城下町松本の奥座敷として知られる浅間温泉。松本駅からタクシーで20分ほど。
日本書紀に西暦698年飛鳥時代に浅間の湯と思われる一節が登場する1300年を超える古湯。天慶2年(939年)地元の豪族・犬飼氏により発見されたとの説もあるけど、万葉集などで詠まれている「浅葉の里」「麻葉の湯」も浅間温泉の古称とされてる。
「自遊人」が手掛けている浅間温泉のエリアリノベーションが進んでいて、前回 浅間温泉 星野リゾート界 松本(長野)-温泉手帖♨︎ に訪れた時とは全く違った印象を受ける。
温泉街を回遊できるよう、宿から歩いて数分のカフェ「おやきと、コーヒー」でチェックインの手続きをする松本十帖。
湯坂通りに佇む松本十帖は、貞享3年(1686年)創業の336年の歴史を持つ老舗旅館「小柳」を「松本本箱」「HOTEL小柳」という2つのホテルに再生した宿。
通りを下からのぼり、奥がHOTEL小柳、
手前が松本本箱。
敷地の真ん中に位置するのは「小柳之湯」。江戸時代の湯小屋を再現したもの。
昔上級武士が使用していた「柳の湯」の隣にあった下級武士の湯を「小柳」と呼ぶようになったことから由来する小柳之湯。
こちらは宿泊者専用で、客室やブックストアの鍵(QRコード)で入る。
タオルは持参。
温泉バッグ代わりの湯桶が部屋に人数分用意されてる。こんなの初めて。
湯船のあまりの小ささに驚いた。小さな湯小屋だからこれくらいが妥当だけど、なんでだろ。2つの宿泊施設が大きいから宿泊者数で考えちゃったのか。
しかも小さな湯船な上に大きな岩が陣取ってる。
ものすごくシンプルかつ機能的な脱衣場とシャワー。シャンプーなど体洗いはだめで、かけ湯用のシャワーが一台のみ。もちろんボディソープなども置いていないので、各部屋で体を洗ってから。
本当に小さな湯小屋で、奥が抜けた半露天のシンプルな湯船。左の湯口とは逆の右側からもぼこぼこ湯が上がってきてる。
こちらの湯船の中からも湯が投入されてる。
源泉は第二号、第四号、山田、大下、東北源泉の5本の混合泉。
小柳の湯は地域の集中管理の混合泉を、引湯管から直接湯船に注いでる。そういうとフレッシュな感じだけど、どのタイミングなのか分からないけど、湯温調節と源泉供給量を補うために加水、加温をしてる。
湯口から出るお湯は43.5度弱で、白く見えるほど泡を伴い投入されてる。湯船は42度弱。少しとろり感がある。
白い析出物が砂糖や塩が固まってるみたいにこびり付いてる。
湯船は源泉かけ流しで、循環、消毒なし。
手前の排湯溝にはよっぽどざばんと入らない限り、縁から溢れることはなさそう。
奥にも排湯溝がある。夕方は普通に見えてたけど、翌朝は奥の庭間近まで湯が迫っていて、あまり排湯されてる感じがしなかった。雪の影響とかかもしれないけど。
この石、邪魔だよねと眺めながら、湯量を補うためなのかなと思ってたけど。下級武士の「小柳之湯」の先に上級武士の「柳の湯」、さらにその先に松本藩主の殿様の湯の「枇杷の湯」が一直線に並んでいる様子を表してるのかな。
やっぱり出来たて、すごく綺麗な施設。上部は男湯との境が抜けてて、湯気抜き窓から光が入る。
こんな小さな湯小屋で大丈夫なのは、各部屋に半露天風呂がついてるから。
松本本箱の方のこのタイプの客室は、テラスにお風呂があり、窓際に洗面台。
左手にシャワールーム。
テラスは大きな3枚の木戸を閉められるようになっていて、それぞれ上下で角度を変えられる。きっちり閉めても夜寒そうだなと思ったけど、どうやらあるっぽいシャッターの閉め方は分からず。でも、なんとか大丈夫な寒さだった。
テラスからは松本市街と北アルプスを望む。
ひとりで入るには充分な大きさ。
湯温調整のため加温はしてるけど、かけ流し。
たまにボイラーが稼働するような音がして、湯口のそばの側面から熱い湯が注入される。
湯口から少しずつ注がれる源泉は44度で、泡みたいな湯の玉が湯面をつぅーっと滑っていく。
湯船は40.5度割れ。我が家には適温ですごく良かった。熱ければ加水しての蛇口があるけど、さすがに必要なし。夏でもこのくらいの湯温ならいいな。
部屋のお風呂の源泉は、混合泉と単独2号源泉の2つ。それらを一旦貯水槽に入れるものの、加水はなく加温のみ。
浅間温泉には7本の源泉(第一号、東北、第二号、第四号、山田、鷹の湯、大下)があり、各源泉を単独使用あるいは混合使用してる。混合槽の計測なので、全源泉なのかは分からないけど、浅間温泉の源泉としては湧出量は毎分1,506ℓで、49.7度とのこと。
1号源泉はほんのり硫黄臭があるとか、2号源泉が主力源泉で湧出量が毎分228ℓあるとか、断片的なことしか分からない。
約30軒の旅館と3軒の共同浴場の他にも、一般には開放されていない共同浴場が多数あるみたい。
泉質はアルカリ性単純泉で、pH 8.8〜9.0くらい。
木の湯船だからか泡付きが少しあり、泡を払った後の肌は、手のひらがきゅうっと肌に吸い付ききしむようなじっとり感がある。湯上がりの肌や指先はするする。
木の屑かなと思うくらいの湯の花がほんの少し。
翌朝は雪景色。
浅間温泉 松本十帖 松本本箱
★★★
アルカリ性単純温泉
50.2度
pH 9?
半露天風呂(男1 女1)各客室半露天風呂
加水加温あり 循環消毒なし
2024.2 宿泊
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