十和田八幡平国立公園内にある乳頭山(標高1477m)の西麓で、秋田駒ケ岳の北麓、田沢湖に注ぐ先達川の谷にある乳頭温泉郷。
渓流沿いに、鶴の湯温泉、妙乃湯、大釜温泉、蟹場温泉、孫六温泉、黒湯温泉、休暇村乳頭温泉郷の七湯の一軒宿が点在していて(鶴の湯別館 山の宿を入れると、8つの温泉)、各宿がそれぞれ泉質の異なる自家源泉を持ってる。
乳頭温泉 秘湯 鶴の湯(秋田) – 温泉手帖♨︎は言わずと知れた名湯。あと、熱い温泉宿は避けて、姉妹館の夏瀬温泉 都わすれ(秋田) – 温泉手帖♨︎が良かった妙乃湯に行きたいと長い間思っていて、やっと。
秋田新幹線で4時間(地震の影響で臨時ダイヤ)の田沢湖駅。駅から車で30分ほどの乳頭温泉郷。
秘湯感が全くない妙乃湯は、昭和27年創業。平成3年に創業者の孫である今の女将さんが経営を引き継ぎ、モダンにリニューアルされてる。リピーターが多いのも、女性客に好まれるのもよく分かる。
一階奥の階段を登った先に、男女別の脱衣所がある。
大浴場は朝の10時まで一晩中入ることができ、夜の20時に男女入れ替え。この暖簾が入れ替わる。
手前の暖簾の先には、清廉な脱衣所。化粧水などのアメニティはないけど、歯ブラシと綿棒がある。
床も壁もヒバの木造り。秘湯らしい素敵な湯小屋。窓がなく、露天風呂まで繋がってるので、開放感がすごい。
それぞれの大浴場に内風呂と露天風呂がある。
正面の左隅に洗い場。仕切りがしっかりあるタイプでシャワーが4つ。
出入り口のすぐそばにある透明な湯船は、銀の湯。
妙乃湯には2本の自然湧出の自家源泉があり、金の湯、銀の湯と呼ばれてる。
「妙乃湯」と名付けられてる湯船。6人はゆったり入れる大きさ。
縁や周りは全部青森ヒバだけど、湯底だけ小石を固めた雷おこしみたいなやつ。
銀の湯の源泉はpH 6.6の単純温泉で、源泉温度が30度と低いので加温してる。
湯口からは45度超えの加温湯が注がれていて、湯船は41.5度くらい。
加温されてるものの、ざばざばかけ流しなので、全然気にならない気持ちのいいお湯。
季節がらなのか、時間帯なのか分からないけど、窓がないので敷居を跨いでどこからでも露天風呂に出られる。
逆から見るとこんな感じにオープン。
湯船の中にある真ん中の柱くらいまでは屋根がある。
大きな檜の湯船は三角形。いくつか立ってる手すり用の柱は木。
手前側に3つの寝湯。一番下がL字型というのか、座椅子のように少し折れ曲がっているので、ずりずり下がっていかない。
一足踏み入れると、溜まっていた湯の花がぶわっと舞い上がる。
金の湯はミルキーな笹濁り、緑がかった褐色?のお湯に、白っぽい細かめの湯の花が大量に舞ってる。
底にもたくさん溜まっていて、お尻がざらざらする。
鉄の金気臭が少し。湯口はオレンジ色に染まっていて、
指で触るとほんのり色が付く。
湯の花がオレンジ色じゃないのが不思議。湯口には白っぽい金平糖みたいな析出物も付いてる。
47度ほどのお湯が注がれていて、湯船は41度ちょっと。泉質のせいか、金の湯の方が熱く感じる。
金の湯は85.6度と高温泉なので、沢水で加水して湯温調整されてる。
2本も泉質の異なる源泉が自然湧出してる、すごいことなのに、それぞれ加温と加水をしなきゃいけないって、とても残念。
湯量が豊富なので、こんなに大きな湯船でも、24時間かけ流し。縁から溢れるお湯は通路にも。
男女入れ替え制の大浴場が2つある以外に、混浴露天風呂「妙見の湯」と貸切風呂「やわらぎ」があり、それぞれの大浴場の中を通り、さらに奥にある通路を通ってたどり着く。
露天風呂の奥に通路があるので、貸切風呂に行く人は服のまま、足が濡れるので靴下だけ脱いで、ここを通って行くし、混浴露天風呂に行く人はバスタオル巻きで通って行く。
この目の前の通路は男性が裸で歩いて、混浴露天風呂へ行く通り道でもある。
混浴露天風呂は、女性はバスタオル巻きオッケーと珍しい。湯浴み着は増えてる気がするけど、バスタオルでお湯に浸かるのはあんまりないような。
というか、女性だけでなく、男性もなんか巻けばいいのに。女性はタオル、男性は全裸って余計入りづらくないかな。
女性専用時間は17時から18時の1時間だけ。
混浴露天風呂にも、金の湯と銀の湯の2つの湯船がある。
渓流に面した大きな湯船が金の湯。勝手にもっと茶褐色のイメージだったけど、笹濁りで少し透明感もある。
湯口からは46度のお湯が投入されていて、湯船は42度ほどだった。
少し酸味があり、顔を洗うと目がしばしばする。
pH 2.9の酸性で、ぴりっと肌に染みる感じも少しある。泉質は酸性・含鉄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉。
周りに一段だけ段差があり、思ったより深さがあるので、次の一歩でちょっとおぉっとなる。
