめだけども、ひりひりがすごい。傷がなくてもいたるところがちりちりとしみてくる。
泡付きがあり、予想外のふわりとした肌触り。そうだ。遊離二酸化炭素が2217mgも含まれる二酸化炭素泉でもある。泉質名は、酸性-含二酸化炭素・鉄(II)-塩化物泉。源泉が熱いから泡付きがすごいわけじゃないけど、含有量はすごい。
源泉100%の湯船の隣にあるのは、気泡湯。気泡の刺激によるマッサージ効果と、マイナスイオンが自然治癒力を高めるから気泡湯があるのだそう。身体を改善することに徹底してる。
湯温は40度。源泉50%の濃度なので、少しひりりとする。何より顔に飛び散るしぶきが強烈に目にしみる。
気泡湯の奥の小さな湯船は弱酸性の湯。最も酸性度が低い湯船なので、肌への刺激が1番少なく、安心して入っていられる。ここに1番長く居た。3時の時点ではここも湯が溜まりきってなかった。
湯口が40度ちょいで、湯船は37.5度とかなりのぬる湯。翌朝はもっとぬるくて37度だった。いくらでも長湯できる。
ほんのり酸っぱいかな、くらいの味で、少しは目にしみるけど、顔が洗えるくらい。肌触りはきゅっきゅする、いかにも酸性泉。
白や茶色の大小の湯の花が舞ってる。
脱衣所から見て右側の列の湯船へ。大中小と3つ並んでる。
1番手前の大きいのが源泉50%の湯船。まずは身体を温泉に慣らすために、源泉100%に入る前にここに入るようにとのこと。
100%ほどではないけど、肌にしみる。傷口はめちゃくちゃ痛い。そしてこの湯船はちょっと熱い。
夜は41.5度強くらいだったけど、3時に入った時は42度超えてた。
湯口の温度は44.5度。勢いよく湯が滑り出してくる。黄色がかった湯の花がこびり付いてる。
湯船から溢れるお湯は、通路側の縁を超えたところにある排湯用の穴へとかけ流されていく。
ぬるふわの肌触り。やっぱり二酸化炭素が溶けてるのかな。
いかにも酸性泉といった薄い緑がかった水色のようにも見える湯の花が、端っこにたくさん溜まってる。
湯船の中にあるこの丸太。タオル置きに使われてたけど、ここが湯を抜く時の排出口なのかな。壁も湯船も全てが木造り。
源泉50%の隣がぬる湯、その奥があつ湯。どちらも源泉50%。
とにかくぬる湯がいいので、最初に迷わずここへ。
うぅ、傷にしみる。傷だと認識してなかったところまでしみて、何だか身体の悪いところが浮き彫りにされる感じ。
湯船の温度は40度ちょいで、それほどぬるいわけじゃなかった。想像してたぬる湯ではない。夜中にきた時は39.3度といかにもぬる湯。翌朝はまた40度。
ぬる湯の湯船に入ったまま、あつ湯の湯温を測ったら42.6度だった。入る気にはなれない。
ぬる湯の湯口は41.8度ほど。舐めてみたら、すっごい酸っぱい。湯船には大小の白い湯の花が舞っていて、湯底の隅っこにはざらりと白い湯の花が溜まってる。
あつ湯の奥には寝湯と打たせ湯と立ち湯。どれも源泉50%。
寝湯は湯口が41度で、湯温は40.5度ちょい。座るとお臍くらいの浅さで、寝転がると胸は湯から出てる。
頭を浸す浸頭湯というのがあるそう。そこまでしなかったけど、奥深い。
木造りの天井が立派で、落ち着くというより、なんか圧倒される感じもある。
打たせ湯は、長時間打たせると炎症を招く恐れがあると注意喚起があった。足元に緑の人工芝みたいなやつが敷いてあって、あれが気持ち悪くて苦手なので試さず。
立ち湯は42度と熱め。へそ上の深さで結構な圧を感じる。3時にはまだ湯が溜まりきってなかった。
酸性だけど、ぬるりとした湯感触。天然の保湿成分メタケイ酸が448mgも含まれている。
左手の奥にあるのが、蒸気湯と箱蒸湯。蒸気湯は入らなかったけど、人が出入りするたびにもわっと蒸気があがってた。室温が50度前後だそう。
箱蒸湯には入ってみた。すぐに顔から汗が出てきて、足先まで全身がくまなく暖まる。顔は出てるけど首元から上がってくる蒸気を吸入でき、気管支炎や喘息などに効果がある。
隣の飲泉コーナーでは、2倍に希釈した源泉を水で5倍~8倍に薄めて飲む。つい最近歯医者さんで「歯が溶け気味。蜜柑やレモン控えて」と言われたばかりで、怖くて飲めなかった。
飲用後は歯の保護のため必ずうがいをしてくださいと注意書きあり。すごいな。強酸性。
胃潰瘍や下痢症、慢性胃炎に効能がある。
1番ぬるい弱酸性の湯とぬる湯で身体を慣らし、最後に一瞬だけ源泉100%へ。そういえば、源泉温度は97度もあるのに、こんなぬる湯でうまく提供できるって本当にすごい。徹底した湯治宿。
大浴場の雰囲気も温度設定も快適に湯治できる様々な工夫に、王者の品格を感じた。
それにご飯が想像を超える美味しさで満足だった。これなら連泊できちゃう。ゆっくり行きたいな。
玉川温泉 効能溢れる癒しの湯治宿 玉川温泉
★★★★★
酸性-含二酸化炭素・鉄(II)-塩化物泉
97.3度
pH 1.13
9,000ℓ/分(自然湧出)
内風呂(男11 女11)
加水加温循環消毒なし※湯船によって加水あり
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