下風呂温泉 つる屋さつき荘(青森)

三沢空港から車で2時間ちょっと、下北半島の北端にある青森県風間浦村の下風呂温泉は、室町時代の記録にも残る歴史ある湯治場。

津軽海峡を望む港町には、硫黄が香る泉質の異なる源泉が4ヶ所。“大湯”、“新湯”、“浜湯”、浜湯には海辺地1号、2号と2本の源泉が湧いてる。

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海辺地2号源泉は、つる屋さつき荘の自家源泉。

もう1本の海辺地1号は、ホテルニュー下風呂の自家源泉で、下風呂観光ホテル三浦屋にも配湯してる。

大湯と新湯は公衆浴場の下風呂温泉 海峡の湯(青森) – 温泉手帖♨︎や、温泉街の他の宿の日帰り入浴でも入ることができる。浜湯の海辺地2号はこの宿だけ。

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とても高評価の人気宿で、かつ1日限定2組(通常は3組)なので、ものすごく早く予定を組んで予約した。

浴室は貸切風呂が1つだけで、2階の廊下の先にあり、一晩中入ることができる。

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2組で利用する場合は、この木札で入浴中か空いてるかを判断。

今回は身内だけでお邪魔したので、いつでも好きなときに自由に入浴。

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引き戸を開けて外に出ると目の前は崖のような斜面。右手の屋根付きの薪の積んである通路を通り、脱衣場へ。蚊取り線香を焚いてくれてるので、それほど虫はいない。

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数段上ったところに木造りの脱衣場があり、いくつか籠が置いてある。鏡もあったような気がする。

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可愛らしい格子戸の向こうが浴室。

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戸を開けると、粉っぽい硫黄の香りがむわっとくる。これはたまらない。湯治場の風情が漂う素敵な湯小屋。レトロに見えるけど清潔。

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かなり大きめの湯船が、ほんのり青みがかった乳白色の濁り湯でたっぷりなみなみと満たされてる。

夏場は白く、冬場は黒い温泉へと変化するからか、昔は黒湯と言われていたそう。

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湯口と対角線上の縁の上から溢れた湯がかけ流されてる。

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洗い桶の積んである棚は、タオルや湯温計を置いたりとちょっと便利。

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天井も格子になってて、手作り感溢れる屋根からはちゃんと光が入ってくる。

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窓からはにょきにょきと外の植物が顔を出していて、緑が可愛い。夜は、この窓から入ってきたであろう虫が、ここから出て行くのを願って見守る。

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洗い場にはシャワーがひとつで、シャンプーとボディソープがあった。

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もうひとつ、水のカランがあり、湯船に届くホースが付いてる。

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源泉温度が57度のかけ流しなので熱い。

「温泉好きな人は水を入れたがらないけど、どんどん水入れて気持ちいい温度でゆっくり入った方がいいわよ」と女将さん。

おっしゃる通り。水で埋めたくないけど、女将さんが言うように成分の濃い源泉だから、どんだけ水入れようがしっかり濃い。それも分かってるんだけど。

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とりあえず、入ってくる熱いお湯を止めて、あるいは絞って、加水せずに冷ましてみたい。

湯口はすでに木の板を挟んで湯量を調節してくれていて、かなり少しの量しか注ぎ込まないようにしてある。

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さらに湯量を減らすために、この桶に入ってくるお湯を外に逃せばいいと、堰を開けて放流してくれた。

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すごい。発泡スチロールで手作りされた湯口桶に、ものすごいナイス細工がしてある。

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もったいないけど、湯船と逆側にかけ流し。うー。もったいない。

こんなに湯量豊富なら、このお湯を違う湯船に入れてぬる湯の湯船作りたい!遊離二酸化炭素が607mgも含まれてる。自然に冷ましても、高温で湧いた時点で溶け込んじゃってて、泡付きはないのかな。

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湯口桶の中はほぼ透明。灰色を帯びた透明なお湯に白い湯の花が舞ってる。新鮮な源泉は濁ってない。この桶の湯温は52度超え。

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湯船は灰色の濁り湯に白い湯の花。

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湯船の温度は46度弱だったので、お湯の放流を開始し、近くの下風呂温泉 海峡の湯(青森) – 温泉手帖♨︎に入りに行ったり、夕食をいただく。

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さてさて4時間後。どのくらい湯温は下がったかなと楽しみにのぞくと、44.3度。くー。あんまり下がってない。

それもそのはず。この湯船めちゃくちゃ深い。湯量がものすごく多いので、そんなに簡単には冷めないのだと思う。

縁に腰掛けて足を少しつけてみたけど、すぐに肌が真っ赤になり入ることもできない。

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やむなく水を投入。しかも大量に入れないと全然下がらない。

やっと自分の周りだけを42度くらいにして入る。入れた喜びで肩までつかったけど、42度ってかなり熱くてパンチある。

意外なほどしっとりした湯感触。きしむような感じでもなく、つるつるきゅっきゅな肌触り。

pH 5.8の弱酸性だけど、うっかり顔を洗うと目にしみて、なかなか復活できない。

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泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉だけど、ほんの若干の塩気しかない。メタホウ酸が254mgと多いからなのか、薬品のような苦味が強い。硫黄の香ばしさもあるけど、硫化水素臭は樟脳っぽい匂い。

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湯面に浮いて流れてる大きめの湯の花の下に、気泡のような小さく細かな白い湯の花が密集してる。

床はぬるりとし、ざらざらもする。頑張ってその正体を湯底から持ち出す。

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砂のようでもあるけど、溶けちゃう湯の花もある。浜湯は海辺の砂浜近くで湧いてるからかな。

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湯口の湯の花の塊がすごい。発泡スチロールだと思えないほどの形相。石とか木じゃなくても、こんなにこびり付くものなのね。

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翌朝の湯口は、昨夜とは見るからに違う、真っ白にびっちりとコーティングされてる。凄すぎる。こんなに育つんだ。

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ちょっと触っただけでほろりと取れる。

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ねっちょりした湯の花。

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湯上がりの肌は硫黄泉特有のするすべで、指先はするする。

最終的には38度くらいの何時間でも入っていられる適温に仕上げ、10時のチェックアウトぎりぎりまで何度も堪能。

熱い下風呂温泉、しかもさつき荘にしかない海辺地2号源泉をぬる湯で楽しめて超大満足だけど、もっと早めに着いてもっと早めに適温にして、もっと何回も入りたかった。

言うまでもなく、女将さんとても素敵な方。弟さんのお料理も美味。

 

下風呂温泉 つる屋さつき荘
★★★★
含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
57.2度
pH 5.8
貸切風呂1
加水加温循環消毒なし 加水は適宜
2021.8.8 宿泊

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