新潟県と長野県にまたがる妙高戸隠連山国立公園の中にある関温泉と燕温泉は、弘法大師が発見、温泉地として整備されたのは関温泉が江戸時代の享保年間、燕温泉が明治28年と古くからある温泉。
北陸新幹線の上越妙高駅から車で30分ちょっと、標高900mの関温泉は赤い湯で塩化物泉。さらにその3km奥に進んだ標高1,100mの燕温泉は、白い湯の硫黄泉。
燕温泉は名が示す通り岩つばめの群生地で、現在5軒の宿と、夏季のみ利用可能な2つの無料露天風呂「黄金の湯」と「河原の湯」がある。
ずっとチェックしてあった、花文と樺太館。温泉街の一番手前に向かい合って建ってた。花文は女湯にしか露天風呂がなく、かつ両者とも湯温が熱めで夏にはとても無理。
花文の玄関先にある足湯をのぞくと、白く濁った湯船。硫黄の香りがぷんぷんしてる。
今回泊まったのは、温泉街からは逸れた最奥にある燕ハイランドロッジ。ブナの森に囲まれた一軒宿。
日本基礎スキーの草分け的存在の宮澤英雄氏が昭和39年に開業した、燕ハイランドホテル(旧称)。国有地であるブナの森を気に入り、森林管理署へ48回通い詰めて実現した宿なのだそう。
部屋の窓は広くガラス張りにしてあり、部屋にいてもブナの森に囲まれてる。秋の紅葉、綺麗だろうなぁ、冬の雪景色すごそうだなぁと思うけど、夏しか来れない理由がある。
大浴場はフロント階のひとつ下の階にあり、一晩中ずっと入ることができる。
手前に男湯、奥が女湯。基本的に男女入れ替えはない。
露天風呂の大きさが全く違うので、以前は入れ替えてたそうだけど、レベルアップした女湯専用アメニティを入れ替えるのが面倒で入れ替えしてないらしい。別にいいと思う。
脱衣所のスリッパ置きに、内外それぞれの湯温が表示してある。
脱衣所はとても古いけど、汚くはない。
洗面台には化粧水だけ置いてあり、ドライヤーはフロント脇に積んであるのを持ち帰って自室で使う仕組み。
12個の棚のうち5つだけしか利用できないように、他の棚はビニールテープでガードされてる。籠は3つのみ。
全20室の宿で、今日は半分弱くらいの稼働だったように思う。軽く人数制限かけてる。
ガラス戸を開けるともわっとした浴室。目の前の隅に黒い大きめの内風呂。
露天風呂はどうやら、湯船の中を通って行くみたい。
左手にシャワーが1つか2つ。右奥の壁には5つ並んでる。ロクシタンのシャンプーとコンディショナー。こんな場所でロクシタンとは。
黒く濁って見えるお湯。湯船が成分で着色されていて、お湯自体はほぼ透明なんだと思う。
湯口からは41度前後に加温されたお湯が、どばどばと投入されてる。この湯船は循環濾過してる。でも、こんなに湯口に析出物が出来ちゃうのかな。以前は源泉を出してたのかしら。
縁にも同じような析出物がこびり付いてる。
加温循環だけど縁から溢れ出ていて、放流との併用みたいで、気持ちいい。
湯底には循環式の穴。身体に循環特有の泡が付き、ふわぬるの肌触り。湯温は大体40度弱で、熱すぎなくていい。
露天風呂へ続くガラス戸。取り付け悪くて硬く、ちょっと開け閉めしづらい。
誰かが露天風呂から帰ってきて、なかなか閉めきれずにいるタイミングで、「あ、大丈夫です。出ます!」と中の人が出て、外から閉める感じ。
細い通路をてててと歩き、ブナの緑が美しい露天風呂へ。
屋根がきっちりあるので、半露天くらいかな。
湯船は膝を曲げて横に入れば、2人入れなくはない大きさなのだけど、この日のルールは『誰か来たら交代の一人制』らしく、それに従う。
繰り返すうちに、誰か来たらではなく、『露天風呂から戻ってきたら交代』のルールに読み換えられ、待ってる人いるとゆっくり入れない。
透明な湯の中に、消しかすみたいな大きな白い湯の花がわっさわさ舞ってる。
露天風呂は源泉かけ流し。
燕温泉は、泉温も泉質も違ういくつかの源泉を集合升で混合し、各旅館や施設に配湯してる。あの温泉街から引き湯してくると、44度の源泉がここまで下がってしまうのかと驚く。実は、別の冷鉱泉の源泉なんだと思ってた。硫黄冷泉ってあるけど、自然にさめた冷泉なのね。
竹筒の湯口から、勢いよく源泉が投入されてる。
飛沫があがるほどの勢い。
湯口の温度は29.5度。湯船もほぼ同じ湯温。翌朝は28.5度だった。夜はさすがに入る気になれなかったけど、明るい時間はそぉっと浸かっていけば、肩までも平気。浸かってしまえば、冷たさも感じない。
夏でも涼しい妙高山麓。真夏を狙って来たけど、外気は間違いなく20度割れ。もっと暑い日だったら、もっと気持ちいいんだろうな。もっと暑い日なんかあるのかな。
内風呂側の縁が少し低くなっていて、そこから湯がざばざばと溢れ出すので、
湯船の外の側面に薄茶色の析出物がびっちり付いてる。
泉質はカルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉。含硫黄って付かないのが不思議なくらいの硫黄感。以前の分析書では含硫黄だったんだろうな。
顔を洗うとつるっとしてる。硫黄の匂いはほんのりで、硫黄の香ばしい味もほんのり。つるっとした湯感触だけど、肌触りはきゅっきゅと少しきしむ。pH 6.6の中性。
関温泉は胃腸病・婦人病・外傷・皮膚病・アレルギー疾患などに、燕温泉はリウマチ・神経痛に効くと言い伝えられている。
三大美人泉質と呼ばれる炭酸水素塩泉(古い角質を除去)、硫酸塩泉(肌の弾力回復)、硫黄泉(メラニン分解による美白)がすべて含まれてる美肌の湯。天然の保湿成分メタケイ酸も210mgとかなり多く含んでる。
白や薄茶の多様な湯の花。消しかすだけでなく、糸状のものやふわりと大きくぬるっとしてるやつが、湯の勢いにかき混ぜられるように、わさわさ舞ってる。
湯上がりの肌は硫黄泉のするする。身体からもほんのり硫黄の匂いがする。
しきりに温冷交互浴を推進してる。血流がよくなるよと。あと、高気圧酸素カプセルなるものも有料であった。
源泉かけ流しの湯船がある。それで充分なんだけどな。
燕温泉 燕ハイランドロッジ
★★★
カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉
44.5度
pH 6.6
540ℓ/分(自然湧出)
男女別各 加温湯船1 源泉湯船1
加水加温循環消毒なし ※加温湯船は加温循環消毒あり
コメント