蔵王温泉 深山荘高見屋(山形)

山形駅から車で30分ちょっとの蔵王温泉。標高880m、古くは最上高湯や高湯と呼ばれた温泉地で、白布温泉、福島の高湯温泉とともに奥州三高湯の一つ。

温泉街にそって酢川が流れ、上流には温泉を祀った酢川温泉神社がある。

神社の隣の石段。江戸時代から続く高湯通りの高台に深山荘高見屋がある。

江戸時代半ばの1716年、吉宗が8代将軍に就いた年、享保元年の創業。300年以上の歴史と風格のある老舗旅館。

蔵王温泉の開湯は西暦110年、つまり1900年以上前。日本武尊の東征の際、従軍した吉備多賀由により発見され、江戸時代には蔵王権現への西側登山口として賑わった温泉地。もちろん山形県一古い温泉。

温泉街には上湯、下湯、川原湯の3つの共同浴場があり、それぞれ200円で入ることができる。宿によっては入浴券をもらえる。

高見屋には2つの大浴場があり、それぞれ男女別に分かれてる。23時半に男女入れ替えなので、4つの大浴場に入ることができる。外の共同浴場の前に、宿のお風呂を制覇したいところ。

玄関横のラウンジに奉納されてるのは、創業以来守り続けている自家源泉。

こんなふうに敷地内の源泉が見られるなんて、超いい。300年守られてきた大切なお湯。

この源泉のそばにある創業当初からの古い大浴場が、本館1階「長寿の湯」。

畳敷きの脱衣所。右手に洗面台が3つ。アメニティやドライヤーはコロナ対策で置いてないので、髪の毛とか落ちてなくて清潔でいい。

この奥側の浴室(23時半に男女入れ替え)のみ、露天風呂付き。内風呂とは別に、脱衣所から直接露天風呂に行く扉がある。

畳っぽい敷物が敷いてある通路の先に、

葦簀で囲まれた露天風呂。洗い場などはないので、内風呂の後に入りに行かないとだめ。

大きな桶の湯船は、山形の伝統工芸職人が手掛けたもの。

白濁してるけど、透明感が残る薄濁り。

白い湯の花がたくさん。

湯口にもたっぷり溜まっていて、指で触るとしっかり湯の花がつく。

湯口の温度は53.5度超えで、湯船は44度。今回初めて湯温を測った湯船がここだったので、44度に慄いた。もちろん入れない。

脱衣所のガラス窓から眼下に見えてる浴室。数段降りたところに長寿の湯の内風呂がある。

大きな窓は磨りガラスで、明かりが入ってくる。

隣の浴室との仕切りも同じガラス。

木造りの壁や梁は昔からの湯治場の風情が漂ってる。

左手に洗い場があり、シャワーが3つ。あまりに強い硫黄成分で黒く固まり、温度調節がなかなか動かないのもある。シャワーがあって、真水で髪が洗えるだけ有り難いと感じるような湯小屋。

木の湯船をたっぷり満たした白濁の湯。朝は底が見えないくらいの濁り具合。

縁から渾々と溢れてる。

しっかり深めなので、時間によっては混ざってなくて、湯面と底で温度差があったけど、ほぼ43度弱。

湯口は55.5度。べっとりと湯の花が溜まってる。

蔵王温泉には、5つの源泉群とそこから分かれる47の源泉があり、湯量は毎分5,700ℓもある。泉質はほとんどが、酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物泉。

高見屋には4本の自家源泉があり、1本は系列のホテル樹林へ、あとの3本をここで利用してる。

隣の浴室も同じ造り。

木の階段を降りたところに内風呂がひとつ。

洗い場は脱衣所側にシャワーが3つ並んでる。

強酸性の硫黄泉と簡単に言うけど、泉質名は酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物泉。つまり、酸性泉で硫黄泉で硫酸塩泉で塩化物泉。草津温泉の泉質とほぼ同じ。特に皮膚病に高い効果がある。

