有馬温泉 陶泉 御所坊(兵庫)

有馬温泉の陶泉 御所坊に再訪。温泉街の真ん中あたり、滝川沿いに位置し、有馬温泉駅からは歩いて5分ほど。

800年以上も前の鎌倉時代1191年に湯口屋として創業した御所坊。藤原定家の明月記(1203年)に、湯口屋として屋号が記載されてるのだそう。

玄関先に源泉。飲め‥る?のかな?いや、見せてるだけ、かな。

有馬温泉は3回目。最初に泊まった宿がこの御所坊で、2回目は有馬温泉 欽山(兵庫)-温泉手帖♨︎

与謝野晶子が

花吹雪 兵衛の坊も 御所坊も 風に渦巻く

と詠んだ善福寺の糸桜を眺めることができる部屋だったけど、すっかり葉桜。

ここの浴衣おしゃれですき。

大浴場は2階にあり、朝の9時半まで一晩中入れる。夜中の0時から1時までの1時間だけ清掃時間。

暖簾手前の左側は湯上がり処で、ウォーターサーバーが置いてある。

右が女湯、左が男湯で、男女入れ替えはなし。14室で満室だったと思うけど、ほとんど独泉だった。

明治に建てられた登録有形文化財の建物の中に、急にスタイリッシュな空間の脱衣所。

フェイスタオルは備え付けがあり、化粧水などのアメニティはミキモト。

独特の雰囲気の洗い場。シャワーは5つ。鏡台みたいな切り抜かれたアーチ形。

脱衣所の出入り口右手に、同じようなアーチ形の入り口。

バブル風呂。銀泉ではなく沸かし湯。バブルとともに塩素臭が弾ける。湯温は41.5度。

薄暗い照明で、湯船の中に水色に光るライト。8人くらいゆったり入れそうなサイズ。

洗い場奥のアーチ形出入り口がいよいよ金泉。

ビニールカーテンの暖簾の先は、1歩目だけ石の上で、2歩目から濁った金泉の中。

濃いオレンジ色の濁り湯で全く底が見えない。階段なのかスロープなのかも分からず、歩き出しにくい通路。

竹の手すりを頼りに一歩ずつ進む。段差はなくずっとなだらかなスロープ。それが分かっていても歩きづらい。

広いところから振り返るとこんな感じ。

源泉が通ってそうな竹。この中にパイプが通ってるのかな。見えるところがこういう形にしてあるの、さすが。

大浴場は「金郷泉」と名付けられてる。

突き当たりはぶくぶくエリア。薬のような匂いが漂う。

端っこの壁際に一直線に穴の開いたパイプがあり、そこから源泉が注がれてるのだと思う。

パイプの下を触ると、もっさりねっとり湯の花が溜まってる。

源泉は御所泉源と妬泉源の混合泉。御所泉源は、御所坊のすぐ裏。御所坊の所有地を提供して掘削したので御所泉源。

名前が御所泉源だから自家源泉なのかと思ってたけど、そうではない。

泉源に隣接した家の1階に貯湯槽を設けることで配管を短くし、掃除や管理を楽に。その2階には2つの家族風呂「湯屋 松風」があり、一番新鮮な源泉が味わえる。有料なので利用してないけど。

脱衣所には妬泉源の分析書しかなかった。含鉄-ナトリウム-塩化物強塩温泉で、源泉温度は100.5度。pH 6.7の中性。湯の投入の仕方なのか、ふわつるな肌触り。肌にきゅうっと張りつくような軋む感じも少しある。

