雲仙温泉 ゆやど雲仙新湯(長崎)

長崎空港からレンタカーで1時間半弱の雲仙温泉。活気のある温泉街には硫黄の香りが立ち込めている。中学校の修学旅行で雲仙地獄を歩いたぶり。

1300年前に開湯し、温泉山と呼ばれるほど豊かな温泉に恵まれた雲仙国立公園。明治40年に亀ノ屋ホテルを買い取り創業したゆやど雲仙新湯は、創業110年を超える老舗温泉旅館。新湯とは明治11年に発見された新しい源泉のことで、昔から、島原半島周辺の農家の人々が体の疲れをとるためにこの湯を訪れていたそう。

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雲仙は温泉資源保護のため、ボーリングで掘削することは禁止されている。

この宿は、敷地内に自然噴出する4つの自家源泉を持ち、浴場ごとに異なる源泉を使用するという贅沢っぷり。豊富な湯量を活かし、男女別の大浴場は2ヶ所ある。

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まず1階にあるりざれは、女湯が「りざれ」、その上の階にある男湯が「香仙翔(かせんしょう)」という呼び名の大浴場。

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出入り口の両側に脱衣棚のスペースがある広い脱衣所。

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利用時間は24時までで、翌朝はなし。サウナは停止中。内風呂と露天風呂がひとつずつ。

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4つの源泉は、それぞれ第1源泉から第4源泉と呼ばれていて、ここの半透明の湯は第2源泉。唯一源泉かけ流しではない、循環濾過の放流式。かけ流し併用だと認識してたけど、湯船から外にかけ流されているのを確認できなかった。

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脱衣所に2枚あった分析書のうち、ここにしか掲示していない分析書は、95度の強酸性の含鉄-アルミニウム-硫酸塩泉。

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これが第2源泉なのかな。硫黄臭ではなく、消毒臭というか薬品臭のような匂いがする。

内風呂の湯温は41度くらい。循環だからなのか、泡がつくのでふわぬるの肌触り。

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寝湯用か半身浴用か、浅い部分がある。循環だと思うと気が乗らなくて、そそくさと露天風呂へ。

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露天風呂は緑に囲まれていて、木々の隙間から星も見える。一部に屋根もあったと思うけど、湯船に葉っぱが落ちてる。夜だと足に葉っぱが当たるの恐怖。

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狭くはないけど、真ん中に大きな柱。

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湯口からは気持ちいいほど湯が投入されているけど、ここから出てきてるのは41度くらいのお湯。加水した源泉なのか、循環してるお湯なのか。

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もう1箇所湯口があり、手前の赤いのからは48度くらいの熱めのが、奥の青いのからは42度くらいのお湯が出てた。

湯船全体は41.5度前後のぬるめの設定。この時期の夜は冷え込むので、ぶるっとする。

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もうひとつの大浴場は地下の男女別大浴場で、こちらも夜は24時まで。でもまた朝5時から入れる。

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よくある脱衣所。アメニティやフェイスタオルなどは、コロナ対策で撤去中とのこと。ドライヤーはある。

大きな宿ってこんなだっけというほど、床が髪の毛だらけで汚かった。

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地下に降りてきたと思ったけど、窓から緑も見えて清々しい。夜もレトロな秘湯っぽい灯りで落ち着く感じだった。

内風呂は大きく、壁の檜張りが心地いい。

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洗い場もゆったり広々。壁側2面にシャワーが7つ。シャワーが付いてないカランのみ(利用不可)がそれぞれのシャワーの間に6つあった。その分ゆったりスペース。

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湯口からは加水された源泉が注がれていて、直接触っても熱くない。湯船の温度は41.5度前後。

この大浴場では、硫黄成分が最も濃い第3源泉をかけ流しで使用してる。雲仙一の濃さっていうのがこの源泉なのかな。

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多分、この分析書の源泉かと。酸性-アルミニウム-硫酸塩泉。

硫黄成分もだけど、pH2.2の強めの酸性泉なので、殺菌作用が強い。雲仙の中でも濃いと言われる「小地獄温泉」よりも強い酸性。
ここは源泉から湯船までの距離が最も近く、新鮮な温泉が利用できるのだとか。

100度近い源泉を3つのかめ?貯水槽?を経由し、冷ましながら引き湯していると女将から教えてもらったので、遠いところから引いてるのかと思ってた。

もともと濃い源泉で湯船までの距離が短いので、雲仙一濃い温泉という評価なのか。

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それより何よりもかけ流しが気持ちいい。濃厚な成分だから、加水していても充分な濃さ。

熱すぎなくていいなと思って浸かってるんだけど、長湯しなくても汗が出てくる。すごい発汗作用。

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湯底はぬるっとし、ざらざらとした粒子もある。湯感触はつるんとしたなめらかな浴感で、肌にじっとりと馴染むような肌触り。天然の保湿成分メタケイ酸が230mgも含まれてる。

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湯色は濁った灰色。埃みたいな匂いで、意外にも硫黄臭をあまり感じない。

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露天風呂は、内風呂とつながっていて、お湯に入ったまま行ける。でも、濁り湯で中が見えないので、出た先がどうなってるか、段差があるかないか分からなくて、あまり好ましくない。

