玉梨温泉 恵比寿屋(福島)

新潟との県境、奥会津の金山町に湧く玉梨温泉。3つの共同浴場と一軒宿の恵比寿屋がある。

郡山から磐越西線で1時間15分ほどの会津若松駅で只見線に乗り換え、会津川口駅まではさらに1時間50分と、かなりの遠さ。最寄駅からは、野尻川に沿って10分足らず南下した辺り。

今回は会津若松駅からレンタカーで1時間15分くらい。

紅い橋の袂に建つ恵比寿屋は、客室数16室の家族経営の宿。

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隣に見える紅い小さな小屋が、八町温泉 共同浴場 亀の湯。

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そして、川向かいに見える小屋が玉梨温泉 共同浴場。

どちらも24時間入ることができるけど、八町温泉の方は混浴風呂のみ。

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橋を渡った斜向かいにある玉梨温泉 温泉保養施設せせらぎ荘(福島) – 温泉手帖♨︎は、朝9時から夜21時まで。現在17時以降は町民のみ。

源泉は3本あり、玉梨温泉 町営源泉はすべての施設で利用され、八町温泉 亀の湯は八町温泉の共同浴場と恵比寿屋で。もう1本の大黒湯はせせらぎ荘の自家源泉なので、せせらぎ荘のみで利用されている。

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橋の上から恵比寿屋の大浴場の露天風呂が見える。川にせり出すように、鳩小屋みたいなのが2つ。手前が男湯で奥が女湯。網できっちり囲ってある。清流沿いの温泉は夏は虻が怖い。網が張ってあるなんて、ほんとに有難い。

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斜面に建っているので、玄関が3階で、大浴場は1階になる。

男女入れ替えはなく、一晩中、朝までずっと入れるかっぱの湯。玉梨温泉 町営源泉と八町温泉 亀ノ湯の2本の源泉を味わうことができる。

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こざっぱりとした脱衣所で、奥に洗面台がありドライヤーもある。

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脱衣所にまで、こぽこぽしゅーしゅーと音が聞こえてくる。

広めの内風呂がひとつ、4、5人サイズかな。緑がかった茶褐色の濁り湯。

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こちらには、対岸で湧き出す玉梨温泉の源泉が引かれ、かけ流しにされている。ちょうど窓から見える小屋が同じ源泉の共同浴場。

鉄分を含み、湧出時は透明だけど、空気に触れると色が変わる。

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音を立ててる湯口。すごい泡立ちなので、二酸化炭素泉かと思いきや、泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉。

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で、遊離二酸化炭素が742mgも含まれている。pH 6.4の中性で、源泉温度は45.9度。100mほど引き湯しても、湯口の温度は45度。湯船の温度も43度超えていて、しゃがむ気になれない。

きりりと熱く、金気臭がする。

熱いから気化して泡付きないのだろうけど、確認するほど入っていられないので、分からない。

古い角質を溶かす重曹成分、肌に水分を浸透させる硫酸塩泉に、天然保湿成分のメタケイ酸が154mg含まれている美肌の湯。塩分も多く含むので、コーティングの保温、保湿効果もある。

この源泉のベストシーズンは冬かな。冬でも43度はきついか。熱いの残念だな。

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パイプから投入される以外に、湯口からも少しだけ注がれてる。

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ここだけ違う色の石なのかと思うほど、茶色。鉄分なのかな。湯口まわりの析出物もすごい。

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流れ出ていくお湯を見ると結構な量。そりゃあ熱いよね。せめて少し湯量を絞ってくれたら入れるかもしれないのに。

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縁の外側は緑色に染まってる。

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シャワーは4つ。『お湯が出にくいので、とりあえず幾つかのシャワーを開放して、暖かいのが出始めるまで湯船からかけ湯してて』みたいなことが書いてあるけど、熱くてかけ湯できない。それほど待たなくても、ぬるいまま使えちゃう。

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露天風呂への出入り口には、雪見風呂と書いてあったような気がする。そう、豪雪地帯なのか。だから、熱湯万歳な地域なのかな。

露天風呂は手作り感というのか、リニューアル感というか。

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きっと、岩風呂があったのですよね。ここにちょっとした広さのやつが。

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で、その湯船の上に板場を作り、小さな丸い樽湯と、奥に四角い檜風呂を設置。

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露天だけど、完璧に網が張ってあり、外は見えるけど、虻は入ってこない。最高です。

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手前の小さな湯船は、ほんとに小さい。うちの旦那さんは、男湯の小さな湯船はかけ湯用だと言い張ってたくらい。絶対に湯船だから。

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この湯口から注がれている源泉も45度弱あり、小さな湯船は43度超えてたので、サイズ云々ではなく、高温過ぎて入れず。内風呂と同じ玉梨温泉のよう。

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きっと人が入れば、全面からざっばーと湯が溢れるだろうけど、静かにこのビニールパイプから排湯されてた。

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奥にある四角い湯船は、樽風呂よりはもちろん大きいけど、やはり1人サイズ。

看板には『四角形の浴槽は八町温泉です。』と。

共同浴場のみでの利用だった八町温泉。平成30年1月から恵比寿屋への引湯が許可されたので、ここで入れるようになったのはつい最近のこと。

大浴場では唯一の八町温泉湯船。透明感のあるお湯。

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中に沈めてあるシャワー椅子が赤茶色に染まってる。足場にして踏み入ると、椅子からぼこぼこと泡が上がってくる。相当な遊離二酸化炭素が含まれてるのかな。