このぼこぼこのぶくぶくの波は奥へと続く。

この衝立を越えると、男湯から見えるエリアに。半露天、半混浴式の湯船。

ちょうど衝立の辺りの壁に湯口があるみたいで、狭間のところが43.5度もあり通る時めちゃくちゃ熱い。

温度が下がると下部から60度の湯が注がれる仕組みなのだそう。

衝立の向こうは、明るく開けた空間。

男湯とこんな感じで繋がってる。とはいえ、一度も一人も同じ時間に居合わせなかった。

明るいところに来ると、濁りの強さがよく分かる。濃いオレンジ色、赤褐色で全く透過性がない。

有馬の湯は、600万年前に日本列島の下に沈み込んだ海水の成分を含んだ湯が湧く、世界でも珍しい非火山型の温泉で、金泉の塩分濃度は海水の1.5〜2倍。

濃くてしょっぱい出汁味で、目に入ったらやばいやつ。掻いたあとがちりちり痛い。

人間の身体の塩分濃度は0.9%。身体の塩分濃度より濃い高張泉の温泉(濃い塩分濃度の温泉)に入ると、浸透圧で温泉成分が身体の中に取り込まれる。薬効成分はもちろん、塩分の保温効果もある。

男湯との境のここからも湯が投入されていて、湯船は40.5度前後。深い場所や熱い場所など様々で、好みの場所を探す。ゆったり足を伸ばして座れる浅瀬は41度ほど。

翌朝見つけた排湯口。あ、ほんとにちゃんとかけ流しだ。男湯の排湯口は分かりやすい。

縁の岩や石は茶褐色にコーティングされていて、触るとオレンジ色が付く。

一晩中温泉に入れるし、ご飯も美味しい。有馬温泉で源泉かけ流し、他に見つけられないし、また来よ。

有馬温泉 御所坊
★★★
[御所泉源]
ナトリウム-塩化物泉
63.9度
pH 6.?
[妬泉源]
含鉄-ナトリウム-塩化物強塩温泉
100.5度
pH 6.7
120ℓ/分(掘削自噴)
半露天風呂(男1女1)
加水加温循環なし 二酸化炭素消毒あり
2023.4 宿泊

♨︎ ♨︎ ♨︎ ♨︎ ♨︎

有馬温泉は日本書紀に記される日本最古の温泉。また、枕草子では日本最高の名湯と評されている。薬神、少彦名命や、薬師如来に象徴される薬効ある名湯は、鉄分、塩分、その他ミネラルが豊富で、日本三大薬湯のひとつでもある。

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御所坊は建久2年(1191年)創業の有馬温泉最古の宿。

藤原定家の旅日記に、創業まもない承元2年 (1208年)10月、有馬は貴人でにぎわっており「湯口屋」(今の御所坊)には平頼盛の後室が泊っていたとの記述がある。

また、天正11年(1583年)以降、豊臣秀吉はねねや千利休等を連れて何度も有馬に訪れ、文禄3年(1594年)には、湯山御殿を建設、その際に秀吉から十三石を譲り受けて現在の滝川沿いの場所に移ったなど、長い歴史の中で多くの文人偉人に愛されている。

谷崎潤一郎が昭和11年(1936年)に発表した小説「猫と庄造と二人のをんな」にも御所坊が登場する。

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半混浴半露天の金泉大浴場は、一つの空間を男女でも楽しんで欲しいという当代の思いを象徴した設え。

赤茶色の濁り湯なので、あまり抵抗なく入れるし、顔を合わさなくてすむ部分もある。

金泉への入口は、細い通路になっていて、最初は濁って見えない石段を気をつけて進む。

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鉄、塩が豊富でしょっぱく、ひりひりする。鉄分が身体に付いて赤くなり、身体拭いたタオルには色が付く。

御所泉源と妬泉源の混合泉。60キロ下の海洋プレート端から600万年の時を経て湧き上る太古の名湯。

朝の9時半まで夜中じゅう入れる。

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明石海峡大橋の夕焼け。

 

有馬温泉 御所坊
★★★
含鉄-ナトリウム-塩化物泉
79.3・97.3度
pH 6.5
半混浴半露天風呂 貸切1
加水加温循環なし 二酸化炭素消毒あり
2015.12.12宿泊

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