豪雨被害で松本電鉄の一部区間がバス代行。ますます遠く感じてしまう白骨温泉。
松本駅からバスで松本電鉄の渚駅に行き、電車で終点の新島々駅へ。そこからはバスで70分。旅館が多くある渓谷沿いから少し離れた、ひとつ乗鞍方面側の泡の湯バス停で下車。
3000坪の白樺林の中に静かに佇む小梨の湯 笹屋。雪と白樺の色味と同じ、冬の林に溶け込むような木造二階建て10室の宿。秘湯を守る会。
白骨温泉で唯一らしい、無料貸切露天風呂がある。30分の貸切制で、空いていれば何回でも利用できる。
夜は22時までで、朝は7時から9時半まで。
大きな木の看板は室内から見える土間にある。ブーツを履き、自分で“空き”から“入浴中”に、木札をかちゃんと裏返してから勝手口を出る。
目の前、数歩のところに、また玄関があるので
ここから入って
中から鍵をかけて
靴のまま階段を登ってく。
結構、まぁまぁな距離。すごく寒いのでほぼ早足。
突き当たりが脱衣場の入り口。
手前の木戸が、かしゃんかしゃんて開けたり閉めたり出来る木の窓で、
かしゃんと開いて覗くと、こんな素敵な世界が。急げ。
脱衣場、めちゃくちゃ寒い。小さなストーブがあるけど、スイッチどこ？ってストーブと対峙する時間が寒いので、点けずにそそくさと脱ぎ捨て。
足元の足拭き用のバスタオル、誰か入った後で濡れてたら、凍りそうな冷たさになってるので、使うの無理。
扉を開けるともっと寒いけど、早く見たい。真っ白の中に水色がかった乳白色。
手前側に屋根があるけど、ここに洗い場があるわけではなく、
出たすぐの右手にカラン。
屋根にはもっさりと雪が積もってる。
こじんまりしてるけど、2人だとゆったりサイズの湯船。
左奥の銀色の手すりの場所に、一段だけ湯の中に足場の岩がある。
縁の側にある白く見えてるところのもう一歩先に段差がある。
湯船から溢れ出るお湯で、足元は真っ白にコーティングされてる。この真っ白にミルキーな水色、白骨温泉特有な気がする。んー、たまらない。
凍りぎみだし冷たいし、尖った部分はいてていててと、気をつけながら湯船に近づく。
立派な棚田状の析出物は真っ白。
周りは見渡す限りの白樺林で湯面にも白樺が。
お湯に浸かる前からすでに、“ご馳走様でした”“いいお湯でした”と言ってしまいそうな、視覚的満足感がすごい。
中が全く見えないので足場が不安で、手すりを頼りに足を入れる。手すりにも白い析出物がしっかり。
熱い。42.5度前後。上の方が特に熱いので、パワフルな湯揉みをして42度ちょっとに。
湯口から注がれているのは55度に加温した源泉。源泉温度が33.3度なので加温してる。もう少しゆるめの加温だといいのだけど。
湯口には硫黄の湯の花がねっとりとこびり付いてる。
砂っぽさのある硫黄の香ばしい匂い。ほんの少しだけ苦味があるけど、美味しい硫黄泉。
湯面にも白い湯の花が膜のように浮いていて、大きな固まりもたくさん舞ってる。
敷地内に湧く自家源泉は掘削自噴で、含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉。
硫黄泉はメラニンの生成を抑えてくれる美白効果、角質を溶かす美肌効果があり、カルシウムイオンも皮膚細胞の再生や肌の弾力を回復してくれる。
粒子っぽさがあり、さらさらの中にざら感がある。pH 6.3の中性で肌にじっとり馴染む。
分析書は、48.8度に加温後の浴槽湯口で分析されてる。こういうの初めて見るかも。夏の20度超えの時期なので、今より加温具合が弱いのかな。
