北陸新幹線で2時間弱の上越妙高駅。駅からはレンタカーで40分ほどの妙高山の麓。関温泉を抜けるとすぐに見えてくる燕温泉。平安初期に弘法大師が発見したと伝えられる歴史ある温泉地。
標高約1100mにある昔からの湯治場で、温泉街には5軒の旅館が並んでる。
一番手前の花文。以前、燕温泉 燕ハイランドロッジ(新潟)-温泉手帖♨︎ に来たときは、道沿いに湯の花たっぷりの足湯があったけど、これだったかな?この日は使われてなかった。
創業100年を超える老舗宿で、結構年季の入った建物、全16室。
なかなか宿泊に踏み切れずにいた花文。今回訪れたのは、山菜祭プランがあったので、今しかないと。
長い間この宿に来るのに二の足を踏んでた理由は、女湯にしか露天風呂がないこと。というか、お湯が熱めなんだけど、ぬる湯の露天風呂が女湯にだけある。
大浴場は男女別で朝の9時まで一晩中利用できる。朝の7時から9時だけ男女入れ替え。主に女湯であるこちらは、2階にある。
かなり広い脱衣所で、洗面台やベビーベッドも置いてある。替えの色浴衣まで。あ、バスタオルが洗剤の匂いがきつくてダメなやつだった。
きゃー。鄙びた浴室に気分が高まる。たまらない風情たっぷりの浴室。
うわぁー。いいっ。たっぷりの濁り湯が縁から溢れてる大きな湯船が真ん中にどんと。
右側の壁際に洗い場。鏡が多いので錯覚するけど、シャワーは4つだけ。ゆったり幅をとって。カランの蛇口は、右が水で左が熱湯。自分で調整してお湯にするやつ。お湯が出るまで時間がかかると書いてあったけど、全く気にならなかった。
少し青みがかった濁り湯。足場の段差くらいは見える透明感。
縁と段差は木だったような。
足を入れると底に溜まってた白い湯の花が舞い上がる。
縁を越えて溢れ出てるお湯が見るからに気持ちいいかけ流し。湯船は41度。
潜水艦の潜望鏡みたいな湯口。太めの短いパイプからどぽどぽと注がれる源泉。加温も加水もないかけ流しで、湯口は43度。飲泉もできる。香ばしいよくある硫黄泉の味と少し違う、きぶみみたいなくせがちょっとだけ。
湯船に入る前に一旦湯を受けてる部分は湯の花で白く覆われてぬるりとする。
燕温泉の源泉は集中管理。集合升で44.5度。こんなにがっつり硫黄泉っぽいのに、泉質名はカルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉。きゅうきゅうと吸い付くような肌触りで、石油のような鉱物臭の匂いがする。
女湯だけの露天風呂は、この二重の扉の向こうに。
開いた窓から覗くとブルーの湯が見える。男湯より女湯のほうが優遇されてるめずらしい宿、パッと思いつくのは、越後湯沢温泉 高半(新潟)-温泉手帖♨︎ くらいかな。同じ新潟だ。
大田切渓谷が目の前に迫る絶景展望風呂。12月から4月の冬季は利用できないのがまたなんとも。
冬は豪雪で温泉を利用できないほどの秘境とどこかで見たので、ぬる過ぎて入れないのかな。
湯温は39度のぬるめ。この時期、もう少しぬるくてもいいかと思うけど、標高1180mの高地で気温が低いのでちょうどいい適温だった。下界は30度越えてても、ここは20度切ってると思う。涼しい風が顔を撫ぜる。
3箇所から湯が注がれてる。寒い時期にぬるくならないようにするためなのかな。
左奥に2箇所。左側の細く長いパイプ湯口は42.5度。たくさんの泡が弾けてる。
右側の湯口は、湯船から少し離れた岩で囲まれた湯桶的なところに一旦パイプで注がれ、丸石が並べられた岩場を流れてから湯船に注がれる。
パイプのところで40度。
湯船の右手前の湯口は太めのパイプで、40.5度ちょい。3つの湯口、湯温が違うけど全部同じ源泉。
ものすごい泡を伴って注がれてるので、泡付きがあるのかなと期待したけど、あわあわのところに手を置かない限りは身体に泡は付かなかった。遊離二酸化炭素は94mg。
繊維っぽい大きめの湯の花が大量に舞ってる。やっぱり虫も少し。
縁から溢れ出るかけ流しではなく、段差のこの穴からサイフォン式で排湯されてるのだと思う。
女湯の上にある部屋だったので、ずっと排湯の音が聞こえてたのだけど、翌朝9時になった瞬間に今までとは違うすごい水音がし、のぞいて見るとものすごい湯滝。完全換水して掃除するのかな。
夜の浴室は秘湯感増し増し。蛾や小ぶりなムカデみたいなのとか、我慢できる範囲の生き物が。恐ろしくて露天風呂には出られなかった。
でも、やっぱり外が冷えてきてるのか、内風呂でちょうどよく暖まれて、それで満足。
燕温泉は、岩ツバメの群生地であったことから名付けられた名前。露天風呂の屋根にも巣がある。夕方は気にならなかったのだけど、
翌朝は、ものすごいたくさんのツバメが頭上を飛び回り、ちょっとゆっくり入れない感じだった。
宿の外に出てみたら、昨日は気付かなかった大量の巣と、大量のツバメ。ほんとにすんごいたくさんいる。
朝7時から9時までの2時間だけ、男女入れ替え。1階の男湯が女湯に。朝ごはんが7時からか8時からかの2択なので、ばっちり朝ごはんの時間にかぶってる。
なんで?という気持ちを抑えられないでいたけど、入ってみるとなるほど。比較したらかなり狭めの脱衣所。マストじゃないとは思うけど、女湯みたいに広々ベビーベッドというわけにはいかないか。でも置けなくはない。あ、洗面台もない。
閉鎖されてるけど、脱衣所の出入り口も、浴室への出入り口も2箇所ずつある。真ん中仕切った脱衣所で、混浴だった時代があるのかな、と想像。
浴室から脱衣所見るとこんな感じ。湯船を挟んで両脇に洗い場があり、シャワーが2つずつ。
窓いっぱいで明るい浴室。外も見えるし、外からも見える。
窓際歩くのはもちろん、立ってシャワー浴びてるのも駐車場から丸見え。こちらが男湯になるのも仕方ないかも。
深めで大きな湯船。縁からどんどん溢れ出てる。
床の析出が絵画のよう。何泉のものなのか分からない感じ。
飲泉もできるこの湯口からは44度超えの源泉がこんこんと注がれてる。湯口の周りは濃いグレーに染まって、底には湯の花が大量に溜まってる。
湯温は43.5度近くもある。深いからかな。これはたまらない。逃げ場なし。男湯かわいそう過ぎないか。せめて、夜中は男女入れ替えするとか。外から見えないのだし。
白い湯の花に混じって、少し小さめの黒い湯の花も。硫黄成分たっぷりに見える。次の分析書では、硫黄泉になるかな。
燕温泉 秘湯 花文
★★★★
カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物泉
44.5度
pH 6.6
540ℓ/分(自然湧出)
内風呂(男1女1)露天風呂1
加水加温循環消毒なし
2025.6 宿泊
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