山代温泉 あらや滔々庵(石川)

加賀温泉郷のひとつ山代温泉は、金沢駅から特急で30分の加賀温泉駅より車で10分ちょっとの温泉地。小松空港からだと車で25分。

f:id:ayumu27:20200209221619j:image

共同浴場「総湯」を中心に温泉宿が立ち並び、町が作られていた江戸時代の温泉場。総湯を中心とした周囲の街並みを北陸特有の呼び方で「湯の曲輪(ゆのがわ)」という。

「古総湯」は明治時代の総湯を復元していて、ステンドグラスや壁の九谷焼のタイルなども忠実に再現されている。2階は湯上がりに涼むところ。

f:id:ayumu27:20200209221552j:image

そんな古総湯の目の前に佇む1639年創業のあらや滔々庵は、加賀大聖寺藩前田家歴代藩主入湯の宿として18代続く老舗宿。創業800余年。

多くの文化人が湯治に訪れた宿で明智光秀も滞在している。魯山人に愛されていたことは特に有名で、玄関ロビーにある暁烏の衝立をはじめゆかりの作品が残されている。

f:id:ayumu27:20200209221920j:image

玄関脇にある源泉は、地下わずか数十mから湧いていて、昭和初期まで自噴していたそう。数百年も沸き続ける貴重な源泉。

f:id:ayumu27:20200209221923j:image

湯元ならではの豊富な湯量は1日約10万ℓもあり、山代随一。大浴場、露天風呂ともすべて源泉かけ流し。全17室のうちかけ流しの温泉付きは10室。

大浴場は2つあり、男女入れ替え制。夜の9時と朝の9時の2回暖簾が入れ替わり、一晩中入ることができる。どちらも内湯と露天風呂がある。

f:id:ayumu27:20200212225504j:image

大浴場のひとつ『瑠璃光』。昭和30年代に作られた浴室で、檜の淵にヒバの壁板、木の香りがする雰囲気のある空間。

f:id:ayumu27:20200209223237j:image

かなり大きな湯船で、湯口以外に真ん中の湯底からも湯が投入されている。

f:id:ayumu27:20200209223322j:image

浅いところがあったり、仕切りが一部あったりするので、微妙に湯温も変わるけど、だいたい42度弱。

f:id:ayumu27:20200209223335j:image

絞った湯量で絶妙に湯温が調節されている。雪の降る北陸の寒い季節に、じんわりと身体を暖めていってくれる、熱過ぎることのないちょうどいい湯加減。

f:id:ayumu27:20200209223244j:image

惜しみなくかけ流されている。

立派な木の天井や太い柱を眺め、窓越しに露天風呂、竹に雪を眺め、静かに時間が過ぎていき、熱いと感じることなくゆっくり暖まっていく至福の時間。

f:id:ayumu27:20200209223255j:image

ふんわりと包まれるような肌感触。ほんの少しの塩気。大正初期にドイツで開催された万國鉱泉博覧会で金賞を受賞、世界的にも高い評価を得た泉質。

f:id:ayumu27:20200209225224j:image

洗い場も広々で、シャワーは5つ。温泉が付いている部屋もあるし、大浴場は時間制限ないし、混み合うことはない。

f:id:ayumu27:20200209230715j:image

露天風呂は、内湯を見ちゃうと小さく見えるけど、それほど小さくはない。L字形で両端に階段があり出入りできる。

f:id:ayumu27:20200209230622j:image

湯温は42.5度ちょい。

f:id:ayumu27:20200209230653j:image

脱衣所の籠が浅めのざるで、使いやすい。しかも、枠は竹、ひとつひとつに畳敷き。ここまで凝ってるのは初めてかも。

f:id:ayumu27:20200209230627j:image

各浴室にバスタオルもフェイスタオルも備え付き。歯ブラシも置いてあるので、お風呂と同時に歯磨きしたい私にはうってつけ。歯ブラシ忘れたーって悔しがらなくてもいいし、全部揃ってるので食後もその足でお風呂に行ける。至れり尽くせり。

