鹿教湯温泉 つるや旅館(長野)

長野新幹線で1時間半ほどの上田駅から車で40分の鹿教湯温泉。鹿が教えた温泉。鹿に姿を変えた文殊菩薩が、信仰心の厚い猟師に温泉の場所を教えた、という開湯伝説。

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800年以上の歴史ある古い温泉地で、江戸時代には湯治場として栄えていた。

丸子温泉郷の中のひとつで、昭和31年に霊泉寺温泉、大塩温泉とともに環境庁指定の国民保養温泉地に指定されている。

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今も内村川沿いに約20軒の旅館やホテルが残り、温泉を活用した医療施設のリハビリテーションセンター鹿教湯病院もある。

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つるや旅館は創業400年、江戸時代から続く老舗温泉宿。

玄関が3階で、2階から5階まで客室があり全42室と、かなり大きな宿。

大浴場が2つ(2階と3階)と、貸切風呂が2つあり、一晩中入ることができる。

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玄関階の3階にある文殊湯は、手前が女湯の脱衣所と内風呂。奥は一応男湯なんだとは思うけど、介護が必要な方が一緒に入浴できるように混浴になってる。

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脱衣所の籠は5つだけ。今は宿泊を半分までにしてるそう。

廊下で一度だけ男性ひとりに会ったけど、それ以外どこでも誰にも会わなかった。女性客は他にいなかったのかもしれない。

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5人でいっぱいくらいの湯船に、シャワーが2つ。
渓谷沿いに建っているので、目の前に木々が迫ってる。

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湯口からは44度弱の源泉。飲泉できる。コップが置いてあるけど、このご時世だし、きっと飲めるよって伝えるためか。

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無味無臭。なんか表現できる特徴ないかと、何度も飲んだり嗅いだりしてみるけど、無味無臭。pH 8.1の弱アルカリ性。

じっとりと肌に吸い付くようなお湯で、肌をさするときゅうっとする。硫酸塩泉っぽい浴感。

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湯口には白い析出物に緑。温泉藻なのかな。

湯温は39度前後のぬる湯。だけど、縁からお湯は溢れ出ていない。飲める温泉ってイメージでやって来たから、なかなかの衝撃。湯船は、汚れを取り除くために循環ありだった。

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以前、気泡湯みたいなことをしていたのか、一部の湯底がこれ。溜まった湯の花が見えやすい。

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まっくろくろすけみたいな、黒い湯の花がほわほわしてる。

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無味無臭の単純温泉で、こういう湯の花ってあったっけ。

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ぬる湯で一晩中いつでも入れるという最強の条件なので、いろんなことに大らかになっているけど、壁とか天井とかお世辞にも綺麗とは言えない。天井には、芸術的なほど緑の苔なのかカビなのか‥。

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この文殊湯には混浴野天風呂がある。ドアには向こうからは入れないように内鍵が付いてる。

男性は裸らしいのだけど、女性はレンタルの湯浴み着で行くようにとのこと。

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目隠しの壁の向こうに野天風呂。あちらの内風呂は丸見え。女湯のこじんまり感とは全く違う。ローマ風の広々明るい浴室。

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野天風呂はプールのような長細く大きな湯船。水色のタイルが余計にプール感を助長してる。

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手前の入り口の方へざばざばと溢れ出てる。

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渓谷を臨む野天風呂。目の前にムササビの巣箱。もうここには住んでないらしく、そうそう容易く見ることはできない。

自然の中でゆったり浸かれるぬる湯。湯船はどの辺りも39.3度前後。ぬる湯の長湯は、鹿教湯温泉の昔からの入浴法。

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真ん中に湯口があり、43.7度の源泉が投入されていて、飲泉できる。

無味無臭なので、飲みやすい。効能は整腸作用や胆汁分泌促進作用。

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真ん中の湯口以外にも湯口があり、内風呂と同じように循環させてるよう。

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なので、どの辺りも39.3度。

でも内風呂と違い、湯船から溢れ出てる湯があり、放流と併用なので全然気分的に違う。

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今日はたまたま誰もいないので、平気でこちらに入って来れたけど、誰か一人でもいたら無理だ。

もうひとつの大浴場、薬師湯は一つ下の2階にある。

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客室が並んでるのだけど、誰もいないので廊下も暗く、夜は自分で灯りをつけながら進む。

浴室の電気も自分で点ける。

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広い脱衣所。棚もたくさんあるけど、籠は3つだけ。流しもあり、ドライヤーが一つ。アメニティはなし。

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このドライヤー、壁の向こうにコンセントがあるやつで、コードが短い。頭を壁際に近づけて乾かすしかなくて、ドライヤーは壁にがつがつ当たるし、笑えるほど使いづらかった。

