峩々温泉 峩々温泉(宮城)

蔵王山の南面にある一軒宿の峩々温泉。白石蔵王駅から車で50分ほど。

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斜面に建っているので、手前が玄関のある1階、段々に3階まである。

創業約150年で現在6代目の老舗宿。

この日訪れていたお客さんが「90年前に祖母が忘れ物したのだけど」という話をしてた。すごい歴史だ‥。

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昔から峩々のお湯は胃腸によく効くと伝わっている、日本三大胃腸病の名湯。

ここ宮城の峩々温泉、群馬の四万温泉、大分の湯平温泉の3ヶ所の泉質はそっくりで、源泉温度や周辺環境なども似てるという。

飲めば胃腸によく、入れば肌によいと言われてきた温泉地。

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帳場の横に飲泉場があり、宿泊者はかなりの頻度で利用してる。

慢性消化器病や慢性便秘に効く。

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無味無臭なんだけど、ほんのり炭酸味。

蛇口の白にコバルトブルーの析出物がたまらなく美しい。

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建物は縦に細長く、帳場、食堂の前を通って突き当たりの階段を上り、最奥が大浴場。

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手前に男湯、次に女湯、突き当たりが貸切風呂。

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貸切露天風呂「天空の湯」は、空いていたら自由に入れる。

すごい人気なのかなぁと思っていたけど、空いてたのですんなりと。

この札を裏返して利用中にし、外履きに履き替えて外に出る。

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ドアを開けた瞬間、ちょっと固まった。予想外の景色。イントレが組んであり、ブルーシートで覆われてる。

幸運なことに浴室の扉が開いていたので、それが下から見えて、ちょっと安心してから登って行った。

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なんとこれ。

あの荒々しい階段から想像もつかない、美しすぎる浴室が。

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細長い大きな長方形の湯船は、中が黒ずんで見える。お湯は無色透明。

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側面を見ると黒く着色してる。縁は木で、中は切り石なのかな。

中には一段段差があり、渓谷を望むベンチのよう。5、6人並んで座っても大丈夫な広さ。

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軒天が高く、月光を見られる設計なので、天空を仰ぐ月見の露天風呂。

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昼間しか行ってないけど、新緑の中の松川の渓流は最高の眺め。

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そして何よりこの湯口の析出がたまらない。

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くー。元の形を知りたいような知りたくないような。

この湯船が一番源泉地に近く、より鮮度が高いのだそう。湯口は52度超え。でも、大きな湯船で、露天なので湯温は41度弱と適温。

縁の切れ目から川側に、ざばざばとお湯がかけ流されていて、緑色に染まってる。温泉藻なのかな。

5月に来て正解。新緑が美しすぎる。

この貸切露天風呂の利用時間は最終入場が21時で、22時消灯。朝は日の出から。

男女別の大浴場は、入れ替えもなく、一晩中入ることができる。

壁際に脱衣籠が10個並び、反対側には鏡があり、ドライヤーだけが置いてある。

浴室に入る右手に洗面台がひとつ。

少し湯気が充満した浴室。目の前が大きなガラス張りで、もやっとしてはいるけど、自然が間近で緑が綺麗。

洗い場には3つカラン。シャワーはない。

右隅にひとつだけ立ったままの上から出るシャワーがあり、ほっとする。

横にあるガラス戸は露天風呂の出入り口。

内風呂は左奥。

もやっとして仄暗いなか、明り採りか湯気抜きか、高い天井の一部から弱い光が入ってくる。

板張りが湯治小屋の風情。壁は漆喰造り。横の壁にも曇りガラス。これだけ明かりが入ってくる造りでも、仄暗く落ち着いた空間。

ゆったりサイズの湯船。この湯船と貸切風呂は、サイフォン式で下部から古い湯とゴミが流れ出るので、お湯が溢れ出ないと説明書きがあったけど、木造りの縁からはさらさらとお湯がオーバーフローしてる。

湯口には白い析出物がこびり付いてる。

泉質はナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉で、源泉温泉が58度。

湯口で56度弱、湯船は41.5度。

湯量が絞られていて、大きな湯口から滑るように注がれてるので、ほとんど湯音が立たない。

翌朝はなんと40.5度とぬるめで、42.5度ほどの熱い源泉が湯面を滑って外に出ていく状態。上は熱いので首元だけが暖まり気持ちいい。混ざってない奇跡のような絶妙な湯加減が気持ち良すぎて、いくらでも入っていられた。

きゅうきゅうと肌に吸い付くような肌触りで、少し泡付きがある。

古い角質や汚れを溶かしてくれる重曹成分に、皮膚細胞を再生し肌の弾力を回復してくれる石膏泉。さらには、お肌の新陳代謝を促進してつるつるにしてくれる天然の保湿成分メタケイ酸が187mgと豊富に含まれてる。

湯から上がると、指先がするするに。

静寂な湯小屋に、板場の下に溢れたお湯が流れていく音と、熱湯の湯口のしゅーっという音が響いてる。

この湯船はぬる湯で、もう一つ熱湯の湯船が奥にある。

小さな湯船から溢れ出るお湯が板場に流れてきてる。これがすでに熱湯。

小さな湯船の周りには湯溜まりが出来ていて、その外枠は析出物が固まり、

湯溜まりの中も、ごつごつぶつぶつ。ほんとの海の潮溜まりみたい。

足が痛いだけじゃなく、ものすごく熱い。

なんとか近づいて湯船の温度を測ると45度超え。

熱湯の入浴方法は、かけ湯。

2セット置いてあるマットと木枕。ここに寝そべり、竹の筒でゆっくり胃や腸のあたりに湯をかける。

最初は熱く感じるけど、徐々に幹部がじんわり温まってくるそうです。100杯続けるのが峩々の伝統だとか。

さて、熱湯は無理なので、露天風呂へ。

新緑が眩しい。浴室の仄暗さと対照的。

外履きを履いて階段を降りると、屋根付きの大きな露天風呂があり、

さらに野趣溢れる石段を降りると、

混浴の露天風呂がある。湯治宿だから、混浴文化が残ってるのかな。照明は設置していないそう。

すぐに女性用の露天風呂に戻る。

ゆったり広く開放感があり、しかもぬるめ。

湯口は55.5度。内風呂よりほんの少し低く、湯船は40度と気持ちのいい適温。

薄茶色の湯の花が舞ってる。

溢れたお湯がざばざばと流れていく。

溢れ出るお湯にも新緑が映っていて、そこにも湯船が広がって見える。

見上げると、そこには南蔵王の山肌。宿の名の由来となった“峩々たる岩々”が在る。

唯一の温泉付きの部屋、こまくさ。

畳の部屋の障子とガラス戸の向こう。外縁みたいな廊下みたいなところに、ちょこんと内風呂。奥のガラス戸も開けられるので、半露天風呂みたいにもなる。

しっかり深めの陶器の湯船。

湯口から50度の源泉が注がれていて、縁からはどんどんかけ流されてる。

流れ出る部分の析出物が貸切露天風呂と同じような造形に。

湯温が44度もあったけど、蛇口を止めることもできるし、もう一つの蛇口から水を足すこともできるので、好みの湯温で入ることができる。

寝る前にさくっと身体を暖めて。

湯口が可愛い。もっともっと育ったら、夏瀬温泉のプードルみたいな蛇口になるかな。

 

峩々温泉
★★★★
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
pH 6.8
58.3度
200〜250ℓ/分
内風呂(男2 女2)露天風呂(男1 女1 混浴1)貸切風呂1
加温加水循環消毒なし

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