黄緑色のお湯を求めて、長野県北東部の志賀高原最古の温泉へ。
長野駅からレンタカーで1時間ちょっとの志賀高原、標高1680mにある一軒宿の熊の湯ホテル。車を降りるとすでに硫黄の匂いが漂っている。
宿のすぐ裏に見えてるのは、熊の湯スキー場。元々夏のみの営業だったホテルがスキー場を作って、通年営業に。
熊の湯温泉は幕末に蘭学者の佐久間象山が発見し、明治15年に開湯。熊が傷を癒していたそうな。
ホテルのちょっと手前で本物の子熊に遭遇。熊に会ったの初めて。
熊の湯ホテルの創業は大正10年で4代目。展示コーナーに天皇陛下の写真とかあった。
この子は熊じゃなくて秋田犬のアサヒメちゃん。大きいのに子犬。
大浴場は、一階の1番奥にある。外から見るとここ。
高い天井にさらにぽこっとある湯小屋。空気抜きのための換気口かな。
チェックアウトの朝10時まで一晩中入れる。
男女入れ替えは、翌朝10時から12時半までの掃除後なので、一泊の宿泊者は片方だけしか入れない。
水温は43度との看板。あー。夏でもほんとに熱いんだ。熱すぎて入れなかったらやだな。
今日は左側の浴室が女湯のよう。元々固定で女湯だった方。
広々した脱衣所。手前にドレッサールームがあり、ドライヤーとかはこちらにある。
風情のある湯小屋の典型だ。脱衣所から木枠のガラス戸の向こうに木造りの湯船や灯りが見える。たまらん。
んー。しかも湯が黄緑。本当に黄緑色だ。不自然なほど鮮やかなエメラルドグリーン。宿のHPでは翡翠色と表現されてる。
硫黄の香りが立ち込めてる。床も壁も総木造りの広々した浴室。
外から見えてた湯気抜きの高い天井部分も全て木造り。
湯船は檜造り。内湯と露天風呂がひとつずつ。
内湯の湯色。夕方と翌朝で全然違う黄緑色だった。
夕方は緑が濃く濁り気味で、
朝は透き通った明るい黄緑色。
温泉は湧いた直後は透明で、湯が劣化してくると濁ってくるので、緑白濁よりも緑透明の方が、劣化する間がないほど新鮮な状態。
透明感があるけど、入って見てみると、白い湯の花が大量に舞ってる。
大きな湯船。白い湯の花が湯底にふぁさふぁさと溜まっていて、足を踏み入れるとふわぁっと舞いあがる。
誰かが歩いたところだけ、底が見えてる。
シャワーは5つ。シャンプーなどもある。
木の湯口には、白い立派な析出物が出来てる。
湯口から出てくるお湯は46度くらいで、湯船は43度弱。熱くて肌がちりっとする。
湯船に流れ落ちる時点で薄く黄緑がかってる。
柄杓も置いてあって飲泉できる。胃腸に効くそう。苦いけどまずくない。苦いお茶みたいな感じで、平気で飲める味。
朝、端の方に白い湯の花がたくさん集まって浮いてた。
排湯口は右奥にあり、一晩中かけ流されている。
日帰り客がいる時間と比べたら、入る人数も限られていて一晩中かけ流し続けてるのだから、お湯が新鮮で綺麗。湯色が違うのも当たり前か。
奥の一辺だけ、段差がある。木なんだけど、析出物が岩みたいにこびりついてて、当たるとがさがさしてちょっと痛い。
初日は段差がはっきり見えないほど濁っていたけど、翌朝はこんなに澄んでた。
いかにもな硫黄泉なのに、意外にもに優しいお湯。アルカリ性の泉質の方が際立つのか、少しつるつる感もあり、湯上がりの肌はするっする。
泉質は、含硫黄-カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。
美肌の湯の5つの要素を全て含んでる。硫黄、炭酸水素塩、硫酸塩に、保湿効果のメタケイ酸を99mg含み、かつ弱アルカリ性。
湯温が高いので、加水してかけ流し。
中庭から湧く源泉は57度。昔は自然湧出だったそうだけど、今は動力ポンプで汲み上げてる。
奥の引き戸の向こうに露天風呂がある。
竹に覆われた露天風呂。スキー場から丸見えだったり、スキー客が歩いて帰ってくる道の目の前だからかな。
虫も多少防げるだろうし、全然見晴らしなくてかまわない。
こじんまりした四角い檜の湯船。
内湯と同じで、朝は澄んでて湯船の中の壁まで見えてるけど
前日の夕方は、この濁りよう。
改めて嘘みたいな黄緑色だな。そういえば墨の湯で有名な奥塩原元湯温泉 大出館(栃木) – 温泉手帖♨︎の露天風呂が黄緑だったことがあった。でも、乳白色の硫黄泉が黄緑がかった感じで、ここまでの澄んだエメラルドグリーンではない。
気温が低いほど濁りに深みが増すそう。夏の方が透明感があるってことかな。
黄緑色だけど、湯の花は白。すんごい大量の湯の花。
小さな湯船だから歩き回るわけじゃないけど、床がぬるぬるなので、気をつけながら歩く。座ってるお尻もぬるぬる滑る。
湯口を流れてくる湯温は45度弱で、湯船は40度くらい。助かったー。露天風呂も熱かったら、お湯を堪能できないところだった。
真夏だけど外が涼しいので、これくらいだと長湯もできる。
見事にコーティングされた湯口。透明で薄い黄緑色のお湯が流れ出てくる。
顔を洗うと、かなり目にしみる。
じっとりと肌に馴染むような湯触りで、つるつる感のなかにざらりとした粒子感がある。
湯の花も一緒にどんどんかけ流されていく。
排湯口や、湯船の中の側面は析出物がすごくて、もはや檜の湯船とは分からないほど。
今日男湯のもう一方の露天風呂は岩造り。以前はそちらが男湯で、男女入れ替えはなかったけど、外からの目隠しを施して男女入れ替え制にしたそう。檜風呂が好きなので、こちらで良かったな。
汗は出てくるけど、熱くはなくて長く入っていられるので、枕木で寝湯。
寝湯というか、頭をのせて浮かぶ。硫黄の香りに包まれてふわふわ心地いい。
鮮やかな黄緑色。あまりに綺麗で名残惜しいな。
家に帰った日に着て寝た服が、洗ってもしばらくは硫黄の匂い。自分から匂う硫黄臭もあって、続く温泉気分。
熊の湯温泉 熊の湯ホテル
★★★★
含硫黄-カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
57.6度
pH 7.5
72ℓ/分
男女入れ替え大浴場(内風呂2、露天風呂2)
加水あり 加温循環消毒なし
2020.8.1 宿泊
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