湯船は41度弱。やっと肩まで入れるお湯にたどり着いた。

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湯に浸かるとすぐに身体が泡まみれ。

2つのパイプがあるけど、出てるのは右側だけで、湯口で42.3度。分析時の源泉温度は41.8度。

おそらく、寒い時期は左側のパイプから玉梨温泉を投入して、湯温調節するのでは。

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湯口に手を当てると一瞬でこの泡あわ。

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それほど甘味もない、シンプルな温かい炭酸水。ほんのかすかに塩気がある。炭酸分が多く、飲泉すると胃腸にいいそう。

リウマチに効く玉梨温泉、胃腸に効く八町温泉と言われ、特に二日酔いに効くらしい。

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八町温泉の亀ノ湯も、玉梨温泉と同じ中性(pH 6.1)のナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉。二酸化炭素泉ではないけど、遊離二酸化炭素が797.8mgも含まれてる。

ややぬるい分、炭酸ガスをたっぷり含んだままを味わうことができる。

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『炭酸温泉の横綱は、西は長湯温泉、東は八町温泉』と言う人もいるほど。

湯船の中には細かい気泡が大量に舞っていて、

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びっちりと身体に泡が付く。

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肌をさすると、ふわふわのつるつるで、上がってきた泡がぱちぱちと湯面で弾ける。肌触りはしっとり。

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気泡に混じって、オレンジ色や茶褐色の湯の花もたくさん。

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この亀ノ湯源泉は、共同浴場と恵比寿屋だけに配湯しているのだけど、共同浴場では玉梨温泉の源泉とブレンドしているので、亀ノ湯源泉100%に入れるのは恵比寿屋だけ。しかも、共同浴場は混浴だし。

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何も手を加えない源泉のかけ流し。

肌に付いた二酸化炭素は血流を良くするので、よく暖まりぽかぽかする。真夏にはちょっと熱いけど、炭酸泉の気持ちよさたまらない。

貸切風呂「月と太陽」にも亀ノ湯源泉の湯船がある。

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貸切風呂は、大浴場のある廊下の突き当たりから外へ出た先に。

チェックイン時に予約した時間に、帳場へ行き鍵を受け取ってから向かう。

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宿泊客は一回35分無料で借りることができる。

この貸切風呂にしか亀ノ湯源泉の湯船がないと思っていたので、絶対に入らなきゃと勇んで来たけど、大浴場の露天風呂にあるなら、そんなに必要性はないかな。

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ドアを開けるとすぐのところに、すごく狭い脱衣場。

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木造りの湯小屋という内装。湯船は2つ。床がいい感じにオレンジに染まってる。

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手前の六角形の湯船は小さくて熱い。43度超え。

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湯口の温度が45度なので、玉梨温泉なのかな。浸かるのは無理。

玉梨温泉は毎分219ℓと3本の中で1番湯量が多く、4つの施設すべてに供給されてる。

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平成26年に貸切風呂を作ったときは、この湯船には、中洲に湧く中井湯という33度のナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉(pH 6.8)を注いでいたみたい。なんと遊離二酸化炭素が961mg!ほぼ二酸化炭素泉。いいなぁ、ぬる湯の中井湯。

その当時は奥の四角い湯船が玉梨温泉だったそう。

平成30年に亀ノ湯源泉を四角い湯船に引くようになり、この湯船を玉梨温泉にしたのかな。

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丸く切り取られた木枠の向こうには水の流れが見える。この流れを挟んだ隣が八町温泉の共同浴場(混浴)。

その亀ノ湯源泉を引いている奥の四角い湯船。

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月の木枠の向こうは野尻川。

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手前が浅くなっているのだけど、寝湯のためららしく、水平ではなく谷のようになってる。ちょっと入りにくい。

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湯船の温度は40度。なんとなく、お湯にパンチがないというか、新鮮さがない。源泉との距離はわずか30mなのに、泡付きもほんの少し。

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太いパイプからぽこぽこと湯が注がれていて、手で受ければ泡が付く。でも、大浴場の露天風呂ほどじゃない。

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ずっと貸切状態なので、直前まで絶えず誰かが入っていたからなのか。うまく言えないけど、フレッシュな心地よさがない。透明度も低く、露天風呂よりも濁ってる。

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もちろんきちんとかけ流し。肌触りはつるつる。

オレンジ色や茶褐色の細かい湯の花に混じって、埃の塊みたいな大きめのも舞ってる。

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底がぬるっとしていて、指で触るとオレンジ色になる。きっとお尻もオレンジ色になってるんだろうな。

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翌朝には、爪の端っこが黒く色付いてた。

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野尻川は、寛永・文政に度重なる大洪水があり、古くから河童のいたずらと信じられている。大浴場はかっぱの湯。このかっぱの絵は、水木しげる氏が宿泊の際に描いたもの。

 

玉梨温泉 恵比寿屋
★★★★
[玉梨温泉 町営源泉]
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉
45.9度
pH 6.4
219ℓ/分
[八町温泉 亀ノ湯]
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉
41.8度
pH 6.1
68ℓ/分
男女別露天風呂付き大浴場 貸切風呂1
加水加温循環消毒なし
2021.7.22 宿泊

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