ふわりとしていて、強酸性とは思えないような湯感触。つるつる感さえある。

長寿の湯の源泉はpH 2.0で、分析時の源泉温度は52.8度。酸っぱい。湯口に寄るときは、目に沁みないように気をつける。

湯口の源泉は55.5度あり、湯船は端っこで42.5度ちょい。隣の湯船よりほんの少しだけ低いので、これだとなんとか入れる。

毎日掃除していて、この浴室が利用できるのは14時から。夕方には真っ白の湯の花がこんなにももっさりと湯口に溜まってる。

もう一方の大浴場は、離庵山水2階にある「せせらぎの湯」。こちらも男女入れ替え制。

脱衣所の籠は間引いてある。でも一晩中入れるし、2つの大浴場があるので、人とかぶらずに入れる。

浴室に進むと、洗い場エリアがあり、右手に仕切りのあるシャワーが4つ、左手に2つ。完全に湯船とは独立していて、もう一つガラス戸を開けたところに内風呂がある。

暗い時間に来た時は、ただただ熱い内風呂だったのだけど、朝来てみたら露天風呂かのような眺めで驚く。

太陽光が当たると水色に見えるのかな。薄濁りだけど、透明感のあるお湯。縁からさらさらと溢れ出てる。

この源泉と長寿の湯の源泉は別。

pH 1.7で、分析時の源泉温度は44.9度と、長寿の湯より低い。

河童みたいな湯口。

着いた日の夕方の湯口は51.5度で内風呂の湯温は44度弱。長寿の湯より熱かった。さらに、帰る日の朝は52.5度で45度超えだった。

湯面に白い湯の花が膜のように浮いてる。

内風呂の奥に階段があり、

半2階みたいな位置に足湯がある。

そこから3段ほど上がったところが露天風呂。

露天風呂から見下ろすとこんな素敵な造り。建物の中なのに、総木造りの湯小屋。

露天風呂のすぐ下を流れる川。だからせせらぎの湯か。

酢川へと流れる温泉が流れる川。この湯船からもお湯が溢れて流れ落ちてる。

蔵王の天然石の湯船。白い石に薄い水色のお湯が映える。

湯口は48度で、湯温は42度ちょい。あ、ここが1番ぬるい湯船。ほっとする。最後の日の朝は42.5度だったけど、それでも1番ぬるくて入れる。

湯口の源泉は、マイルドなレモン水。pH 1.7の強酸性なのに、全然ちくちくしない不思議。やっぱりふわつるな肌触り。遊離二酸化炭素が400mg以上含まれてるのが関係してるのかな。

硫化水素型なのでガス性の硫黄を含み、遊離ニ酸化炭素も多いので、血管拡張効果で血のめぐりがよくなる。

繊維質な消しカスっぽい湯の花。

変わって、お隣の浴室。貸切風呂とに挟まれた真ん中。

脱衣所は全く同じ。

浴室はガラスで囲まれた内風呂の周りに洗い場。仕切りのあるタイプ。

寒さ対策で囲まれてるのかな、タイルの浴室に檜の湯船。

タイミングによって色や濁り具合が違う。これは夕方の白濁。比べて、朝はこんなに透明。

底に溜まってた湯の花。湯口まで歩いてきた私の足跡。

縁から溢れ出るお湯で、入る前から足が暖かくて嬉しい。

湯口で52.5度で湯船は43.5度。湯口まで歩いてきて、またすぐ引き返して露天風呂へ。

湯面にも湯の花が浮いていて、木の縁に引っかかって溜まってる。

露天風呂は桶風呂。

昨日はこんなに濁ってたのに、今朝はほぼ透明。

誰も入ってなくて新鮮な源泉で満たされてるのかな。それとも天候?

露天だけど、囲いはある。

湯口で52度、湯船は42.5度もあるのに、あぁぬるめで入れる。よかったぁと入ってる自分が怖かった。湯温計壊れてるのかな。

ふわつるの柔らかい肌触り。酸性硫黄泉のイメージががらりと変わる。

蔵王温泉は1分間でコロナウィルスを94%不活性化させるという実験結果が出てる。そこはさすが、酸性硫黄泉。

この並びに貸切風呂「吉備多賀湯」があり、朝7時から22時まで1回50分2,700円の有料で利用できる。貸切風呂が無料で利用できる特典だったので、行ってみる。

広くはないけど、洗面台もある脱衣場。

シャワーもあり、シャンプーなども置いてある。

信楽焼の大きな湯船。

貸切風呂はもう一つ本館に山の慈み湯という木造りのがあるみたいだけど、修理中で利用できないとのこと。残念。

白くコーティングされた陶器。まさかやだけど、元はこの緋色だったんだろな。

湯面にびっしりと湯の花。

44度もあってとても入れない。シャワーで少し埋めさせてもらって、それでも43度超え。これ以上、公共の湯船を埋める度胸がない。

底についた手が黒くなる。せせらぎの湯は鉄イオンが16mgも含まれてる。含鉄泉の規定値には届かないけど、それなりの量。

蔵王温泉で唯一、源泉掛け流しの客室露天風呂がある離れの雛蔵。

3本の源泉の1本がこの部屋の露天風呂に利用されてる。

洗面所とカーテンで仕切られたシャワールーム。その先にガラス戸があり、露天風呂。

ほんのり水色がかって見える透明なお湯。端っこの方の湯面には白い湯の花が浮いていて、底にも溜まってる。粒のような湯の花が少し流れてる。

トタン屋根がついてるので、雨でも大丈夫。

2人でも入れるサイズ。入らないけど。見た目より大きい。

でも、すごく大きな露天風呂がついてるイメージだったので、こじんまりしててびっくりした。

HPとかの画像がすごく上手で、大きいイメージがついてた。こんな角度で。

ま、いいや。思い込んでた想像より小さいけど、十分大きな湯船です。

湯口からは湯量を絞って50.5度の源泉が注がれてる。横にある塩ビのパイプが底の辺りまで伸びていて、下からも熱いお湯が注がれてる。

着いた時の湯温は43.5度。シャワーで加水できるので、いかようにも。基本的に部屋風呂は旦那さん専用なので、好きにさせる。

とにかく酸っぱいレモン水。目に入るとレモンが飛び散った時と同じにしみるので、湯口のそばは注意。

新鮮なお湯のふわりとした肌触りが気持ちいい。きゅうっと軋む感じは弱い。

湯口に溜まる湯の花は、あまりねっとりという感じではない。

結局、うちの人は大浴場に行くことなく、ずっとここに入ってた。お気に召して光栄です。

蔵王の湯、めっちゃ気に入ったので、また来たい。

 

蔵王温泉 深山荘高見屋
★★★★
[高見屋1号]
酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物泉
52.8度
pH 2.0
[高見屋2号]
酸性・含硫黄アルミニウム硫酸塩・塩化物泉
44.9度
pH 1.7
内風呂4 露天風呂3 貸切風呂1
加水加温循環消毒なし
2022.10 宿泊

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