f:id:ayumu27:20200209230648j:image

もう一方の大浴場は『原泉閣』。

f:id:ayumu27:20200209230727j:image

タイルの色のせいか、明るく感じる浴室。

f:id:ayumu27:20200209230734j:image

たくさん析出物が付いた湯口。柄杓がある。飲める温泉。ざばざばとかけ流し。

湯温は42.5度弱で少し熱め。

f:id:ayumu27:20200209230656j:image

内湯の湯船の中から露天風呂へ行く。

f:id:ayumu27:20200209230602j:image

細長い湯船は荒々しい岩や石灯籠などのある庭に面していて、右奥に続く庭は脱衣所からも出入りできるやすみ処からも眺められる。

f:id:ayumu27:20200209230719j:image

湯温は42.5度超え。

1300年前、高僧行基が烏が傷を癒すのを見て里人に温泉だと告げた泉が、あらや滔々庵の原泉烏湯だと、18代目の手描きの看板がある。

この烏、古事記や日本書紀にも登場する伝説の三本足の霊鳥「ヤタガラス」とされている。

f:id:ayumu27:20200209230739j:image

大浴場『原泉閣』とセットで男女入れ替えとなる特別浴室の『烏湯』。

ただし、夜は0時までで、朝は7時から。

f:id:ayumu27:20200209230631j:image

脱衣所から扉を開け一歩中に入ると、薄暗くもわっとした通路。通路奥にシャワーブースが2、3個ある。

f:id:ayumu27:20200209230558j:image

烏湯はメディティエーションバス。薄暗い浴室内に湯気がこもるようになっていて、硫酸塩泉の源泉ミストを全身に受けることができる。

f:id:ayumu27:20200209230554j:image

大きな湯船はぬるめ、仕切りの奥にある小さめの湯船が熱めのお湯になっていて交互に入ることができる。

ぬる湯は36.3度。思い切ったぬるさに驚いた。私は好みだし気持ちいいけど。

f:id:ayumu27:20200209230706j:image

熱めの方は41度ちょい。時間が許すなら無限ループしてたい。今回、宿に着いたのが18時前。せっかくの温泉なのに、時間的に堪能しきれなくて残念。

f:id:ayumu27:20200209230636j:image

他の大浴場より湯口の析出物がこってり。

f:id:ayumu27:20200209230723j:image

源泉 烏湯はナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。肌がしっとり潤う泉質。硫酸塩泉のじっとりした感じよりも、しっとりしていて、肌に染み込んでいくようなお湯。

f:id:ayumu27:20200210111737j:image

もう、正直、ここまで大浴場が充実してるなら、部屋に温泉なくてもいい。けど、温泉付き。窓を開けると半露天風呂のようになる。

f:id:ayumu27:20200209230619j:image

和室からも土間に出るみたいな感じで通じてる浴室。

f:id:ayumu27:20200209230703j:image

廊下からも丸見え。

f:id:ayumu27:20200212221513j:image

吉野檜の湯船が2段になっていて、上が熱く下がぬるめ。もちろん源泉かけ流し。

f:id:ayumu27:20200209230616j:image

温泉の蛇口があり、自由に温度調整ができる。

f:id:ayumu27:20200209230634j:image

湯船の端にはなだらかな木のカーブがあり、寝湯ができるようになってる。

部屋の温泉に入らなかったのが悔やまれる。

f:id:ayumu27:20200212224648j:image

言うまでもなく、素敵な器で出てくる食事はどれも美味しく、焼き加減が絶妙な加能蟹は絶品だった。

f:id:ayumu27:20200212224654j:image

 

山代温泉 あらや滔々庵
★★★★★
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉
64度
pH 7.9
520ℓ/分
露天風呂付き大浴場2 メディテーションバス1
加水加温循環消毒なし
2020.2.8 宿泊

コメント