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庭をのぞむ露天風呂。広々した湯船。屋根がしっかりかかっているので、露天だけど安心。

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少し緑がかって見える乳白色。

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湯口からは49度くらいの熱い湯が注がれていて、熱い湯が湯面を広がっていく。湯船は全体的に43度くらいだけど、熱いところはもっと熱い。とにかく熱くて入っていられない。

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最も新しい第4源泉は、客室露天風呂で使われている。日本庭園に隣接した4室限定の露天風呂付客室「月庭」に泊まらないと入れない源泉。

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硫黄分の強い白濁した第4源泉。部屋の窓から階段を降りたところにある露天風呂。縁が檜の石風呂。シャワーもついてる。

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湯温の調節はこのレバーで。源泉はかけ流しと説明を受ける。

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到着後すぐに入りたかった旦那さんが水を足して入った後、私が露天風呂に行ったのは夕食後。

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月が池に映るのを撮ろうとして、夜の8時半頃に撮った写真。結局月は3時過ぎに通ったらしいので私はお目にかかれなかったのだけど、すでにこの時点でお湯はかけ流されてないし、濁ってもないし、湯口からは一滴も出てない。

もちろん朝までこの状態。ぬる湯好きな旦那さんは気付くことなく、ぬるければお湯を足し、朝まで何度もこの湯に入ってた‥。

翌朝、フロントに電話したけど、担当者が出社してなくて、源泉が出始めたのが8時半過ぎ。

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あぁ、配管が詰まってたんだねっていう泥(硫黄を含んだ鉱泥)がどばっと流れ込んできた。

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あっという間に乳白色の白濁湯に。濁り湯でびっくり。30分以上かかりやっと39度くらいまで湯温が上がったので私は足湯。

ざらっとした湯感触。あれだけ温泉泥が入れば当然か。

温泉分析書がないので、第4源泉の詳細は分からない。せっかくの源泉かけ流し風呂のはずなのに、色々残念過ぎる。

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白い湯の花がたくさん。

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源泉ごとに色合いや濃度が異なってるけど、基本は硫黄泉。湯上がりの肌は、硫黄泉独特のするんするん。

宿の外も中も硫黄臭が充満してる。廊下も部屋も。でも湯に入ってる時はあまり匂わない不思議。家に帰ってからも身体から匂わなかった。

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チェックアウトの5分前。やっと本来のかけ流しに。湯船の向こうに湯が溢れ出した。残念過ぎる。

源泉がまだ出てない時に、支配人が部屋に来て、貸切風呂が使える状態だから、ぜひそちらに入ってと。

貸切風呂はすぐ目の前にあるし、源泉も違うものなので記念に入ってみて、とかなり強く勧めるので、私ひとり行ってみた。

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ほんとに目と鼻の先にあった貸切風呂「まどか」。入る前にフロントから、温度が熱いので水を足しているけど、まだ熱いかもしれないとの連絡。

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小さな脱衣室があり、浴室に入ると左手にシャワーがひとつ。右側に岩風呂。むわっと硫黄の香りがしてる。

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宿泊者専用で利用時間は16時から24時までの50分2,200円。

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唯一第1源泉が味わえる湯船。硫黄分が白濁した濁り湯。連絡通り、カランから水が出てるけど、入り口の段差辺りの湯温が45度を超えていて、足を入れるのが精一杯。すぐ真っ赤になりギブ。

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ビニールパイプが湯口のようで、かなり絞った湯量が注がれている。60度超えてた。

水を出した状態で一度部屋に戻ってから、再度湯温を測りに行ってみたけど、ほとんど変わってなくて時間的にも無理だと思ったので、フロントに熱くて入れないのでもう大丈夫ですと連絡。

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脱衣室に分析書は見当たらなかったのだけど、ネットで拾った。多分この源泉。pH3.5の単純硫黄温泉。源泉かけ流しだけど、源泉が55度と熱いので加水して入るしかない。

部屋の源泉が出なかったのがもちろん一番の大事件だけど、他にも夜に頼んでない日本酒が部屋に運ばれてきたり、朝ごはんが個室だったのに、他の人を案内しちゃったので大部屋でお願いしますと大部屋になったり、え⁈っと思うことがあった。

チェックアウト時に女将から部屋風呂のことを謝られて、柚子みつをお土産に頂いた。平謝りされたら何も言えないし、何も言うつもりもなかったけど。「朝はお湯が出なくてすみません」と謝られたけど、前日からずっと夜中じゅう出てなかったのですよ。残念だったな。

 

雲仙温泉 ゆやど雲仙新湯
★★
[第1源泉]
弱酸性単純硫黄温泉
55.0度
pH 3.5
36.0ℓ/分
[第2源泉]
強酸性-含鉄-アルミニウム-硫酸塩泉
95度
pH ?
[第3源泉]
酸性-アルミニウム-硫酸塩泉
88.0度
pH 2.2
[第4源泉]不明
内風呂4 露天風呂4 貸切風呂1 離れ客室風呂4
加水あり 加温循環消毒なし ※大浴場りざれ 加温加水循環消毒あり
2020.10.31 宿泊

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