遊離二酸化炭素が366mgも含まれてる。至近に白骨温泉 泡の湯（長野） – 温泉手帖♨︎があるくらいだから、納得。ほぼ同じ泉質。
湯口と反対側のこのパイプから排湯されていて、
鍾乳洞のような見事な白い析出物の道ができてる。
縁の高さがないので、入ると全面から湯が溢れ出ていく。だから周りが全部真っ白なのか。
つるっつるの部分と
がさがさの部分がある。
翌朝は混ぜても43度超えてたけど、あまりの寒さでなんとか入れてしまった。木の桶も椅子も凍りついてて、持ち上がらなかった。
大浴場は渡り廊下のような長めのゆるい階段を上がりきった先にある。
男女別で入れ替えはなし。
夜は24時までで、翌朝は5時から9時半まで。
清潔な脱衣所。棚に籠はなく、コロナ対策なのかな、お部屋に用意されたエコバッグ的な袋を各自が持って行く。
ドライヤーは部屋での利用だから、髪の毛とかあまり落ちていなくて気持ちいい。
飲泉用の紙コップがあるのもすごくいい。
浴室の戸を開けると、充満してる硫黄の香りが湯煙とともにふわっとおそってくる。
朝の方が全体像が分かりやすい。右手の壁側に洗い場があり、左手に湯船。奥の2面がガラス戸で外が見え、光が入ってくる。
湯船は内風呂がひとつだけ。夏季はガラス戸がフルオープンになり、半露天風呂になる。雪除けなのか、横の窓は望めなくなってて、つららが垂れてる。
洗い場にはシャワーが5つ。
高い天井に立派な梁のゆったり空間。壁と天井は木造りで、どっしりとした山の湯小屋。
湯船も重厚。白い縁の中に水色のミルキーなお湯が並々と満たされてる。
元は何で出来てるのか分からない。
濁りで中が見えないので、足場が分からず、手前の手すりを頼りに入る。
手前側と洗い場側に段差があるのだけど、足裏の長さより短い、狭い幅なので、なかなか難しい。
湯船の外側に溝があるタイプで、
溢れ出るお湯は
縁を伝って溝を流れていく。
細かい棚田状の析出物。何時間でも愛でていられる。肌に当たったら痛いところもあるけど。
窓の外は雪景色。春の新緑も秋の紅葉も綺麗そう。
夜ひとりでひっそり入る。少し青く光る白いお湯の端っこの縁が真っ白で、さらにその先に白い雪が広がってる。雪の中の静寂。
湯口から出る加温源泉は52.5度前後。湯口の中は湯の花で真っ白。
ほんのり苦味と渋味があるけど、美味しく飲める香ばしい硫黄泉。紙コップ有難い。
ぷーんと匂う硫黄の香りがたまらない。飲泉は血糖値を下げる効果がある。
夜ごはんの源泉豚しゃぶも、朝ごはんの温泉粥、温泉湯豆腐もめちゃくちゃ美味しかった。源泉2本お土産にいただいて、家でも大満喫した。
湯船の温度は42度超え。熱い。熱いんだけど、寒くて身体が冷えてるので暖まってほっとする。
底に溜まった湯の花でお尻はざらざらするけど、肌は露天風呂で感じたようなザラ感はなく、ひたすらつるつる。
この窪みはなんだろう‥。手すりでも付いてたのかな。
“3日入れば3年風邪をひかない”と言われる名湯。白骨温泉は泡の湯、白骨温泉 白船荘 新宅旅館（長野） – 温泉手帖♨︎に続く3宿目だけど、毎回期待を裏切らない。来る度にまた来たいと思う。
白骨温泉 小梨の湯 笹屋
★★★★
含硫黄-カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉
33.3度
pH 6.3
20ℓ？／分（掘削自噴）
内風呂（男1女1）貸切露天風呂1
加温あり 加水循環消毒なし
2022.1.29 宿泊
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