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ガラス窓から浴室が見える。

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めっちゃ固くて開けづらい引き戸を開けて浴室へ。大きな水色のタイルの湯船。窓の外に同じく水色の露天風呂が見えてる。

広めの洗い場にシャワーが5つ。

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想定外に大きな湯船。でも全42室の宿だから、これくらいあった方がいいのか。

ガラス張りになっていて渓谷に生えてる木々が迫ってる。

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左側の3分の1くらいは寝湯。寝湯だけでなく、段差があるので半身浴など好きにできる。

こちら側の湯温は37度ほど。上の階の大浴場より2度も低い。

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湯口は反対の右奥にあり、ここも飲める源泉が注がれている。湯温は42.5度弱。

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湯口の真下辺りで37.5度割れ。それでもここが1番暖かい場所。

本来、ぬるい寝湯があれば、そこに入り浸るのが理だけど、雨降る寒い日にはちょっとぬる過ぎる。

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ずっと湯口に張り付いてた。

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何箇所か、ぼこぼこと湯が出てる場所があるけど、循環だけのようで、湯温はどこも37度ほど。

鹿教湯温泉の源泉は共同管理。5本の源泉の総湧出量は毎分2,400ℓで、湯温は47度。これだけ広い湯船がいくつもあるとなると、循環させるしかないのかな。

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かなりのぬる湯だし、単純温泉なのに、めずらしく朝まで足が冷たくならなかった。

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露天風呂は内風呂の湯船の中を通って行くタイプ。3階の文殊湯の内風呂よりも広い湯船。

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手前に溢れ出る湯がかけ流されてる。露天風呂は循環と放流の併用。

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独特の湯口。

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白と緑に覆われてる。

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内風呂からこの湯船が視界に入ると、ヒトの頭とか、丸まってる動物みたいに見えて、びくっとなる。

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露天風呂の温度は内風呂とほぼ同じで、湯口が42.5度、湯船は37.3度。ぬる湯万歳。循環はしてるのに、加温はせずにいるってすごい。有難いな。

もうちょっとだけ、暖かくなってから来たかった。

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渓谷の斜面に在るので、もはや自然の木々の中。湯船の底にはたくさんの葉っぱが沈んでる。

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3階の大浴場の奥には貸切風呂が2つあり、こちらも一晩中好きな時に入ることができる。空いていれば、外にスリッパを脱ぎ、中から鍵をかけて入る。

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手前の長寿の湯は、車椅子でも利用しやすいように、廊下から浴室まで段差がない。広めの縁に腰を降ろし、向きを変えて湯船に入れる設計とのことだけど、車椅子の想定ならもっと縁を高くすればいいのに。

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湯船は寝湯もできるような湯船。

なんといっても、循環なしのかけ流し。ちゃんと縁から湯が溢れ出てる。そのことに気付くのが遅過ぎたけど。

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もうひとつの鶴の湯にも、手すりやシャワー椅子がある。

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こじんまりした浴室だけど、向こう全面がガラス窓で明るい。

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他の浴室同様に渓谷に面してるので、窓を開ければ半露天風呂になる。半身浴のためか、右側3分の1は段差になってる。

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湯船の手前に穴があり、湯が出てる。

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なんか可愛くていい。洗い場に湯が流れて気持ちいいし。

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湯口から注がれている源泉は43.5度弱。この階の湯口は大体これくらいで同じ。

ただ、湯船が最も小さいので、湯温は39.6度と1番暖かい。

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白い析出物がびっちりこびり付いてる。

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湯船の底の角に排湯口がある。これ、サイフォン式ってやつなのかも。山形の小野川温泉 河鹿荘(山形) – 温泉手帖♨︎の湯船がそうだった。あ、ここみたいに洗い場に排湯口はなかったけど。

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ざばっと浸かると、縁からも湯が溢れ出て気持ちいい。こうじゃなきゃ。

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そして、この盛り上がりも高くなり、湯が排出されてるのが見える。

貸切風呂が源泉かけ流しの最高湯船なのだと気付き、翌朝るんるんで入りに行くも、清掃中。朝食前だったから、朝食後に綺麗になったのに入れるのかな、とるんるんで行ってみるも、清掃中で駄目。結局、早朝からチェックアウトまで入れず。

大浴場が2つ、貸切風呂が2つもあるのに、翌朝はお風呂難民みたくなった。2階の大浴場しか入れず。残念過ぎる。

 

鹿教湯温泉 つるや旅館
★★★★
単純温泉(5本の混合泉)
47.1度
pH 8.19
2,400ℓ/分
内風呂(男1女2混浴1)露天風呂(男1女1混浴1)貸切風呂2
加水加温消毒なし 循環あり※季節により加温あり

 

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