深めなので、背中を側面に預けての中腰。もしくは正座。お尻をつけたら襟足ががっつり濡れそうで、つけられなかった。
肌をさすると、軋むというほどではないけど、きゅうっと手のひらが肌に吸い付く。
お湯が溢れ出ていく渓流側を覗いてみると、
茶褐色に染まった側面の先は、予想外の緑色。温泉藻なのかな。びっくりして興奮した。
もう一つ手前にあるのが銀の湯を引いた湯船。
こちらは屋根の下で、こじんまりした3人サイズくらいの大きさ。
節がごつごつしてるから、青森ヒバなのかな。
こちらも温泉藻なのか、緑に染まった湯船。透明なお湯にエメラルドグリーンが美しい。
この湯船が一番のぬる湯。37度と思いきったぬるさで気持ちいい。羨ましい。大浴場にもぬる湯の湯船があるといいのに。
女性時間を半分くらい過ぎた時間に行ったので、人もちらほら。独泉の時間も長かった。急に川から吹く風も冷たくなり、やっぱり厳冬の地なんだよなと再確認。
混浴露天風呂の手前にある貸切風呂は、宿泊者は30分無料で利用できる。チェックイン時に予約し、時間になったら直接行き、
木札を裏返して使用中にし、中から鍵をかけて入るしくみ。
シャワーもある。
こちらもすべて木造りの浴室。屋根がしっかりあるけど、ほぼ露天風呂。
壁向こうが混浴露天風呂なので、同じような眺望。先達川の堰堤がよく見える。
貸切にしてはゆったりサイズの湯船。壁向こうにある混浴銀の湯と同じくらいかな。
注がれる湯量がおそらくこちらの方が多いので、湯温も40.5度。
湯口から出ている加温湯は、41.5度から44度をいったりきたり。
無味無臭のとろっとしたお湯で、かすかに甘みがある。
縁からざばざばかけ流し。
新鮮なお湯は少し泡付きがあり、ふわふわした肌触り。一見、細かい湯の花みたいな、無数の白い泡と少し形を成してる湯の花が舞ってる。
大浴場は夜の20時に暖簾が入れ替わり、翌朝の10時まではもう一つの大浴場になる。
こちらの脱衣所には畳の小上がりがあり、少しゆったりしてる。
脱衣所に接した廊下の右手に、岩の露天風呂があるのだけど、シャワー室が廊下の突き当たりにあるので、まずはそちらへ。
深い仕切りがあり、シャワーが4つ並んでる。
素通りした露天風呂は後回しにして、廊下をさらに進むと、左の扉から貸切風呂や混浴露天風呂に繋がる通路があり、右上に上がると内風呂の「喫茶去」がある。
階段の先にはなんともう一つ脱衣所が。下が混んでたら、浴衣のままここまで上がってきたら、空いていていい。すでに一度通っていて、知ってる人しかここで着替えないから。
喫茶去は銀の湯。
扉を開けた瞬間の空気が秘湯だった。湯煙はあるのに、空気が澄んでる。冷たい澄んだ空気が心地よく、お湯と木の匂いがしっかりする。
ゆったりサイズの湯船の底には、丸い那智石が敷き詰められてる。
足裏の刺激が強くがつがつ歩けず、そおっと中腰で移動。
朝の湯温は40.7度。湯小屋の空気といい、湯温といい、この湯船が一番気持ち良かった。
石が敷いてあるのはあまり好まないのだけど、ここのは清潔感しかない。
縁から溢れるお湯もさらさらと心地いい。
もう一つ「杜のせせらぎ」という露天風呂があるみたいで、
外へ出ると、まだ雪が残ってる。
階段の先にこじんまりした湯船。ここも銀の湯が満ちてる。
露天だけど、屋根があるのがいい。
小さな湯船に、ざばざばと湯が投入されているので、全面から豪快にざばざば溢れ出てる、なんとも快適な湯船。
湯温は41.8度とちょっと熱めだったので、長湯はできないけど、夜中や早朝はこれくらいないと、寒くて出たり入ったりできないか。
最後に素通りした脱衣所横の露天風呂。
湯船が点在してるし、シャワー室も別だからから、ここも上の喫茶去にもちゃんとかけ湯がある。
階段は、濁っていて見えないけど、湯船の中にあと2段ある。
湯温は42.5度。端の方でもほぼ変わらず42.3度あり熱め。
湯口からだけじゃなく、横のパイプからもぼごぼご注がれてるみたい。
鉄分の保温効果もあるし、肌の弾力回復や潤いの硫酸塩泉、保湿成分のメタケイ酸も222mg含んでるので、上がり湯は金の湯。
乳頭温泉郷は、七湯を巡る巡回バス「湯めぐり号」ではしご湯ができる。宿泊者限定の「湯めぐり帖」だと入浴も巡回バスも乗り放題。
でも、鶴の湯もここ妙乃湯も、いくつも源泉も湯船もあるからそれで充分過ぎて、他の宿を巡る時間はない。
乳頭温泉郷 妙乃湯
★★★★
[金の湯]
酸性・含鉄-カルシウム・マグネシウム-硫酸塩泉
85.6度
pH 2.9
650ℓ/分(自然湧出)
[銀の湯]
単純温泉
30.0度
pH 6.6
170ℓ/分(自然湧出)
大浴場(内風呂2 露天風呂3)混浴露天風呂2 貸切風呂1
金の湯のみ加水あり 銀の湯のみ加温あり 循環消毒なし
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