ずっと気になってた塚原温泉。昨夜の温泉が消化不良なので、今だとばかりに決行。
塚原温泉の歴史は古く、800年ほど前の平安時代、源為朝が山で狩りをしていた時、傷ついた鹿が湯溜まりに浸かり傷を癒しているのを見て発見したと伝えられてる。
大正から昭和にかけて、宇佐屋旅館、泉屋旅館、由原屋旅館という3軒の温泉旅館があったけど、現在は日帰り入浴施設、火口乃泉の1つだけ。
由布院駅から車で20分ちょっとの塚原温泉 火口乃泉。温泉巡りを始めた頃に泊まった奥由布院の無相荘の向かいから奥に入って1キロほど。
駐車場から見えるあの湯気が上がってるところが伽藍岳の火口なのかな。見学もできる。源泉地である地獄地帯までは、整備された専用の登山道を歩いて5分。
ブラタモリによると、伽藍岳の地下に眠る熱水が別府八湯すべての温泉源であり、別府温泉全てのお湯の供給源なのだそう。ここから海側へ流れたものが別府温泉、山側へ流れたものが湯布院温泉になったとか。そ、そうなんだ⁉︎
広い駐車場に車を停め、受付へ。
この時期の利用時間は9時から18時まで。
男女別大浴場の内風呂と、別の場所に男女別の露天風呂があり、他に貸切の家族風呂が5つある。
利用料金は、大人で内風呂が500円、露天風呂が600円。両方利用できるのが800円。ちなみに、家族風呂は大人2人で2,000円、1つだけある離れは2,500円。タオルは200円かな。
受付の向かいにあるのが内風呂で、右奥の建物が露天風呂と家族風呂。
一番奥の露天風呂から。
靴を脱いであがる木造りの脱衣場がある。屋根も付いていて、籠もベンチもあり、こざっぱりとして清潔。
広そうに見えるけど、手前には段差があるし、真ん中の岩は大きいし、それほど大人数は入れない湯船。
硫黄泉でもあると思い込んでたので、透明なお湯にあれ?と。少し緑がかっているように見える。
湯口の塩ビ管には白と緑の析出物がまぶれついてる。北海道の恵山温泉みたいな析出物。
管の両端から二手に分かれて湯船に落ちるように、わざと湯口を変形させてるのかな。
湯口は54度で、湯船は41.5度割れ。
まろやかでねっとりしっとり、ぬるぬる感さえある。硫黄の匂いはなく、白い細かいのや糸状の湯の花が漂ってる。
消毒もなしの完全かけ流し。
泉質は酸性・含鉄(Ⅱ,Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩泉。パンフレットには、全国的に珍しい貴重な泉質で日本三大薬湯のひとつと記載されてる。
日本三大薬湯って、群馬の草津温泉、兵庫の有馬温泉、新潟の松之山温泉だと思ってた。まぁ、諸説ありなのかな。
緑色なのはアルミニウム?鉄か。酸化していない新鮮な鉄イオンは緑色のことが多く、緑がかった透明なお湯。
金気臭とか鉄臭とかというのではなく、澄んだ金属の香りがほんのり。
金属イオンが多く含まれていて、かつての鉄含有量456mgは日本一。直近の分析書では全国4位(温泉地別だと3位)の109mg。アルミニウム含有量は全国3位で173mg、かつては295mgあり2位だった。
かなり含有量が変わってる。いつのものか分からないけど、この時の分析書では、遊離硫化水素を8.3mg含む含硫黄泉だった。今の分析書では遊離硫化水素は0で、硫黄泉ではなくなってる。硫黄の匂いしないはずだ。
ちょうど紅葉のタイミング。もう少しぬるかったら、もうちょっと長湯できるのにあな。
誰もいなかったよと、めずらしく写真を撮ってくれた男湯。ほんの少しこちらの方が広いのかな。上に網が張ってある。
湯口は、ここから男女の二手に分かれてるみたい。湯口の先はそのままだな。
もちろん内風呂にも入りに。立派な番台風なカウンターがあるけど、受付で済ますのでここは留守。
泉質上、石けんやシャンプーは泡立たないし使用禁止なので、どちらにも洗い場はない。
汚かったり狭かったりしない、快適な脱衣所。
木造りの風情ある浴室。グレーの壁は何素材だったんだろ。
男湯との境は上が抜けてる。
露天風呂同様かけ湯だけして入る。
縁からざばざば溢れ出てるかけ流しではなく、ここから排湯するタイプ。常々気になっていたけど、このタイプってなんなんだろう。縁の保護⁈いつか聞いてみよ。
中も全て木造りの湯船。これがまた熱い。52度超えの源泉が注がれていて、湯船は端っこで42.5度超え。手前の段差に腰掛けてることしかできなかった。
内風呂の湯口の析出物は、緑じゃなくて黄色だ。蛍光色の黄色。
味はレモンというより、ビタミンCの粉末の酸っぱさ。ねっとりした肌触りで、酸性のちりちり感はない。天然の保湿成分メタケイ酸が406mgとかなり多く含まれてる。強酸性なのにぴりぴりしなくて優しい湯感触なのはこれかな。
かつては、秋田の玉川、山形の蔵王とともに日本三大酸性泉と呼ばれ、酸性度全国2位のpH 1.4だった強酸性の湯。
最新の分析書だとpH 1.9なので、先月入った蔵王の共同浴場 川原湯温泉と同じ。高見屋の2号泉せせらぎの湯は1.7だった。
玉川、草津、蔵王、酸ヶ湯などに次ぐ10番目前後になるみたい。いづれにせよ強い酸性。酸性泉の効能は慢性皮膚病。非常に強い殺菌力があり、感染系の皮膚病に効果がある。
酸性度、鉄イオン、アルミニウムイオンの含有量上位は、玉川、蔵王、酸ヶ湯、恵山、塚原温泉の5ヶ所がほぼ独占しているのだそう。
塚原温泉 火口乃泉
★★★★
酸性・含鉄(Ⅱ,Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩泉
56.0度
pH 1.9
内風呂(男1 女1)露天風呂(男1 女1)貸切内風呂5
加温加水循環消毒なし
2022.11 日帰り入浴
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